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記事 14件
  • 『旅立つ息子へ』──共依存の先にある親子の絆|加藤るみ

    2021-02-18 07:00  
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    今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第13回をお届けします。今回ご紹介するのは、是枝裕和監督とも並び称されるイスラエルの巨匠、ニル・ベルグマンの『旅立つ息子へ』。自閉症スペクトラムを持つ息子と父との絆を描く、実話を基にした物語です。「自分がいないと息子は生きていけない」と思い込んでいた父は、やがて成長していく息子の姿を見て……?一昨年に結婚を発表したばかりのるみさんが、「愛」と「依存」の狭間で揺れ動く親子関係について語り倒します。
    加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage第13回 『旅立つ息子へ』──共依存の先にある親子の絆
    おはようございます、加藤るみです。
    ついに、私、自動車運転免許を取得しました。
    やっと、やっとです。 免許を取って痛感しました。 免許とは、自分自身との戦いなのだ……と(大げさ)。
    私が免許を取ろうと本気で行動に移したのは、今から3年前。 まだ東京に住んでいる頃でした。 電車移動で事が足りて、特に車が必要ない東京に住んでいても、岐阜という"一家に一台"が当たり前な車社会の田舎で生まれ育った私は、車に乗ることへの憧れを消せずにいました。 私以外の家族はもちろんみんな免許を持っていて、地元の同級生も免許を持っていない子なんていなくて、生まれ育った環境から私のDNAには「免許取ったら車でイオン♪」的なマイルドヤンキー精神が刻み込まれているのです。 さらに私の免許取りたい欲に拍車をかけたのは、『レディバード』('18)の主人公が故郷に帰って車を運転するラストシーンを観てから。 あのシーンを見たら、免許を取って岐阜の田舎ロードをエモエモドライブせずにはいられないでしょう。
    そんなこんなで「免許を取ろう!」と決意した私は、最近「一発試験」で免許を取得したという先輩のオススメもあり、同じく一発試験を受けることにしました。 東京の教習所は田舎に比べて料金が1.5倍くらい高いのと(さすが東京価格!)、当時住んでいた中野から通いにくいこともあったので、「一発試験のほうが手っ取り早いな」とそのときは思ったんですよね。そのときは。
    そう、私の免許地獄はここから始まったのです……。
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  • 『花束みたいな恋をした』── 恋の終わりは苦いもの、だけじゃない|加藤るみ

    2021-01-26 07:00  
    550pt

    今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第12回をお届けします。今回ご紹介するのは『東京ラブストーリー』『最高の離婚』『カルテット』などで知られる脚本家・坂元裕二脚本の『花束みたいな恋をした』です。終電を逃し、偶然出会った大学生ふたりが、恋に落ち、同棲し、社会人になっていく、その過程を丁寧に描いた本作。20代前半に新宿ルミネのお笑いライブに足を運び、映画を愛し、部屋でレコードを聞く日々を過ごしていたるみさんには深く深く突き刺さったそうで……?
    加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage第12回 『花束みたいな恋をした』── 恋の終わりは苦いもの、だけじゃない
    あけましておめでとうございます。 加藤るみです。
    年々、1年が過ぎるスピードが凄まじく速くなっている気がします。
    こんなことを言うようになり、なんだか歳を取ったなぁとしみじみ思いますが、この前、旦那とふと年齢の話になったときに、「アラサーのるみちゃん」というワードが出まして。 現時点で25歳なので、アラサーっちゃアラサーなんですが、アラサーという言葉の存在感に胸をズキズキさせられました。アラサーという言葉は遠い日のことだと思っていたのに……。
    でも、なんだかしっくりくる、ラジオネームのような「アラサーのるみちゃん」。
    まあ、年齢なんて数字に過ぎないと思っているので、アラサーだろうがなんだろうが今年もアンチエイジングに励みつつ、楽しく生きれたらなと思います。 さて、そんなアラサーのるみちゃん(結構気に入っている)が2021年一発目に紹介するのは、こちらの作品。
    坂元裕二さん脚本、菅田将暉さん×有村架純さんのW主演で贈る、2020年の東京を舞台にしたラブストーリー『花束みたいな恋をした』です。

