週刊文春デジタル
近年は意識の高い映画人が多くなり、作品を通して現代の問題点を訴えかけようというのが、かなり目立つようになってきた。もちろん、そうした意識を持つことも、そうした作品自体も尊いものであることは大前提としてある。
ただ、そうした作品ばかりになっては、どうも息苦しくもなる。映画の効能として、現実逃避というのも大きい。せめて映画を観ている間くらいは、つらい現実を忘れることができる――。それもまた、映画の重要な役割だ。
そんな時は旧作、中でも新東宝の映画はありがたい。徹底して現実離れした娯楽を作り続けてくれたので、その作品を観ていると心が和むのだ。
今回取り上げる『花嫁吸血魔』も、そんな一本だ。タイトルからして意識が低い感が強いが、さすがは新東宝、我が期待を裏切らない。
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