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コンテンツ

今週のキーワード
「社会人材」

対談VOL.1 井上高志氏 vs. 野田稔
世の中は不公平! その非対称性に気づき、自分事化したときに
最初の一歩が踏み出せる

第1回 情報の非対称性に感じた義憤が起業の原点となった

企業探訪:理想のワークプレイスを求めて
第1回 ネクスト
その1 徹底した理念経営で仲間を増やしている

粋に生きる
2月の主任:「立川志の春」
第1回 25歳の時に、“志の輔”をまともに浴びた!

誌上講座
テーマ1 これからの日本と我々のなすべきこと
第1回 日本の繁栄は、もはや昔話になろうとしている

連載コラム
より良く生きる術
釈 正輪
第1回 認証欲という欲が、人を翻弄する

Change the Life“挑戦の軌跡”
情報管理のエキスパートが取り組む草の根運動
第1回 後悔したくない、だからやるべきことをやる

NPOは社会を変えるか?
第1回 NPO(非営利組織)の一般的な理解について


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今週のキーワード
「社会人材」

社会人材とは、自らの能力を明確に認知したうえで、企業などの組織から精神的に自立し、社会のさまざまな場所で、その能力を発揮し、社会に対して有為な価値を生み出す意志を持つ人間を指す。

“精神的に”であるから、立場はサラリーマンであってももちろんかまわない。組織に従属的に生きるのではなく、自らの意志で組織に留まっているのであれば、たとえ組織人であり続けていても、精神的自立は図られているはずだ。

人間は、何らかの形で社会と関わり、社会に対して価値を生んでこそ、生き甲斐を感じられる。このことを通じて初めて幸せな人生を送ることができると思う。

まずは自分の人生のオーナーになってほしい。そして、会社の中の自分ではなく、社会の中の自分を想像する。そのうえで、会社にとっての自分の価値ではなく、自分にとっての会社の価値を考える。会社との関係を客観化し、その先にある社会を見詰め、自分は社会に対して何ができるかを考えてほしい。

もしそれが、自分の会社でできるのであれば、躊躇せずに挑戦してほしい。会社に提案してでも、ぜひ実現してほしい。それは幸せなことだ。ただもし、それが今の会社ではできない、あるいはやりきれないと思うのであれば、外に出るということも選択肢になるだろう。

人は皆、何らかの能力を持っている。 その能力は、個人の所有物ではなく、天からの“ギフト”だ。そのギフトを存分に活かし、 社会をより良くするために使おうとする人が一人でも多い世の中を作りたい。


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対談VOL.1
井上高志氏 vs. 野田稔

世の中は不公平!
その非対称性に気づき、自分事化したときに
最初の一歩が踏み出せる

本誌の特集は、(社)社会人材学舎の代表理事である野田稔、伊藤真をホストとし、毎回多彩なゲストをお招きしてお送りする対談をベースに展開していきます。ゲストとの対談に加え、その方の生き様や、その方が率いる企業の理念などに関する記事を交え、原則として4回(すなわち一月)に分けてご紹介していきます。
第1回のゲストは、株式会社ネクストの代表取締役社長である井上高志氏です。
「ネクスト?」と思われる人もいるかもしれませんが、不動産・住宅情報サイト「HOME’S」と言えば、多くの人が頷くことでしょう。
この画期的なポータルサイトがどのようにして生まれたのか、まずはその裏舞台を取材記事によりお送りします。



第1回 情報の非対称性に感じた義憤が起業の原点となった


上司に叱責されたが、顧客からは喜ばれたある出来事

 ネクストの創業者である井上高志氏は、ある義憤によって、同社を設立した。その義憤とは、不動産業界における「情報の非対称性」に対するものであった。人生の中で、最も高い買い物といえば、一般的には住宅であろう。消費者が、そうした買い物をするにもかかわらず、提供されている物件情報が不動産会社の管理下にあり、十分な情報開示がなされていない。それが情報の非対称性の意味だ。

 井上氏は1991年にリクルートコスモス(現・コスモスイニシア)に入社し、マンション販売を担当した。しかしバブル崩壊のため、同社にはたった3カ月しか在籍できず、その後は親会社であるリクルートに出向、転籍したのだが、そのたった3カ月の間に、彼はその「非対称性」という問題点に気づき、起業の原点となる出来事を経験したと言う。

 それは以下のような出来事だった。
 ある若い夫婦が、担当する物件をとても気に入ってくれたのだが、残念ながらローンの審査に通らなかった。通常であれば、それで終わり。営業担当者は、そそくさと次のお客さんに相対することになるが、井上氏にはそれができなかった。若い夫婦の絶望をひしひしと感じてしまったからだ。そこで彼はなんと、担当外の自社物件はもとより、他社の物件情報まで集めて紹介してあげたのだ。その結果、その夫婦は何とか気に入る物件を購入することができた。当然、井上氏は上司から叱責されたが、その夫婦からは大変に感謝された。

 彼にとって、その経験は非常に大きかった。自社都合ではなく、顧客都合に基づいたビジネスほど、人々を幸せにできるものはないと、強く思ったのだった。その後、井上氏は、「日本全国を網羅した不動産情報のデータベースの必要性」を徐々に認識するようになる。

 たとえば、顧客価値の非常に高い物件は、すぐにも売れる(あるいは貸せる)物件であるため、不動産会社としては広告掲載をする必要がない。あるいは学生向けの安価なアパートの情報などは、仲介手数料収入が広告費に見合わないので、これも広告掲載はしない。そうした情報も合わせ、インターネットを使って、公平に、かつ広範にすべての不動産情報を伝えることができれば、正しく市場競争が促進される。そんな仕組みがあれば、不動産会社と一般消費者の「情報の非対称性」が解消され、住まいの選択の自由度が増す。井上氏はそう考えるようになった。

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