    これは……とんでもない映画でした。 11月初旬に試写で観たんですが、かれこれ3ヶ月くらいずっと頭の中にこの映画が残っています。 多分、10代後半〜20代前半にどんな恋をしてきたかとか、どんな環境にいたかとか、人によってこの映画の刺さり方は変わってくると思うんですが、(それはどんな映画でもそうですね)少なくとも、20代前半を東京で過ごし、ヴィンテージチャンピオンを着て中野周辺を徘徊し、月1くらいで新宿ルミネのお笑いライブに行き、映画を愛し、サブカルにまみれた部屋でレコードを聴いていた私には刺さりすぎました。いや、突き抜けました。
    この物語の既視感は、もはや「私の再現ドラマでは?」と思うほど。 めちゃくちゃ恥ずかしくて、見ていられない気持ちになりました。
    思い出したくもない過去なのに、思い出されて仕方がない。 そんな矛盾した感情に掻き乱されながら、ラストでは爽やかに泣けるという、 私と同じ今20代くらいのサブカル民の仲間たちには、覚悟して観てもらいたい映画です。
    舞台は東京。 京王線明大前駅で終電を逃したことから偶然出会った大学生の麦(菅田将暉)と絹(有村架純)。 好きな映画や音楽がほとんど同じという、似たもの同士の二人はあっという間に恋に落ち、二人が大学生からフリーター、同棲、社会人になるまでの事細かな日常のリアルを描いています。 出会いから別れという物語の流れは、爽やかさをプラスしたカップル版『マリッジ・ストーリー』のような作りになっています。
    ©2021『花束みたいな恋をした』製作委員会
    前半は、菅田将暉さん×有村架純さんが贈る『ときめきメモリアル』。 愛おしすぎる、ごく普通の日常を切り取っていて、それも日本を代表する若手俳優の二人がとびっきり、ありったけの演技をするのだから、良くないわけがないんですよ。 これを見たらきっと、男性は有村架純さんが元カノに見えて、女性は菅田将暉さんが元カレに見えてくると思います。現に、私は菅田将暉さんが元カレだったんだと思い込んでいます(笑)。 女子同士で観に行ったら、「菅田将暉、私の元カレだ!」論争が起きること間違いなし。
    麦と絹の何気ないデートの内容は、the大学生な感じなんですが、ポップな演出が効いていていちいちサブカル女(私)のツボを抑えてくるんですね。
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  • 激動どころじゃない2020年! 今年の映画ベスト10|加藤るみ

    2020-12-16 07:00  
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    今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第11回をお届けします。今回は加藤るみさんが選ぶ、2020年の映画ベスト10を発表します。『パラサイト』の韓国映画として初のアカデミー賞受賞にはじまり、新型コロナウイルスの感染拡大により映画館で鑑賞することそのものにも変化が起きた2020年。そんな激動の1年間で公開された作品の中から、るみさんが選んだ10本とは?
    加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage第11回 激動どころじゃない2020年! 今年の映画ベスト10
    おはようございます、加藤るみです。
    今年も残すところわずかになりました。 私にとっての2020年は、拠点を東京から大阪に移すことから始まり、振り返ってみると激動という言葉だけでは収まりきらないほど色々なことがあった1年でした。
    新天地で気合いを入れて活動しようと思いきや、地球は未知のウイルスに侵略されたり、なかなか自分の思うように物事が進まなかったり……。 ……と、今年が物足りない1年だったことをすべてコロナのせいにしようかと思いましたが、本音を言うと「自分の頑張りが足りなかっただけでは?」と、情けない気持ちになる自分もいることをここに書き留めておきます。
    それでも、自信を持ってやり遂げたと言えることもあって、それは、今年は去年より映画を沢山観れたぞ! ということです。 思う存分インプットできた1年になったので、来年はアウトプット、ゴジラで言うと第3形態から第4形態のように変化し、地に足をしっかりつけ、熱腺を放出できるような1年にできたらいいなと思います。
    さて、今回は2020年の映画総括ということで、毎年恒例の映画ベスト10を発表したいと思います。 私のベスト10は、今年劇場公開がされた作品の中から選んでいきます。
    今年は、面白い作品が多かったので、悩みに悩みました。 昨年は、迷わず『アベンジャーズ/エンドゲーム』を1位にしたのですが、正直、今年はTOP3までは全部1位にしたかったくらいで、めちゃくちゃ苦しんで順位をつけました。
    では、早速10位から発表していきたいと思います!
    10.『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』

