• このエントリーをはてなブックマークに追加
脚本家・井上敏樹エッセイ 男と××× 第53回「男と食 24」
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

脚本家・井上敏樹エッセイ 男と××× 第53回「男と食 24」

2019-11-27 04:36
    02edd60c55eaada51c49f405cb6f4725455f8368
    平成仮面ライダーシリーズなどでおなじみ、脚本家・井上敏樹先生のエッセイ『男と×××』。今回は秋の風物ギンナンの話題です。毒性がありながら、茹でても炒っても美味く、パンケーキに加えても絶品という食材。その怪しく官能的な風味は、少年時代、小学校の裏庭でギンナンを齧ったときの、強烈な体験の記憶を呼び起こします。

    男 と 食  24      井上敏樹 

    突然だが、最近気になる事がある。テレビの料理番組や和洋を問わず多くのレストランで使われる『シンプルに塩だけで焼きました』というセリフだ。もちろん料理人が料理の説明をする時の言葉なのだが、何が気になるかと言えば『シンプルに』という部分だ。別に塩で焼くのが悪いわけではない。素材の味を引き立てる最高の料理法のひとつである。だが、料理人としては客に『こっちは金を払うのに手間をかけていない。塩焼きなら家でも出来る』『手抜きである』等と思われるのではないかという危惧を覚えるのだろう。そこで『シンプルに』という枕詞を使うわけだ。『シンプル』とはいい言葉だ。美しい。日本人好みだ。客も『そうか、敢えて簡単な料理法を選択しているのだな』と納得する。だが、私は気になるのだ。言い訳がましい。へりくだっているようで上から目線だ。商売人としの小狡さが見え隠れする。だから嫌だ。『塩で焼きました』とシンプルに言えばそれで良い。


    kokomade■PLANETSチャンネルの月額会員になると…
    入会月以降の記事を読むことができるようになります。
    ・PLANETSチャンネルの生放送動画アーカイブが視聴できます。

     
    この記事は有料です。記事を購読すると、続きをお読みいただけます。
    入会して購読

    チャンネルに入会して、購読者になればこのチャンネルの全記事が読めます。

    入会者特典:当月に発行された記事はチャンネル月額会員限定です。

    ブログイメージ
    PLANETS Mail Magazine
    更新頻度: 不定期
    最終更新日:2024-11-13 07:00
    チャンネル月額: ¥880 (税込)

    チャンネルに入会して購読

    ニコニコポイントで購入

    続きを読みたい方は、ニコニコポイントで記事を購入できます。

    コメントを書く
    コメントをするにはログインして下さい。