生命力。
 
 おそらく僕は、あらゆるものに関して、生命力を感知しその違いを意識しながら生活している。
 
 この書き出し2行を読んで、妙な文章だと思った人は多いだろう。
 
 普通はあまり目にしない表現だからだ。
 
 少しずつ暖かくなり、風の香りで春が近づいているのがよくわかる・・・といった文章には馴染みがあるからすぐ頭に入るけれど、あらゆるものに関して生命力を感知しその違いを意識する・・・という表現には馴染みがないので、一体何のことだろう、と感じるのではないだろうか。
 
 実をいうと、これは一般的に「好き嫌い」と表現されるような内容の話なのだ。

 このアーティストのこの作品が好き。

 この映画と、この役者の演技が好き。

 こんな性格の人が好き。

 普通なら「好みのものと興味の湧かないもの」と分かれるようなものについて、僕は常に「生命力」を感知し、それが強いものを好み、弱いものに興味が湧かない。
 
 それは僕自身が音楽家であり、芸術の本質と常に向き合っているからだ。
 
 
 
 1988年初春に、YOSHIKIの才能に気づいた僕が、YOSHIKIがバッハやベートーヴェンのように「ゼロから作品を生み出す能力」を持っていることを伝えたエピソード。