    今年公開された、ウディ・アレンの新作です。 養女に対する幼児虐待疑惑で炎上し、ここ数年ハリウッドから追放状態にあるウディ・アレン。 その影響でアメリカではお蔵入りとなった本作でしたが、日本では今年の7月に公開が実現しました。 この件については、まだ心のモヤモヤが拭いきれていませんが、だからと言って事件の真相がわからないまま、あーだこーだと部外者である私が何も言う権利はないと思っています。 もちろん、性的な虐待、暴行、暴力は容認しません。 ですが、この情報が錯乱しているなかリンチかのように集中的に石を投げ続けることはとても虚しいですし、映画や映画作家を社会的に抹殺することについても疑義を持っています。 ウディ・アレンを好きになってから、新作は毎回映画館で観てきた私ですが、今回は劇場で観る気が起きず、最近になって気持ちが落ち着いて、ようやく鑑賞することができました。
    単刀直入に言うと、これを映画館で観なかったのは、ウディ・アレン作品のファンである私からすると惜しいことをしたなぁと思います。 ウディ・アレンの代名詞でもある、NY。  『それでも恋するバルセロナ』('09)、『ミッド・ナイト・イン・パリ』('11)、『ローマでアモーレ』('13)など、ヨーロッパ編も大好きですが、生粋のNY派であるウディ・アレンが描く『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』は、特別としかいいようがないNYへの愛がたっぷり詰まったラブレターでした。 やはり、NYを撮らせたら天下一品、右に出るものはいないと思います。 カーライルやピエールといった、最高のクラシックホテルを舞台に、大学生カップルのティモシー・シャラメとエル・ファニングがNYという街に翻弄されていくのですが、もうこのキャストの絵面だけでも相当に眼福です。 親のスネをかじりながら、ギャンブルで儲けたお金で彼女と高級ホテルに泊まるティモシー・シャラメは本当にどうしようもなく情けない奴なのに、その気だるい色気にやられてしまうんですよね。 ティミーったら罪な男(ティモシー・シャラメ愛が止まらなすぎて最近は愛称で呼んでいる私)。
    そして、この映画のタイトルにも入っている雨というモチーフですが、 ウディ・アレンは「雨はロマンスや愛を象徴している」と、語っていて雨のNYを超ロマンチックに演出しているんです。 たまたま映画のエキストラをすることになったティモシー・シャラメがセレーナ・ゴメスと雨のなかキスするシーンは、『ミッド・ナイト・イン・パリ』のラストシーンに並ぶほど良かったです。 ウディ・アレンは魔法をかけるかのように一番良いシーンで雨を降らせるのですが、雨が降るからこそ一番良いシーンになるのかもしれません。 けれど、物語としては前作の『女と男の観覧車』('18)やその前の『カフェ・ソサエティ』('17)と比べるとキレを感じられず、変に小さくまとまってしまった終わり方だったなぁと思います。 私的にウディ・アレンは、"憧れ"の舞台で"憧れない"物語を描いてきた監督だと思っているんですが、もう少し人生の渋さや苦さが可笑しく思えるスパイスが欲しかった……ということで、少し辛めに、10位としました。
    9.『ナイブズ・アウト/名探偵と刀の館の秘密』

    『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』('17)で我々スター・ウォーズファンを奈落の底に突き落としたライアン・ジョンソン監督のミステリー映画。 ヒドイこと言うかもしれないですけど、多分これを期待して観る映画ファンはあんまりいなかったんじゃないかと思うんです。 だって、スター・ウォーズをハチャメチャにしてくれた、信頼も何もない、あのライアン・ジョンソン監督ですもん。 でも、これが面白かっ…………たんですよ。 「どひゃーーーー‼‼ あんた、やるじゃない!」みたいな(笑)。
    「007」シリーズの完全無敵なジェームズ・ボンドとは一味違い、ちょっと頼りなくて胡散臭い探偵ダニエル・クレイグがある金持ち一家の殺人事件の真相に迫っていくんですが、物語はものすごくベタな展開になるかと思いきや、出てきたのは現代的で新しさを感じるハイセンスミステリー。完敗でした。 途中で一旦わかった気になっていたら、ラスト30分くらいで更に面白くなるんです。 そして、何よりオチが最高にシャレていて、このラストシーンだけで白飯5杯……いや盛りすぎました。3杯はイケます。 監督ライアン・ジョンソンに「スター・ウォーズの件はボロクソ言ってごめんね」と謝りたくなるほど、老若男女楽しめるエンターテイメントとして仕上がっていて、ここ数年のミステリーで群を抜いて痛快でした。
    彼の次作が楽しみです。
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  • 『The Witch/魔女』──キム・ダミという名の感情凶器|加藤るみ

    2020-11-17 07:00  
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    今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第10回をお届けします。今回ご紹介するのは、平凡な女子高生が秘められた力を覚醒させ、天才サイキッカーとして戦うアクション映画、『The Witch/魔女』です。2018年に公開され、韓国国内では観客動員数318万人を超える大ヒットとなった本作。洗練されたサイキックバトルの演出と超展開のストーリー、そして新人賞を総なめにした主演女優の名演技が光る本作の魅力を語り尽くします。
    加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage第10回  『The Witch/魔女』──キム・ダミという名の感情凶器
    おはようございます。加藤るみです。
    いきなりですが、私、映画で描かれる「水中キスシーン」が大好きなんです。 以前、『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』のコラムでもチラッと書きましたが、これはもうフェチの域なんですね。
    そんな私が最近、「水中キスシーン」に匹敵するくらいツボに入ったフェチなシーンを見つけてしまったんです。 それは、何かを食べながらのキスシーン。略して「ながらキスシーン」です。 これにハッとしたのは、11月27日から公開の『ヒトラーに盗られたうさぎ』の試写を観た時でした。 この作品は、ナチス迫害を逃れるため、故郷ドイツを離れ、過酷な亡命生活を強いられることになった家族の物語です。貧困や差別、苦しい環境のなかで生きる希望を見出していくんですが、夫婦のささやかな幸せを描いているシーンがとても可愛らしかったんです。 お金がない中、明るく家庭を支える奥さんに旦那さんがチョコレートケーキを買ってあげて、公園のベンチで2人だけの時間を過ごす。そのケーキに奥さんがガブーッとかぶりついて、そのチョコレートケーキを食べながらキスするシーンが、もう最高にロマンチックで……。
    そのシーンを見た時、なにかビビビビーッと電流が走ったんです。あ、私が探し求めていたのは「……これだ‼‼」と(笑)。 もう、口周りとかもチョコレートでベタベタなんですけど、それが良い! それが可愛いんです!
    さらに、そのシーンを観て記憶の扉が開いて、思い出した作品が『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』('97)。劇中で、マット・デイモン演じる主人公・ウィルが初デートでハンバーガーを食べながら彼女にキスするシーンがあるんですが、そのシーンがたまらなく好きで……!キスしたあと、ミニー・ドライヴァー演じるスカイラーが「I think I got some of your pickle! 」と言う、ザ・アメリカンな返しが最高に微笑ましい名シーンです。 そのシーンを思い出して「ああ! これも『ながらキス』だ!」と、ニヤニヤしてしまいました。 この、しょうもないようで私にとってはとても重要な世紀の大発見「ながらキス」について、これからしっかりと研究していきたいと思います。「水中キスシーン」や「ながらキスシーン」をもし見つけた方は、ぜひ教えてくれると嬉しいです。
    さて、今回ご紹介する作品は、『The Witch/魔女』(’18)。 NetflixやAmazon primeなどで配信されている韓国映画で、韓国では観客動員数318万人を突破した超ヒット作品です。

