今回から、不動産プランナーの岸本千佳さんによる新連載『都市を再編集する』が始まります。使い道のわからない建物の活用を企画段階から管理・運営までトータルプロデュースをしている岸本千佳さん。所有している側と利用する側、そしてその建物がある街までもを幸せにすることを目指す岸本さんの活動について語っていただきました。
「不動産プランナー」の仕事とは?
はじめまして、不動産プランナーの岸本千佳といいます。以前、宇野さんと対談させてもらいましたが、連載では初登場です。
「不動産プランナー」という職種、はじめてお聞きになったという方が多いかと思います。それもそのはず、私が勝手に名乗っているからです。要は、建物の活用を企画段階から管理・運営まで一気通貫でプロデュースしています(プロデュースというと偉そうな人が出てきそうなのでプランナーとし、不動産プランナーとしました)。
プロデュースといっても、「ホテルをつくってほしい」「カフェをつくってほしい」という具体的な目的が決まっているわけではなくて、たいてい「この建物をどうにかしたい(けどどう使ったらいいか分からない)」という依頼がほとんど。その依頼に、どう活用をしたらいいか、様々な角度から検証・提案をし、提案が通れば設計と工事を行い(工事はパートナー業者に依頼)、使う人を見つけ、建物が完成してからも場の運営を行う。つまり、建物と物件オーナーに、最初から最後まで一貫して寄り添う。社会人になって以来10年間、いかにも気が遠くなりそうなくらいこの仕事一筋でやってきました!
でも、手間がかかる分やる価値があるから辞められないわけで。誰もがどうにもできない建物をどう料理するか、それが腕の見せどころです。
たとえば、賃貸マンションの1階の奥まった空間があり、そこは、駐輪場のような物置のような使われ方がされていました。私は、その空間を見た時、アンダーグラウンドな雰囲気を気に入って借りる人がいるに違いないと、オーナーさんに貸出してみないかと提案しました。その結果、翌日には問い合わせがあり、この空間を気に入った方が借りてくれ、素敵なバーへと変貌を遂げました。
▲駐輪場バー「OLBONECAFE」。町内で初めてできた夜営業の飲食店で、西陣の老若男女が夜な夜な集う。
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