週刊文春デジタル
犬は、犬というやつは。共に暮らし始めて数年たつが、自分の何倍もあるでっかい二足歩行の生き物を信頼し、愛し、共に生きようとしてくれるだなんてまるで奇跡みたいだな、と未だに新鮮に感動する。犬と共に歩く世界はひとりの時よりもずっと鮮やかで、きらきらと輝いて見える。あのつぶらな瞳に映る自分のことだけはどうしたって嫌いになれない。しっぽをぶんぶんふって走り寄る姿に毎度強烈な赦しを感じる。生きていていいんだ、と思える。
だから、『老犬とつづ井』の帯にある「愛犬というのは愛が犬のかたちをしているという意味です。」という一文に赤べこのように頷いた。