    ▲『The Witch/魔女』
    ……なのですが、実はこの作品、日本では全国ロードショーではなく、2018年にシネマートさんなど、一部の映画館の企画上映で上映されたのみ。 なので、私も劇場では観れず、配信で観て、「何コレ⁉ めちゃくちゃ面白いんですけど⁉」と、衝撃を受けました。
    なのにこの作品、意外と話題になっていない……!
    「WHY⁉⁉」ということで、今回ご紹介したいと思います。 韓国映画好きな方はもちろん、コロナ禍で大流行した韓国ドラマ『梨泰院クラス』(’20)にハマった人には特にオススメしたい作品です。
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  • 『オン・ザ・ロック』──浮世離れした「彼女の物語」から「私たちの物語」へ|加藤るみ

    2020-10-07 07:00  
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    今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第9回をお届けします。今回ご紹介するのは、巨匠フランシス・フォード・コッポラの娘、ソフィア・コッポラ監督の最新作『オン・ザ・ロック』です。昔ながらの破天荒な父と現実主義者の娘がマンハッタンの夜を駆け巡る冒険を面白可笑しく描いた本作。今までスーパーセレブ独特のきらびやかな世界観を描いてきた彼女の作風にはいまいちハマれなかったというるみさんですが、本作は傑作だと太鼓判を押します。
    加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage第9回 浮世離れした「彼女の物語」から「私たちの物語」へ──ソフィア・コッポラ『オン・ザ・ロック』
    おはようございます。加藤るみです。 今回は、私が今までハマれなかった、ある監督の最新作を紹介します。
    正直、これまでまったくと言っていいほどピンとこない監督だったんですが、この作品をキッカケにどうしようもなく大好きになってしまいました。
    ご紹介する作品は、『オン・ザ・ロック』。 Apple Original FilmsとA24が製作を手掛けた、ソフィア・コッポラ監督の最新作です。
    言わずと知れた映画界の巨匠フランシス・フォード・コッポラの娘、ソフィア・コッポラ。 彼女の映画は絵画のように美しいビジュアル、ポップでキュートな衣装やハイセンスな音楽が特徴で、まさに誰もが憧れる煌びやかな世界が広がる、ガールズムービーのレジェンド的存在です。
    誰もが憧れるゴージャスな生い立ちを持ち、時には偉大な父を持つ二世ならではの苦悩さえも武器にする、自伝的要素が強めな作品の数々。 地位も名誉も兼ね備えたスーパーセレブ独特の目線で描かれていて、クリエイティブな才能に溢れた映画一家で育ったからこその育ちの良さがビシバシ伝わってきます。
    特に、アカデミー賞で脚本賞を受賞した『ロスト・イン・トランスレーション』('03)は、小さな頃からハリウッドで育ち、よく父の仕事についていったという、映画界をその目で見てきた彼女にしか作れない映画になっていると思います。 前夫であるスパイク・ジョーンズ監督とのすれ違いをインスピレーションにしていたのも明白で、非常にプライベートフィルム的要素の強い作品です。
    セレブのかったるい日常を優美に描いた『SOMEWHERE』('10)もまた、自伝的要素が強い映画で、エル・ファニングの可愛さだけが印象的でした。
    さらに、実際にあったティーンエイジャーの窃盗事件を基にしたクライム・ドラマ『ブリングリング』('13)では、何不自由なく育った裕福な少年少女が欲を満たすため遊び感覚で窃盗を繰り返すという、凡人には到底理解できない危うい感覚やギラつきを描いています。
    というように、ソフィアの映画はわりとしっかり追ってきたつもりですが、最初に書いたように、これまではいまいちハマれず、ときめきを感じることができなかったんです。
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  • 『シンプルフェイバー』──「これは誰にも言わないでね」の恐ろしさ|加藤るみ

