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西武新宿駅から歌舞伎町一丁目、花道通り、歌舞伎町二丁目まで|白土晴一
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西武新宿駅から歌舞伎町一丁目、花道通り、歌舞伎町二丁目まで|白土晴一

2021-07-20 07:00
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    リサーチャー・白土晴一さんが、心のおもむくまま東京の街を歩き回る連載「東京そぞろ歩き」。今回は眠らない街・新宿歌舞伎町を歩きます。関東大震災後と戦後の2度の復興計画を契機に生まれ変わり、日本を代表する歓楽街として発展を遂げてきた歌舞伎町は、コロナ禍を経て現在どんな素顔を見せているのか。白土さんがそのカオスな魅力に迫ります。

    「東京そぞろ歩き」の第1回~第3回はPLANETSのWebマガジン「遅いインターネット」にて公開されています。今月よりメールマガジンでの先行配信がスタートしました。

    白土晴一 東京そぞろ歩き
    第4回 西武新宿駅から歌舞伎町一丁目、花道通り、歌舞伎町二丁目まで

     上京する前、地方都市に住む私の東京の新宿に対するイメージは、大沢在昌の小説『新宿鮫』の舞台であり、漫画『シティーハンター』の冴羽獠が住む街、そして何より菊池秀行の小説『魔界都市〈新宿〉』の怪人と暴力が蔓延る場所であった。
     かなり偏ったイメージであったことは否めない。
     しかし、お隣の中野区に住んでから数十年も経つと、新宿は一番近い繁華街なので、ちょっとした買い物や食事で気軽に出かける。
     目的もなく暇潰しで新宿をフラつくこともある。
     そうなると新宿は日常の一部になって、あんまり特別な場所とは感じなくなってしまった。
     ただ、日本一の歓楽街と言われる新宿の歌舞伎町を歩く時だけは、少しだけ魔界都市を感じることがある。
     私が上京したての1990年代よりよほど安全になったのだが、それでも夕方になれば開店前のホストクラブの前に女性たちが集まり、夜になればキャバクラやガールズバーに誘うスカウトが現れ、深夜になれば泥酔するサラリーマンが転がっている。
     そういう風景を見ると、「おお、魔界都市はまだ生きているな!」とちょっと嬉しくなってしまう。
     たぶん、10代の頃に小説や漫画で魔界都市新宿のイメージを膨らませていた自分が懐かしくなっているのかもしれない。

     新宿は江戸時代の頃は内藤新宿と呼ばれる甲州街道の宿場町であったが、幕府の度重なる規制にも関わらず、飯盛女や茶屋女が多数いる事実上の岡場所として栄え、昔からの歓楽街であった。

     新宿歴史博物館にはこの内藤新宿時代の模型が展示されている。

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    ▲新宿歴史博物館(著者撮影)

     この模型を見ると、街道沿いに宿屋や茶屋が並んでいたのがわかるだろう。
     しかし、宿場町があった場所は現在の甲州街道沿いであり、現在の歓楽街である歌舞伎町などが面する靖国通り付近は、畑や雑木林、湿地帯と田んぼなどの住居もまばらな閑散とした土地であったらしい。
     新宿が今のような繁華街になっていくキッカケは、明治18年(1885年)に山手線の新宿駅の開業、次に大正12年(1923年)に関東大震災からの復興事業で計画された道路、当時は大正通りと呼ばれた現在の靖国通りの建設が大きいだろう。
     そして、戦前から計画はあったが、終戦後の昭和23年(1948年)に高田馬場までであった西武村山線が延伸されて、仮営業ながら西武新宿駅が開業されたことによって、現在の新宿を形作る交通インフラが整ったと言える。
     新宿は明治、大正、昭和に立て続けに、巨大なインフラがカンフル剤として注入されたことで、随時拡大した都市なのである。
     なので、今回はそのカンフル剤の一つである西武新宿駅から降りて、新宿を歩いてみようと思う。
     西武新宿駅から降りてすぐ目につくのは、何とも薄い駅ビル。

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     昭和52年(1977年)に開業され、ショッピングセンター「西武新宿ぺぺ」と新宿プリンスホテルが入っているが、西武新宿駅を降りる度に、この薄さが気になってしまう。
     先ほども書いたが、西武線の新宿乗り入れは昭和23年。戦争でこの一帯は焼け野原ではあったが、新宿はすでに閑散とした土地ではなく、住宅などがある多数の地権者が存在する土地になっており、大きな敷地を確保するのは難しかったのかもしれない。
     限られた敷地と高さ制限を目一杯利用しようとすると、こうした薄いビルになってしまうのだろう。

     次に関東大震災からの復興道路であった靖国通り沿いを歌舞伎町一丁目方向に向かう。
     靖国通りの左右の歩道で目につくのは、延々と続く有料駐輪場の列である。
     新宿大ガード東口から新宿五丁目東交差点までの450メートルほどにびっしりと自転車のスタンドと料金支払いの機械が並んでいる。
     なかなか壮観だと思う。

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     東京都心を自転車で走っていると、大きな駅の周辺は駐輪する場所が少ない。行政や民間の駐輪場も設置されているが、やはり不足していると思う。
     そのため、各地で放置自転車や違法駐輪が問題になっているが、西武新宿駅だけは駐輪場が充実しているので、自転車を止めるのにあまり困らない。
     かつてはこの付近も放置自転車が非常に多かったが、平成7年(1995年)に施工された「新宿区自転車等の適正利用の推進及び自転車等駐輪場の整備に関する条例」などによって、公共施設、商業施設、娯楽施設などの管理者は、その規模に合わせた駐輪場の設置に努めることが明記され、格段に駐輪事情が良くなった。
     これはあくまで噂でどこまで本当か分からないが、歌舞伎町で喧嘩、乱闘が起こった際は、道端に止められた自転車を持ち上げて振り回したり、相手に投げつけるという事例が多いとか。実際、私も何年か前に喧嘩で自転車を振り回しているのを大久保通りで見たことがある。
     放置自転車は歩行者の邪魔になるので問題だが、こういう喧嘩で放置自転車が武器になるのを防ぐ目的もあるのかなと思う。

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    最終更新日:2021-09-25 09:00
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