宇野常寛が火曜日のキャスターを担当する番組「NewsX」(dTVチャンネルにて放送中)の書き起こしをお届けします。4月30日に放送されたvol.33のテーマは「メディアと平成」。ハフポスト日本版編集長の竹下隆一郎さんをゲストに迎えて、平成の30年間の出来事を振り返りながら、現在のメディア状況はいかにして生まれたのか。インターネットは日本をどう変えていったのかについて考えます。(構成:籔和馬)
NewsX vol.33 「メディアと平成」
2019年4月30日放送
ゲスト:竹下隆一郎(ハフポスト日本版編集長)
アシスタント:加藤るみ
宇野常寛の担当する「NewsX」火曜日は毎週22:00より、dTVチャンネルで生放送中です。
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平成30年間のメディア史を三分割して振り返る
加藤 NewsX火曜日、今日のゲストはハフポスト日本版編集長、竹下隆一郎さんです。
宇野 平成最後の夜は、竹下さんとしっぽりとメディアについて語って終わろうかと思って、今日お呼びしました。
加藤 今日のテーマは『メディアと平成』です。
宇野 今ありとあらゆるところで、平成の30年を総括する企画が行われていると思うんだけれど、せっかく竹下さんがゲストなので、今日はメディア史の観点から平成の30年を総括してみたいと思っています。
加藤 最初の議論のテーマは「平成のメディア史」です。
宇野 前半は平成のメディア史を二人で振り返りながら議論して、後半にこれから僕らがどう攻めていくのかも含めて、総括していけたらなと思っています。竹下さん的に平成30年のメディアはどういうものだったんですか?
竹下 SNSが出てきたのが、めちゃくちゃ大きいですよね。もちろんWindows95や98が出てきて、個人が発信できる時代だとか、マスメディアが意味なくなると言われていたんですけど、やっぱりリアリティを持って実感できたのは、2000年代半ばぐらいからFacebookやTwitterが出てきて、誰もが気軽に発信できるようになって、マスメディアの力が弱くなって、個人の力が強くなったというのは、めちゃくちゃ大きかったなと思いますよね。
宇野 僕は「序破急」だと思っているんですよ。平成の30年は、ちょうど10年ずつ区切ることができて、最初の10年はとにかくマスメディアの力がマキシマムになった10年なんですよね。業界では有名な話ですけど、テレビも広告も出版も、全部1997〜1998年ぐらいが売り上げ的にはピークなんですね。なので、平成の最初の10年間は、20世紀の発明であるマスメディアが日本の人口1億2000万人を、ほぼ全体主義といっていいくらいひとつにした。
当時は学校で「昨日、何観た?」と聞かれたら、それは絶対に民放のドラマやバラエティ番組で何を観たかということだった。それに国民の大多数がJポップを聴いていたんだよ。Jポップという言葉をつくったJ-Waveができたのが、ちょうど平成のはじまった頃で、ドリカムやB’zや小室ファミリーなどの曲をみんなが聴いていた。
それが平成の中盤の10年でインターネットが生まれて、メディア状況がガラッと変わった。平成10年代は、人々がインターネットという新しい力に戸惑いながらも、希望を持っていた10年だと思う。
そして、平成の最後の10年は、インターネットという新しいメディアに逆に振り回されて、人々が迷走を始めた10年じゃないかなと僕はなんとなく思っているんですよね。