    2020-09-16 07:00  
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    今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第8回をお届けします。今回ご紹介するのは、1人の女性の失踪をきっかけに明らかになっていく女同士の秘密を描いたサスペンス『シンプルフェイバー』。「これは誰にも言わないでね」とラフに打ち明けられる、薄っぺらくも心をざわつかせる「秘密」の恐ろしさを描いた本作の魅力を語り倒します。
    加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage第8回『シンプルフェイバー』
    おはようございます、加藤るみです。
    8月も終わり、もう9月半ば。 今年もあっという間にあと残り約3ヶ月になってしまいました。
    先月は『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』について書きましたが、かなり好調らしく……! 沢山のミニシアターで満席が続出し、公開劇場の拡大まで決定という、このコロナ禍では異例のヒットを飛ばしています。 公開前から自信を持って「コレは良い!」と、イチオシしていた作品なので、心の中でドヤ顔をしています。
    評判を検索してみたところ、毛色のまったく異なる作品ですが、去年アカデミー賞を受賞した『パラサイト』と同じような現象が起きているようで、TwitterやInstagramなどSNSでの盛り上がりに比例して、あまり映画に興味がない層にもジワジワと届いているようです……(映画ヲタの私はこれが一番嬉しい!)。
    『パラサイト』はネタバレ厳禁というメッセージと、なんと言ってもアカデミー賞という最高の宣伝ワードがありましたが、「なんか流行ってるから観に行こう」と映画館に脚を運ぶミーハー層が、いまの映画界にとってめちゃくちゃ大事な存在だと私は思っていて、そう思わせることが、これからの映画マーケティングに必要なことかもしれないと『パラサイト』『ブックスマート』の一連の流れで痛感しました。 今年の作品では、『ミッドサマー』もミーハー層を上手く取り込めていた印象があります。
    もちろん作品が面白く、魅力的であることは大前提ですが、一連の動きを見ていると、作品をどう届けるかが大事なのだと考えさせられます。
    ……と、いち映画ファンの戯言をつらつら書いたところで……(これについては語り出すと止まらない)。
    今回はNetflixで見つけた掘り出し物を紹介します。 久々に「こんな傑作を見逃していたとは!」と、劇場で観なかったことを後悔しました。 去年公開の作品ですが、リアルタイムで観ていたら確実に年間ベストに入れていたでしょう!
    タイトルは、『シンプルフェイバー』(’19)です。

    ▲『シンプルフェイバー』(画像出典)
    ダーシー・ベルのミステリー小説『ささやかな頼み』を原作に『ゴーストバスターズ』('16)『ラストクリスマス』('19)のポール・フェイグ監督が映画化したサスペンス作品です。 サスペンスと謳っているものの、ひねりあるコメディ要素が効いていて、テンポ良くラフに観れるスッキリ感が大好きでした。 なんといっても、女同士のバトルが見もの! 主演のアナ・ケンドリックとブレイク・ライブリーが良い意味で「混ぜるな危険!」な組み合わせで、この二人の対比がなんとも面白かったです。
    夫を事故で亡くし、ニューヨーク郊外で子育てをしているシングルマザーのステファニー(アナ・ケンドリック)が、子供と同じクラスに息子を通わせるエミリー(ブレイク・ライブリー)の自宅に招かれます。 華やかなファッション業界に身を置き、小説家の夫と豪華な家に暮らしながらもどこかミステリアスなエミリーと、夫の保険金を切り崩しながら、必死に子育てをしているステファニー。 対照的なステファニーとエミリーですが、徐々にお互いの秘密を言い合えるほど意気投合するようになっていきます。 しかしある日、エミリーはステファニーに息子を学校に迎えにいってほしいと頼み、そのまま姿を消してしまうのです…。
    この作品の重要キーワードは「秘密」です。
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  • 『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』──「私たちって超イケてる!」が大前提な青春映画の新機軸|加藤るみ

    2020-08-26 07:00  
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    今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第7回をお届けします。今回ご紹介するのは、高校生活を勉強に捧げてきた女子高生バディが高校生活の最後の思い出を取り戻そうとする大冒険を描いた青春映画『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』。青春映画にありがちな、「イケてない子」が変わっていくストーリーとは異なる、新たな路線を打ち出す本作の魅力を語り尽くします。
    加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage第7回『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』
    おはようございます。加藤るみです。
    今回は間髪入れず、映画紹介します! 自信を持って、めちゃくちゃおすすめな作品です。
    紹介する作品は、『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』です。

