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【RPG小説】あなたってよく見るとドブネズミみたいな顔してるわね【第18回】
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【RPG小説】あなたってよく見るとドブネズミみたいな顔してるわね【第18回】

2013-12-21 00:00


    はじめから よむ (第1回へ)

     灼熱のフロアで出会った男賢者ニーチェは、賢者なのにギャンブルが辞められず、人生が破滅に向かっている打たれ弱いエリートだった。「今月も生活費がなくなる、頼むお金を貸してくれ」と捨てられた子犬のような目でぺこぺこ頭を下げるニーチェには「めをさませ」という呪文が心に響いた。目を覚ませという言葉は「寝坊だ!」という時にも使うが「しっかりしろ!」という時にも使う。どちらも夢を見ているのだ。

     ニーチェと同じフロアにぱふぱふ娘のポーラがいたのだが、まずぱふぱふ娘って何だよ。そこから驚きが隠せなかった。どんな仕事なのかはご想像にお任せするし多分ご想像通りで合っているのだが、このポーラという人、ギャンブラーを心から毛嫌いしている女性で「ギャンブルで全財産をスッたバカな人の気持ちってどんなの?」とニーチェに話しかけていた。なんでこんな相性最悪の二人が同じ階にいるのか。そんなにギャンブラーがキライならどっか別の階にいけばいいのに。ニーチェもニーチェで逃げればいいのに。たまたま僕がこの階を訪れたのが最悪のタイミングだっただけなのかもしれない。全財産をスッたギャンブラーの気持ちを知りたがっていたポーラは「なみだがとまらない」という呪文で説得した。目の前でおいおい泣いていたニーチェがいたので、説得力は抜群だったようだ。とはいえ後で聞いたところ、ポーラは全財産を衣服やアクセサリーにつぎ込んでいるようで、クレジットカードは限度額いっぱい、借金もしているらしかった。どうも自分のことは棚にあげる女性らしい。

     その他にも、家族を養うために週七で一日十八時間働く神父のノマドは端から見ていてもつらそうだった。明らかに目に生気がない。労働環境も劣悪で、嫁は専業主婦だそうだ。仕事があるだけマシだという風潮もあるが、ノマドを見ているとそんなこと口が裂けても言えそうにない。ありったけの誠意をこめて「もうやすめよ」という呪文をお見舞いした。倒れるまでがんばり続ける人を見たら止めよう。手遅れになるから。

     忍者のヤマカワは、必要最低限しか言わないクールで仕事の早い男だった。近づいていっても何も言わないので、何を考えているかわからない。ヤマカワが言ったのは「やま?」という一言だけだった。おそらく合言葉だろうと思ったが、合言葉なんて知らない僕ですら「かわ」という呪文を導きだせたのでこれは合言葉として機能していないと思う。ぜひ定期的に合言葉を変えることをオススメする。というより、仕事のできるヤマカワのことだ。僕なんかが心配するまでもなく、既にそんなことはやっているだろう。でもヤマカワって名前で合言葉を「やま」「かわ」にしてたらセキュリティ脆弱すぎるだろう。誕生日を合言葉にする方がまだマシな気がする。

     自分は取り替えの効く存在で、代わりはいくらでもいると思っている女僧侶オルガには「さみしいこというなよ」を唱えた。こういう人にはなんて言えば一番いいのか、本当にわからなかった。ヘタに励ますとどんどん落ち込んでいくし、かといって一緒にがんばろうとも言いがたい。きっとオルガにも何か思うところがあるんだろうから、何を言っても傷つけてしまいそうだった。悩んでいる人にはついアドバイスをしてしまいがちだが、そんなもの本人にはすでにわかっている、ということが多々ある。どうすればいいかはわかるが、何らかの事情があってそれをやりたくないのだ。女性は結論が欲しいのではなく、ただ同じところを一緒にグルグルまわっていてほしい時もあるらしい。

     ヒットマンを生業にしているという男ダルサラは、仕事は確実、腕も確からしいが、何を思ったのか「待ちくたびれたぞ。約束通り指定の口座に金を振り込め」と僕に言ってきたうっかりものだ。迷うことなく「ひとちがいです」という呪文を唱えたが、ヒットマンなのに人違いをするってどうなのか。本当に仕事が確実なのか。かなり恐ろしい人物だと思った。

     

     何度階段を上がっても灼熱のフロアが続き、今自分が何階にいるのかわからなくなりかけた頃だった。神官のくせに鼻につくしゃべり方をするオソランという男が、僕に言った。

    「お前が勇者? 嘘つくなよ、勇者は上の階にいるぜ」

     緊張が走った。

     ちなみにオソランはコネで神官になったらしい。仕事に対してなんの情熱もないようで、神に仕える人間としては最低の部類に入ると思う。「うそだろホントかよ」という呪文で大げさにリアクションを取ったら、とても愉快そうに笑っていた。自分の発言で人を笑わせるという経験はおそらく生まれて初めてに近かったが、僕の胸中はまったく穏やかではなく、上の階にいるであろう「ニセモノ」との対峙に心をかき乱されていた。ついにか。ついに来たのか。僕はヒロイックブレイドを堅く握りしめ、またも素晴らしいタイミングで増築された階段を上がっていった。

     僕が階段を登り始めても、オソランはまだ笑っていた。僕の顔がツボに入ったらしかった。こんにちは、フランケンシュタインです。


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    ・原作となるアプリはこちら(iPhone、Androidに対応しております)

    http://syupro-dx.jp/apps/index.html?app=dobunezumi

     

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