御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記
第3回 わたしの学校生活
【毎月第3水曜配信】
☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2016.12.21 vol.758

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今朝のメルマガは、香港の社会運動家・周庭(アグネス・チョウ)さんの連載「御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記」の第3回をお届けします。香港浸会大学の学生でありながら、立法会議員事務所の非常勤政策研究員と政党の副秘書長を兼任している彼女は、どんな学生生活を送っているのでしょうか。今月誕生日を迎えたばかりの周庭さんが、キャンパスライフや高校生活の思い出、20歳の抱負を語ります。

▼プロフィール
周庭(アグネス・チョウ)
1996年香港生まれ。社会活動家。17歳のときに学生運動組織「学民思潮」の中心メンバーの一員として雨傘運動に参加し、スポークスウーマンを担当。現在は香港浸会大学で国際政治学を学びながら、政党「香港衆志」の副秘書長を務める。

◎翻訳:伯川星矢

『御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記』これまでの連載はこちらのリンクから。


前回までの記事はわたしの政治観に関するものでしたが、今回はわたしの学園生活についてお話ししたいと思います。

わたしは今、香港浸会大学の政治・国際関係学科の3年生です。入学早々「雨傘運動」が起きて、そのために1年生の最初の学期ですぐに休学しました。多くの大学生は4年で卒業しますが、わたしは政党「香港衆志」と立法会(香港の国会)の業務を兼任し、さらに塾講師のバイトもしなければなりません。だから、履修できる単位数が少なく、出席も少ないので、卒業するまでに5、6年はかかりそうです。

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▲20歳の誕生日にもらったリュックサック

わたしは、大学とは若者が自分の時間を自由に使って、やりたいことをやる時期なのだと思っています。生徒会や部活動、サークルに参加する人もいる。外国へ留学する人もいる。アルバイトをして社会経験を積む人もいる。そんな中、わたしは社会運動に参加することと、政策研究をすることを選んだだけなのです。

「それではキャンパスライフを満喫できないのではないか?」と思われるかもしれません。香港の大学生には、学生の間にやるべき五つのことがあると言われています。「勉強」「サークル」「寮生活」「アルバイト」「恋愛」。このうち四つ目の「アルバイト」以外、わたしは達成できていません。立法会ネイサン・ロー議員事務所の非常勤政策研究員でありながら、香港衆志の副秘書長も務めているので、サークルに入る時間はありません。食費や交通費も含めて、全ての生活費を完全に自己負担しているので、寮に入る余裕もないのです。そもそも人付き合いがあまりうまくないので、学校の団体行事にも興味がありませんでしたし、集団行動が多くよく知らない人たちと共同生活をしなければならない大学寮は、あまり好きではありませんでした。

今学期は、毎週月・火・金曜日は15時か16時くらいまで授業が入っています。その後はすぐに香港中心街の金鐘にある立法会事務所に出勤し、議会の準備資料を用意します。授業がない水・木曜日は丸一日、立法会の仕事と政策研究に費やします。土日はお休みなので、塾講師のバイトで高校生に英語を教えたり、日本のアニメやバラエティ番組を見たりして過ごしています。それが毎日続くのは辛いのではないかと聞かれますが、現在のような立場になった以上、それに全力を尽くすのが筋だと思っています。

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▲高校生のときはフルートでオーケストラに所属。高3最後のパフォーマンス前に指揮者の先生と。


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高校の頃、学民思潮に参加してはいましたが、わたしの学校生活はとても色鮮やかなものでした。わたしは授業中に居眠りをしたり、宿題の未提出があったりする生徒でしたが、高校1年の頃に担任の先生から、なんと学級委員に任命されたのです。シフトや当番を決めて、定期的に生徒の制服などをチェックしていました。たとえばスカートを折って短くしていないか、校則違反のイヤリングはしていないかなど。あの頃、わたしもたまにこっそりスカートを短くしたり、校則違反をしたりしていたのに、なぜ他の「いい子」たちと一緒に学級委員に選ばれたのでしょうか? その当時は深くは考えないまま、3年間学級委員として頑張りました。

学校の図書委員を務めたこともあります。小さい頃から本が大好きで、小学校のときは毎日図書館から大量の本を借りて帰り、すぐに読んでしまって翌日に返却していました。今思い返すと感心してしまいます。小学校2年生から高校3年生まで図書室の学生管理人を務めていて、毎日放課後に、図書館で本の整理をしたり、本にカバーをかけたりするのを手伝っていました。中学の3年間、わたしは学校の代表として中学図書館管理人競技会に参加し、他校の学生と管理人としての知識を競い合いました。例えば図書分類法に関するクイズや、カバーかけの速さを競う競技がありました。ついに勝つことはできませんでしたが、とてもいい思い出です。

わたしは日本の学校生活をあまり知らないのですが、日本のアニメや漫画からおおまかな雰囲気はわかります。たとえば、とても楽しそうな学園祭や(必ずどこかのクラスがお化け屋敷をやるみたいですね)、高校3年生の進路相談(香港も似たようなものがあります)など。大学のキャンパスライフについても、立教大学でトークをしたことはありますが、やはり日本の大学生活についてはあまり詳しくありません。もっと詳しく知る機会があるといいなと思っています!

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▲バースデーケーキを手に「香港衆志」のメンバーと。

12月3日は、わたしの20歳の誕生日でした。10代から20代になったことは、わたしにとって大きな変化です。感覚的には一気に10年歳をとったような気分です。香港では日本とは違って、18歳で成人になりますが、やはり20歳には特別な意味があります。他人に甘えず、もっと大人になるように戒めてくれる年だと思います。ただ、わたしはこうも思うのです。大人になった将来のわたしが、社会の流れに呑み込まれずに、高校の頃から抱いている理想の社会を求める気持ちと、正義と公平さを欠いた出来事への義憤を忘れないでいてほしい。そんなふうに心から願っています。

(了)


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