    ▲『ブックマート 卒業前夜のパーティーデビュー』(画像出典)
    最近では『リチャード・ジュエル』(’19)での出演が記憶に新しい女優オリヴィア・ワイルドが、アメリカのコメディ界を牽引する、「俺たち」シリーズや『バイス』(’18)でおなじみのウィル・フェレルとアダム・マッケイのバックアップの元、華麗に映画監督デビュー。 すでにアメリカでは数々の映画賞を席巻し、日本の映画ファンの巷でも話題となっている作品です。
    とにかく、最っっっっっ高‼‼ 未だかつて、こんなにもエネルギッシュで、こんなにも愛おしい青春映画があったでしょうか。 超笑えるけど、心がヒリヒリ痛くなって。しっかり、じーんとできて。そう、私はこんな青春コメディが観たかったんです。 革命的な青春ハイスクールコメディの爆誕です。 これは、間違いなく2020年のベストに入ります。
    良い大学に入るため、高校生活を勉強に捧げてきた親友同士のモリーとエイミー。 しかし、遊んでばかりいたはずの周囲のパリピたちも、ハイレベルな就職や有名大学への進学を決めていたことが発覚。 卒業前夜にして「勉強ばっかりして、遊んでなかったのウチらだけ?」と、失った時間を取り戻すべく、パーティに乗り込むことを決意。 最強バディのティーンエイジャーが高校生活最後の思い出を取り戻すべく決死の大冒険に出る物語です。

       © 2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.
    まず、この映画の大好きなところは、今までの青春映画で描かれてきたジェンダーに対する葛藤や容姿に対する悩みとか、自己肯定感が大事とか、そういう話はもうとっくに済んでいて、当たり前になっているところから始まること。
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  • 『カセットテープ・ダイアリーズ』──青春はスプリングスティーンを聴きながら|加藤るみ

    2020-07-22 07:00  
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    今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第6回をお届けします。今回は、アメリカの伝説的ロックミュージシャン、ブルース・スプリングスティーンへのリスペクトが込められた青春音楽映画『カセットテープ・ダイアリーズ』をご紹介します。青春映画でのファーストキスシーンには一家言あるというるみさんですが、本作のキスシーンには物申したいことがあるそうで……?
    加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage第6回『カセットテープ・ダイアリーズ』
    おはようございます、加藤るみです。
    あっという間に2020年も上半期が終わり、下半期に突入しましたね。 振り返ってみると、この上半期は私の人生の中で忘れられない6ヶ月間でした。 年始から大阪に引っ越し、新しい環境での生活。 16年間一緒に過ごした愛犬との別れ。 突然のコロナ禍。 バタバタと目まぐるしく過ぎていった上半期でした。
    ここで、2020年上半期で印象に残った作品を少しだけピックアップしていこうと思います。
    まずは、『パラサイト 半地下の家族』です。 振り返れば一番に思いつくほど、衝撃的に面白い作品でした。 物語のテンポにグングン飲み込まれ、予測不可能な展開に感服しました。 前半のコメディ感と後半のシリアス感のバランスも絶妙で、社会派映画なのに堅苦しくないラフさがこの作品の魅力だと思います。
    最近見直したら、ドラマ『梨泰院クラス』でセロイを演じていたパク・ソジュンが、半地下一家の息子を家庭教師に誘う友人役として出演していたことを発見しました。(『梨泰院クラス』の影響で、ついパク・ソジュンのことをセロイと呼んでしまう私です(笑)。) 『梨泰院クラス』を観なかったら、この気づきはなかったんだろうな、と。 映画もそうですが、韓国ドラマ『梨泰院クラス』や『愛の不時着』に、ロスに陥るほどハマりにハマり、私の上半期は韓国エンタメ作品にたっぷり時間を割いたような気がします。
    ラブコメでは、以前紹介した『ロングショット 僕と彼女のありえない恋』がとにかく最高でした。 美女と野獣的な格差恋愛から、お似合いの2人に昇華させていく手腕が見事。 古典的なラブコメの良さも残しつつ、最新版にアップデートされている令和のラブコメだと思いました。 早くも私の「2020年のベスト10」に暫定ランクインしているほど、大好きな作品です。
    第二次世界大戦下でヒトラーに忠誠を誓う少年の成長を描いた『ジョジョ・ラビット』もよかったです。 MCU作品の中で、一際暗かった『マイティ・ソー』シリーズを、軽快に演出し、がらりとその雰囲気を変え、その娯楽度を底上げした『マイティ・ソー バトル・ロイヤル』のタイカ・ワイティティが監督しているだけあり、きっちりと戦争の悲惨さを描きながらも、軽快に観れるのは匠の技。 『ジョジョ・ラビット』を観て号泣した私は、タイカ・ワイティティに一生ついていくと忠誠を誓ったのでした。 『スター・ウォーズ』の新作も監督することが決まっているので、楽しみです。
    『ストーリー・オブ・マイライフ/私の若草物語』も忘れてはいけないですね。 この映画は、「刻まれた」といった感覚でした。 結婚=女の幸せ、そんな決めつけに縛られた物語の結末だけではなく、色んな結末があっていいはず。 『レディ・バード』で鮮烈な監督デビューを果たしたグレタ・ガーウィグですが、2作目も素晴らしく、もう巨匠と呼びたいくらいです。 彼女の映画を、物語をこれからもずっと観続けたいと思いました。
    ズラッと振り返りましたが、コロナ禍の影響で公開延期になった作品も多々ありました。 本来であれば、今頃はMCUの新作『ブラック・ウィドウ』の感想を熱く語っていたり、待ちに待った『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』で最後と言われるクレイグボンド(編注:ダニエル・クレイグ演じる6代目ジェームズ・ボンド)を惜しんでたりしてたんだろうなぁ……と思います。
    さて、今回紹介する作品は、『カセットテープ・ダイアリーズ』です。
    原作・脚本を務めるサルフラズ・マンズールの自伝的回顧録を、『ベッカムに恋して』のグリンダ・チャーダ監督が映画化。 アメリカの伝説的ロックミュージシャン、ブルース・スプリングスティーンへのリスペクトを込めた青春音楽映画です。

