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今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第12回をお届けします。
今回ご紹介するのは『東京ラブストーリー』『最高の離婚』『カルテット』などで知られる脚本家・坂元裕二脚本の『花束みたいな恋をした』です。
終電を逃し、偶然出会った大学生ふたりが、恋に落ち、同棲し、社会人になっていく、その過程を丁寧に描いた本作。20代前半に新宿ルミネのお笑いライブに足を運び、映画を愛し、部屋でレコードを聞く日々を過ごしていたるみさんには深く深く突き刺さったそうで……?

加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage
第12回 『花束みたいな恋をした』── 恋の終わりは苦いもの、だけじゃない

あけましておめでとうございます。
加藤るみです。

年々、1年が過ぎるスピードが凄まじく速くなっている気がします。

こんなことを言うようになり、なんだか歳を取ったなぁとしみじみ思いますが、この前、旦那とふと年齢の話になったときに、「アラサーのるみちゃん」というワードが出まして。
現時点で25歳なので、アラサーっちゃアラサーなんですが、アラサーという言葉の存在感に胸をズキズキさせられました。アラサーという言葉は遠い日のことだと思っていたのに……。

でも、なんだかしっくりくる、ラジオネームのような「アラサーのるみちゃん」。

まあ、年齢なんて数字に過ぎないと思っているので、アラサーだろうがなんだろうが今年もアンチエイジングに励みつつ、楽しく生きれたらなと思います。
さて、そんなアラサーのるみちゃん(結構気に入っている)が2021年一発目に紹介するのは、こちらの作品。

坂元裕二さん脚本、菅田将暉さん×有村架純さんのW主演で贈る、2020年の東京を舞台にしたラブストーリー『花束みたいな恋をした』です。

これは……とんでもない映画でした。
11月初旬に試写で観たんですが、かれこれ3ヶ月くらいずっと頭の中にこの映画が残っています。
多分、10代後半〜20代前半にどんな恋をしてきたかとか、どんな環境にいたかとか、人によってこの映画の刺さり方は変わってくると思うんですが、(それはどんな映画でもそうですね)少なくとも、20代前半を東京で過ごし、ヴィンテージチャンピオンを着て中野周辺を徘徊し、月1くらいで新宿ルミネのお笑いライブに行き、映画を愛し、サブカルにまみれた部屋でレコードを聴いていた私には刺さりすぎました。いや、突き抜けました。

この物語の既視感は、もはや「私の再現ドラマでは?」と思うほど。
めちゃくちゃ恥ずかしくて、見ていられない気持ちになりました。

思い出したくもない過去なのに、思い出されて仕方がない。
そんな矛盾した感情に掻き乱されながら、ラストでは爽やかに泣けるという、
私と同じ今20代くらいのサブカル民の仲間たちには、覚悟して観てもらいたい映画です。

舞台は東京。
京王線明大前駅で終電を逃したことから偶然出会った大学生の麦(菅田将暉)と絹(有村架純)。
好きな映画や音楽がほとんど同じという、似たもの同士の二人はあっという間に恋に落ち、二人が大学生からフリーター、同棲、社会人になるまでの事細かな日常のリアルを描いています。
出会いから別れという物語の流れは、爽やかさをプラスしたカップル版『マリッジ・ストーリー』のような作りになっています。

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©2021『花束みたいな恋をした』製作委員会

前半は、菅田将暉さん×有村架純さんが贈る『ときめきメモリアル』。
愛おしすぎる、ごく普通の日常を切り取っていて、それも日本を代表する若手俳優の二人がとびっきり、ありったけの演技をするのだから、良くないわけがないんですよ。
これを見たらきっと、男性は有村架純さんが元カノに見えて、女性は菅田将暉さんが元カレに見えてくると思います。現に、私は菅田将暉さんが元カレだったんだと思い込んでいます(笑)。
女子同士で観に行ったら、「菅田将暉、私の元カレだ!」論争が起きること間違いなし。

麦と絹の何気ないデートの内容は、the大学生な感じなんですが、ポップな演出が効いていていちいちサブカル女(私)のツボを抑えてくるんですね。


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