週刊文春デジタル
福井県の鯖江市で生まれ育った私は、将棋を習っていた時期があった。何故だか小さい頃から勝負事が得意だったようで、小学4年生の時には市の将棋大会で代表に選ばれ、県の大会で1位になったこともある。将棋好きだった父はそんな私を、「県で1位だからケンイチ君」と呼んで喜んでいたものだった。
でも、根がせっかちだからだろう。どこまでも深く、深くと熟考する将棋の世界が合わなくて、そのうちに飽きてしまった。そんな中、中高生の頃にのめり込んだのが麻雀だった。
大学に入って東京に出てきたとき、最も嬉しかったのは街に一人で入れるフリー雀荘があったこと。入学すると大学の授業そっちのけで、足繁く雀荘に通った。そのうちに大学の最寄り駅、本厚木にあったフリー雀荘で店長に声を掛けられてバイトを始め、蝶ネクタイを付けて、フリーで入ってくるおじさんたちと牌を打ちかわす日々をすごすようになった。
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