    ▲『カセットテープ・ダイアリーズ』(画像出典)
    舞台は、1987年のロンドン郊外にある小さな町ルートン。 パキスタン系の移民で、小さい頃から日記や詩に自分の言葉を綴ることが好きな16歳の少年ジャベドが主人公です。 閉鎖的な街で受ける人種差別や、絶対君主のようにふるまう父親の抑圧に耐えながら、「いつか街を出たい」と夢見ている彼は、ある日、友人から貸してもらったブルース・スプリングスティーンのカセットテープを聴き、衝撃を受けます。 そしてスプリングティーンの音楽と共に、彼の人生は大きく変わっていく……という物語です。 友情、恋、家族との対立といった要素が盛り込まれた王道青春ストーリーでありながら、 1980年代のサッチャー政権下での不況、移民排斥運動や排外主義が背景にあり、人種差別が生々しく描かれている映画でもあります。
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  • 『ぶあいそうな手紙』──手紙からはじまる優しい心の処方箋|加藤るみ

    2020-06-18 07:00  
    550pt

    今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第5回をお届けします。今回は、7月公開のブラジル映画『ぶあいそうな手紙』をご紹介します。孤独で頑固な老人とブラジル娘が、手紙の代読・代筆を通じて交流していく様子を描いた本作。凝り固まってしまった老人の心をほぐしていく、その優しい世界観の魅力とは?
    加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage第5回『ぶあいそうな手紙』
    皆さま、おはようございます。 加藤るみです。
    最近オンライン試写で、気鋭の独立系制作スタジオA24の新作を観ました。 ちょっと奇妙な映画だったんですが、『ヘレディタリー/継承(2018)』や『ミッドサマー(2019)』などを制作してきたA24らしく強烈なインパクトが残る映画だったので、メインディッシュの前に少しだけご紹介します。
    タイトルは『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』という作品です。
    ▲『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』(画像出典)
    ハリー・ポッターのダニエル・ラドクリフが死体役で出演したことで話題となった『スイス・アーミー・マン(2016)』という映画をご存知でしょうか? 死体のオナラをエンジンに海をブンブン駆け抜ける、あの作品です。 ぶっ飛んだ設定にもかかわらず、監督をつとめたダニエル・シャイナートとダニエル・クワンのコンビ(ダニエルズ)が多くのMVを手掛けてきたからか、謎に感動してしまう美しい画を魅せてくれる、危険な怪作です。
    余談ですが、旦那がまだ彼氏だった頃、アレを観に映画デートに誘ってしまったことがあります。 今でも忘れない、ジメジメとした夏の終わり。 当時、中野に住んでいた私たちは、新宿で乗り換えるのが面倒くさいからと、電車ではなく、バスで40分ほどかけて池袋のシネマロサへ行ったのでした。 そう、死体のオナラでブンブン海を駆け巡り、口からゲロのように飲料水を出して、男2人(うち1人は死体)が無人島でサバイブする映画を観るために。 まだ付き合いたてほやほやの時期にアレを観に行ったことは、深く後悔した出来事でした。 私は大好きなポール・ダノを観れたしそれなりに映画を楽しんだのですが、 観終わったあと「るみちゃん……これが観たかったの?」と、豆柴のような瞳で不思議そうに見つめてきた旦那が忘れられません。 後悔した映画デートではありますが、語るまでもなく“私と付き合うということはこういうことだ“と旦那に証明できた出来事だったなと今では思っています。
    話は逸れてしまいましたが、そんな私の失敗映画デートの記憶に残る1本『スイス・アーミー・マン』のダニエル・シャイナート監督の単独監督となる新作が『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』です。 もう、一言で言うと“激ヤバ“な映画でした。 タイトル通り“ディック・ロング“の死の真相を突き止めるクライムコメディなんですが、 この映画の秘密が隠された“珍騒動“がとにかく不穏でファンタスティック。 しかも、驚くほど集中して観させられる作りになっていて、めちゃくちゃ大真面目に丁寧に進んでいくからこそ、その秘密を知った時、「やってくれたな!!!!」と叫びたくなるのです。 物語の衝撃的な展開に圧倒される、凄まじい映画でした。 ちなみに、タイトルにある名前の“ディック(Dick)“は「イチモツ」という意味の俗語で、直訳すると壮大な下ネタタイトルになっているんですね。 観終わったあとにこの隠された俗語に気づき、より不快になったんですが、やはり「やってくれたな!!!!」と、降参してしまいました。 ダニエル・シャイナート監督は『スイス・アーミー・マン』に続き、とんでもないトンチキ映画を作ってくれました。(褒めてます) 彼の映画をカップルで観るのはお勧めしませんが、その奇想天外な発想は、怖いもの見たさではあるものの「次は、どんな新しいものを見せてくれるのか」と、期待しかないです。
    さて、そろそろ本題に入りましょう。打って変わって今回は、ブラジル発のじんわりくるハートウォーミングな映画をご紹介します。
    タイトルは『ぶあいそうな手紙』という作品です。
    ▲『ぶあいそうな手紙』(画像出典)
    視力を失いつつある独居老人・エルネストが偶然出会ったブラジル娘・ビアに手紙の代読と代筆を頼むことに。 78歳のエルネストと23歳のビアが世代やジェンダーの違いを乗り越える、愛にあふれた物語です。 ラテンアメリカの音色も心地よく、「こんな今だからこそ観たい」と思える優しい世界を描いた映画でした。
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  • 『愛の不時着』──38度線をこえたココロの緊急事態宣言|加藤るみ

