町内に住む親しいお婆さんの家に回覧板を届けに行ったときのことです。

呼び鈴を鳴らしドアを開けると、「いま手が離せないので置いておいてくれ」と声が聞こえてきました。玄関に回覧板を置き、帰ろうとすると私の名前を呼ばれ、「いつもありがとうね」と言われました。

それから数時間後、コンビニ帰りのその家の前を通りかかると救急車が停まっていました。話を聞くとそのお婆さんは昨晩に台所で倒れ、そのまま息を引き取ったらしいのです。

数時間前に確かに聞いたあの声、あれはなんだったのでしょうか。いずれにせよ、それが私の中でのおばあちゃんの最後の言葉としていまも大切に心の中に残っています。