前回書いたように、レコーディング・ディレクターの本来の役割であるレコーディング現場の仕切り、つまり現場監督と、一般的にサウンドプロデューサーと呼ばれる、音楽的なジャッジとレコーディングにおける音源の責任者、この2つをどちらも担当していた事で、僕はレコーディング全てにおいて責任を持つことができた。

おまけに当然のことながら、最も大事な役割である予算管理も僕自身だから、もはや「BLUE BLOOD」のレコーディングは僕の独壇場だ。

全てを自分の自由な判断で進める事ができた僕は、Xのオリジナリティを爆発させることを主眼にしつつ、そのためにメンバーの気持ちを豊かにする事にも気を配った。

メンバーはとにかくひたすら音楽的なことに集中していたし、僕が毎日寝る時間を削ってレコーディングに臨んでいることをわかっていたから、特にわがままな要望などをメンバーからお願いされることはなかった。

だから僕が気を配ったのは、レコーディング中のメンバーの気持ちや精神状態だった。