    2020-05-21 07:00  
    550pt

    今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神」、番外編をお届けします。今回は番外編として、映画作品ではなくNetflixで配信中の韓国ドラマ『愛の不時着』をご紹介します。不慮の事故で北朝鮮に不時着してしまった韓国人の女性と北朝鮮軍人との恋の行方を、南北軍事境界線にまつわるリアルな緊張を交えて描き、いまネトフリきっての話題になっている本作。普段はあまりドラマを観ないというるみさんが、どっぷりと「不時着」沼にハマってしまったその理由とは?
    明日夜20時より、加藤るみさんをゲストにお迎えする生放送、「『愛の不時着』をとことん語る会」があります!
    5/22(金)20時〜『愛の不時着』をとことん語る会(加藤るみ×井本光俊×宇野常寛) 大人気の韓国ドラマ『愛の不時着』。 韓国で会社を経営するエリートの主人公は、予期せぬ事故で北朝鮮へ不時着し、運命の人と出会う──。 このドラマにドハマリしてしまった、タレントの加藤るみさん、編集者の井本光俊さん、そして評論家・宇野常寛が、その魅力について語り倒します。 ネタバレ全開・胸キュン度200%でお届けします!生放送のご視聴はこちらから
    加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage 番外編『愛の不時着』
    皆さん、おはようございます。加藤るみです。
    今回は加藤るみの映画館の女神番外編とさせてください。
    前回、Netflixオリジナル作品の映画を3本紹介したんですが、今回はNetflix独占配信作品のドラマを紹介したいと思います。 前回からNetflixの回し者みたいになっていますが、もちろん違います。
    今回はもはや「映画館の女神」ではないのですが、どうしても語りたい作品を見つけてしまったのです。
    実は私、今までドラマをあまり観ない人生を送ってきたんです。 毎週テレビの前で待機して観るということが性に合わなくて、盛り上がってきたかと思えばまた来週…というジレンマに気持ちが萎えてしまうんですね。 それならHDDの容量を大量に確保して撮りだめして一気に見ればいいのですが、それはそれで面倒くさくて……。
    小学生の頃は、友達からの「昨日あれ観た?」に答えるため毎週しっかり観ていた気もするんです。が、この前、再放送していた『野ブタをプロデュース』をたまたま観たんですが、「こんな内容だったっけ?」と、ビックリするほど内容を覚えていなかったんですよね。 夢中になったドラマを思い返しても片手に収まる程度の本数で、私自身、根本的にドラマに対する興味がないんです。 「ドラマを観るなら一回で完結する映画を観ちゃおう」ってなるんですよね。 だから私がドラマにハマることなんて、よっぽどのことがないかぎり、まずないと思ってたんです。
    が……!!!
    ハマったーーーーー!!! 沼に!!! 大沼にハマってしまったーー!!!
    ちょっと取り乱してしまうほど、面白いドラマがあったんです。Netflixに。 韓国ドラマで、タイトルは『愛の不時着』。最初は「演歌の曲名かよ!」というぐらい渋いタイトルだなと思ってスルーしていたんです。 そしたら、このドラマ大人気のようで、なんとNetflixのTOP10リストで第1位(5/5時点)。 私のフォローしているインスタ映え女子たちもやたら「#愛の不時着 観てます♡」と、やたらストーリーに上げまくっているではありませんか。 いつもなら「ちょっと人気すぎて手を出したくないな」と思ってしまうだろう、あまのじゃくでひねくれ者な私ですが、なんせ今は時間に余裕がありまくり。 なので試しに1話を観てみたんです。
    で。 「何コレ! めちゃくちゃ面白いんですけど!!!」と、昼夜逆転しつつ、全16話を一気に完走。 いやー、どっぷりと。ハマってしまいました。
    そんなこんなで、長い前置きになりました。 今回は、私が韓国ドラマ『愛の不時着』の沼にハマったワケを、じっくり解説していきたいと思います。
    ▲『愛の不時着』予告編
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