週刊文春デジタル
東映京都撮影所を中心に長年にわたって活躍してきた、映画美術の第一人者・井川徳道が亡くなった。
井川は多くの時代劇やヤクザ映画で見事なセットを設計してきた。中村錦之助が主演した「一心太助」シリーズの魚河岸、『十三人の刺客』の要塞化した宿場町、『忍者狩り』のピラミッドを意識したという霊廟、『伊賀忍法帖』の焼け残った大仏の手など、東映京都作品で強いインパクトを残す美術の大半は、この方の手によるものである。
まさに、名人だ。
今回取り上げる『緋牡丹博徒 お竜参上』は、「井川の匠の技」を堪能できる一本だ。