このところの時間の過ぎる早さといったら、空怖ろしくなるほどである。
 もはや「十二月は逃げる」などといった、古風なやさしい表現など出来ない。
 あっという間に週末がきて、月曜日になるとまたすごいスピードで金曜日が訪れる。そして土日も、これまたスケジュールがいっぱいだ。家でゆっくりしたことなど、この半年なかった。
 そんなある日、
「ハヤシさん、さぞかし忙しいことでしょう。息抜きに京都にいらっしゃいませんか」
 というお誘いをいただいた。
「紅葉の頃にぜひ」
 といっても十一月の土日も、びっしり予定が入っている。空いているのは十二月七日と八日の週末だけ。
「もうとっくに散っちゃってますよね」 
週刊文春デジタル