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【夢と夕陽】61. 夢の始まり(6)
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【夢と夕陽】61. 夢の始まり(6)

2015-07-28 01:45


     賞発表の準備を何人かのスタッフとしていると、その中の一人が僕に話しかけた。
     
     「津田さん、X。あれ、まずいっすよね、危なかったですよね。あんな勝手なバンド、困ったもんですね。俺なんかさぁ、あのダラダラと続けてる煽り、何やってんだよー、と思ってさ、頭来たから止めようとしたんすよー。そしたらさ、何でか分からんけど、止めない指示が出てて驚いちゃった。でも、もう少し続けてたら、俺、PAんとこ行って、勝手に止めてたっすよ」
     
     「ええ!ほんとに〜?」

     咄嗟にひとこと、軽く応えながら、僕は自分の心境の変化に驚いていた。
     
     彼の発言を聞きながら、心の中で(こいつ、何もわかってねえな・・・)
     
     と思ったからだ。
     
     そもそも、演奏を止めない指示、というのは僕の判断によるものだ。
     
     オーディションの現場責任者としての判断で、あの煽りを止めなかったのだ。
     
     Xというバンドのわがままではなく、バンドの思想を理解し、応援したいと決意した、オーディション内部サイドの判断なのだ。
     
     そこまで人の心を動かすバンドの魅力・・・そこをわかっていない、ひとりのスタッフの感情など、オーディションという大切な機会に、何の価値があるのか。
     
     そんな思考を一瞬のうちに済ませて、彼の発言がどうでも良い内容だから、ひとことで済ませたのだ。
     
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