今朝のPLANETSアーカイブスは、2020年の東京オリンピックについての宇野常寛へのインタビューです。『PLANETS vol.9 東京2020 オルタナティブ・オリンピック・プロジェクト』の発売を控えて、東京とオリンピックが抱える課題と目指すべき未来像について徹底的に語りました。(構成:中野慧)
※この記事は2014年9月13日に配信された記事の再配信です。
▲『PLANETS vol.9 東京2020 オルタナティブ・オリンピック・プロジェクト』
■「64年の東京五輪をもう一度!」というノスタルジーにどう向き合うか
――ポップカルチャーをはじめとした「文化」の側から発言してきた宇野常寛という評論家が、スポーツの祭典であるオリンピックについて提言しようと考えたきっかけはどんなものだったんでしょうか。
宇野 2020年の東京オリンピックが決定したとき、これは放っておけないなと思った。このままだと2020年の東京五輪は、戦後日本の最後の盛り上がりに、線香花火が落ちる前にぱっと輝くあの最後の一瞬になってしまうんじゃないかと思ったんですよ。実際に、今回の東京五輪招致運動には、1964年の最初の東京五輪の時代の、高度成長の頃の日本を取り戻したいという願望が終始見え隠れしていたと思うわけ。あの日本人が自信を取り戻した64年よもう一度、とね。
でも、当時とは何もかも違う今の下り坂を転がり落ちる日本に、無理矢理オリンピックを呼んで表面的に元気なふりをしても何も生まないと思う。いい加減にこの国は「プロジェクトX」や『ALWAYS 三丁目の夕日』的な「あの頃はよかった」というノスタルジーから脱却すべきだと思う。
だから僕は逆に、自分たちが考える2020年のオリンピックを提案してやろうと思ったんですよね。亡くしたものの数を数えながら、過去の成功体験に逃げ込んで現実から目を逸らすのではなく、2020年に五輪がやってくることを「利用」して、〈古い日本人の思い出を温めるもの〉から〈新しい日本人の希望になるもの〉に変えていくことが必要なんですよ。
そこで、僕自身が編集長となって刊行している「PLANETS」の最新号、『
PLANETS vol.9』(以下、『P9』)の特集を「東京2020」として、オリンピックに関連する社会提案を出していこうと考えたんです。
■「テレビオリンピック」から「インターネット以降のオリンピック」へ