因果関係は難しい。
 医者はよく「原因は加齢です」と言う。だが、「加齢が原因」といっても、年齢を重ねると身体が不調になるとはかぎらない。現に、わたしは幼児のころは寝小便をしては怒られ、小学校に入っても寝小便がやめられず、一生寝小便かと家族は危惧していたが、年齢を重ねるうちに自然に卒業することができた。これからさらに年齢を重ねると、寝小便が再開するはずだ。加齢が原因で寝小便が治ったり、再開したりするのだ。
 医者が「加齢」と呼んでいるのは実は「老化」(加齢による劣化)のことだ。表現をやわらげるために「加齢」と表現しているのだ(「華麗」と勘違いすることを期待しているのかもしれない)。 
週刊文春デジタル