【今週のお蔵出し】
「生涯未婚」という擬似問題
(初出:「東洋経済」2012年6/2号)
先日、インターネット番組「ニコニ(コ)ンパス」で「生涯未婚率」をテーマに話をした。これは、50歳時点でまだ一度も結婚していない人の割合を算出したもので、最新の調査では男性2割、女性1割に達しているという。そして僕の考えは(番組でも指摘したことだが)至ってシンプルだ。生涯未婚率の上昇それ自体は何ら問題ではない。と、いうよりこの生涯未婚率上昇問題は一種の疑似問題にすぎない。
そもそも、生涯未婚率の上昇が問題視されるのは「国民の1~2割が結婚しない社会は異常だ」という前提があるからだ。しかし結婚しない生き方が異常とされる社会は、リベラルなのだろうか。僕はそうは思わない。結婚したくない人はしなくても生きていける社会のほうがリベラルに決まっている。……なんて書くと頭の固いお父様方から「若いやつらがそんなことを言うから少子化に歯止めがかからないのだ」とおしかりを受けるかもしれない。
確かに少子化は問題だ。しかし、僕に言わせれば、こうした頭にカビの生えたような思考が少子化を促進しているのだ。