師走の寒空の下、私は閑静な住宅街で、ある人物を待っていた。どうしても伝えたいことがあったから。不審者と思われたか、交番のお巡りさんが近づいてきた。にっこり笑顔で答える。
「ある方にお会いしたくてお待ちしているだけです」
 名乗って名刺を渡せば、お巡りさんもにっこりと、
「記者さんですか。念のためお聞きしますが、どなたをお待ちに?」
「お巡りさんならお分かりになっているでしょ?」
 そう返すと苦笑い。そりゃそうだ。地元の交番の警察官なら、記者が誰を待っているかはすぐわかる。 
週刊文春デジタル