前回までで、ビールの二大カテゴリであるラガーとエールのお話をしました。
大雑把にいうと「ラガーには日本人にも馴染みのあるピルスナーがあり、エールは複雑な味わいのものが多い」ということを何となくイメージしていただけたでしょうか。
今回は、ラガーにもエールにも当てはまらない、独自のスタイルについてご紹介します。
まるでジュース? フルーツビール
日本ではなかなか見ませんが、果汁を使ったビールは世界中にたくさんあります。 特にベルギーでよく作られていて、チェリーやラズベリーといった赤い果物が人気のようです。
こちらはそのうちのひとつ、ボスクリ。やはりベルギーのフルーツビールで、ラベルに描かれている通り、ベリー系の爽やかで甘酸っぱい味がします。
アルコール度数は4パーセント。やや度数は高めですが、炭酸が効いているのでほとんどジュース感覚で飲めます。
他にもカシスや青リンゴ、ココナッツなどいろいろなフルーツを使ったビールがあります。
苦味よりフルーツの味と香りが強いので、ビールが苦手な人でも楽しめるのが嬉しいですね。
他にも食前に飲んで食欲を増したり、逆に食後酒として口の中をさっぱりさせたり、デザート代わりにするなど、色々な楽しみ方ができます。
ハーブやスパイスで香り豊かなビールもある
これまた日本ではあまり見かけませんが、シナモンやクローブといったハーブ・スパイス類が入っているビールもあります。これも保存性を上げるため、あるいは味を調えるためと思われますが、その起源は確かではありません。 なかなか味わうチャンスはないですが、例えばこんなものがあります。
こちらは「クッキービア」という、生姜やクローブなどが入った少し甘めのビールです。
ジンジャークッキーというお菓子のような味で、不思議とクセになりますよ。
他にも「クリスマスビール」と言われる、クリスマスの時期限定で発売されるビールで、ハーブやスパイスを使ったものがあります。
おそらく、これにはヨーロッパで親しまれているグリューワインというホットドリンクの影響があるかと思われます。グリューワインとは、赤ワインにオレンジやハーブ・スパイス類を入れて温めたもので、クリスマスマーケットなどでもよく売られています。
クリスマスビールに使われている香辛料や果物にはグリューワインとの共通点がみられますので、何かしら影響があったのでしょうね。
ちなみに、日本の香辛料を使ったビールもあります。
特にゆずを使ったものは日本だけでなく海外のメーカーも作っていて、そこそこ人気があるようです。
また、日本の地ビールメーカーで山椒を使ったビールを作っている会社もあります。季節限定品のためなかなかお目にかかれませんが、見かけたら試しに飲んでみてもいいかも。
フルーツビールやハーブ・スパイスビールのお話、いかがだったでしょうか。
特にハーブやスパイスの入ったビールは、甘みや薬草のような香りがキツく感じることもあるかもしれませんので、一度ビアバーなどで「どんな味ですか?」と聞いてから飲んでみるのが良いでしょう。
フルーツビールのほうは、同じ果物を使っていても銘柄ごとに甘さや酸味が異なることが多く、好みにピッタリ合うものを探すのも楽しみの一つです。
両方とも「ソフトドリンクでは物足りないけど、カクテルだとキツすぎる」といったときに、選択肢として覚えておくと便利ですよ。
次回からはちょっと趣旨を変えて、ビールを家で美味しく飲むためのコツをいろいろ紹介していきたいと思います。お楽しみに!