新しい一万円札が発行され、世間にも出回るようになった。
 ただ、新一万円札を手にして「あれ、渋沢栄一ってこういう顔だったか――」と拍子抜けした人もいるかもしれない。大河ドラマ『青天を衝け』を観ていた人からすると、吉沢亮の「爽やかなイケメン」のイメージがあっただろう。また、一部の映画ファンは、もっと威厳のある肖像を印象づけられていたかもしれない。
 というのも、今回取り上げる『帝都物語』に登場する渋沢栄一のインパクトがあまりに大きいためだ。この映画を観た人にとっては、「これこそ渋沢栄一」という強烈な印象が、脳裏から離れることはなかったのではないだろうか。 
週刊文春デジタル