週刊文春デジタル
市川雷蔵と仕事をしたスタッフや俳優に取材すると、ほぼ必ず出てくる話がある。それは、時代劇のメイクをした際は凜々しく美しい一方で、普段のノーメイクの時は全くの地味な見た目になるというエピソードである。
雷蔵が凄いのは、だからといって現代劇を避けなかったことだ。むしろその特性を存分に活かして、時代劇とは異なる役柄に挑戦したのだ。
『炎上』『破戒』などの文芸作品で演じた繊細な青年役は、その代表的なところといえる。