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【特別対談】家入一真×宇野常寛「東京じゃやりたくてもできないことを、ドヤれる地方が今熱い」 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.155 ☆
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【特別対談】家入一真×宇野常寛「東京じゃやりたくてもできないことを、ドヤれる地方が今熱い」 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.155 ☆

2014-09-10 07:00

    【特別対談】
    家入一真×宇野常寛
    「東京じゃやりたくてもできないことを、
    ドヤれる地方が今熱い」
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2014.9.10 vol.155

    この一年、日本じゅうのさまざまな農村を回ってきたという家入一真さん。イケダハヤトさんも高知への移住を発表するなど、インターネット以降の文脈でいま「地方」に注目が集まっています。東京・大阪・名古屋のような都市部ではない、日本の「地方」や「農村部」に宿る魅力とは? 家入さんに直接お話を伺ってきました。

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    ▼プロフィール
    家入一真〈いえいり・かずま〉
    1978年生まれ。福岡県出身。株式会社ハイパーインターネッツ取締役。BASE株式会社共同創業取締役。カフェプロデュース・運営partycompany Inc.代表取締役。スタートアップベンチャー投資partyfactory Inc.代表取締役、モノづくり集団Liverty代表など、さまざまな業種のベンチャー企業に参画している。2014年、東京都知事選出馬。主な著書に『こんな僕でも社長になれた』(ワニブックス、2007)、『もっと自由に働きたい』(ディスカヴァー•トゥエンティワン、2012)、『ぼくらの未来のつくりかた』(双葉社)など。
     
    ◎構成:ミヤウチマキ+PLANETS編集部
     
     
    インターネットによって「主婦の知恵」が社会に拡散されるようになった
     
    宇野 家入さんは最近、色んな地方の農村をまわってきたんだよね。どんなことが印象深かったの?

    家入 僕が回ってきたなかで特に面白かったのは徳島県の上勝町っていうところで、ここでは葉っぱビジネスが盛んなんだよね。懐石料理とかで下に敷いてある、あの葉っぱを採って売るビジネスなんだけど。そのビジネスを主体的にガンガン進めているのが、ムラのおばあちゃんたちだったんだよね。彼女たちは仕事の管理もタブレットとかでしていて、最新のITガジェットをすごく上手く使いこなしていて。そのビジネスが浸透する前は、「女は家にいるものだ」っていう根強い風潮があって、女性がお金を稼ぐなんて考えられなくて、ずっと家の中にいたんだけど、今では年収1千万くらい稼ぐおばあちゃんもいるらしいんだ。

    宇野 それ、おもしろいね。この前、「おとりよせネット」を運営している粟飯原理咲(あいはら・りさ)さんっていう起業家の人に取材してきたんだけど、そこで気づいたのが、主婦って色んな文化とか知恵を蓄積しているんだけど、基本的にはそれが自分の家庭内かご近所コミュニティの中でしか共有されていないことが多いよね。
     
    ▼参考リンク:"中食"はポスト戦後の食文化にどう介入するか――アイランド代表・粟飯原理咲氏が語る「お取り寄せ」の現在 http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/ar519888
     
    そこにインターネットとか最新のテクノロジーが入ることによって、洗濯とかハウスキーピングとか、収納といった、コミュニティ内に限定されていた主婦の知恵が無限に拡散できるようになった。クックパッドなんてまさにそれで、外側からは見られなかった主婦の知恵を、誰もが見られるレシピという形で部分的に開放したんだよね。主婦の人たちがインターネットによって家にいながら社会に接続することができるようになった。

    今まで主婦の家事労働ってなかなか換金されてこなかったけど、換金したら実はすごい額に相当するとかいう試算がよく社会をにぎわせているじゃん。まさに彼女らがやってきた家事労働というものをネットワークに開放することでビジネスにしていったり、主婦の知恵を社会に発信していって、それで今のインターネット文化がさらにアップデートされていく、なんてこともありえるんじゃないかな。

    家入 そうそう、主婦の人って、意外と発言小町とか見てたりするんだよね(笑)。

    宇野 〈インターネット×家事〉が熱い! みたいな構図ってけっこうおもしろいと思うんだよね。たとえば、ここにコーラをこぼしたとするじゃない。このコーラの染み抜きの方法が分かるなら100円払ってもいいって言う人が必ずいるはず。

    家入 それと似たような話で最近僕が思っているのは、一人暮らしの人が自炊すると、だいたいご飯が余っちゃうでしょ。だから「せっかく作ったからみんなおいでよ」って言って、友達だけじゃなくて知らない人も集めてみんなで一緒に食べるっていうのが今アメリカで流行っていて、ああいうこともやってみたい。「肉会」とか「焼き肉部」みたいな集まりの自炊版みたいな感じだよね。

    宇野 基本的に自炊って3、4人分の量を想定して、それも1週間とかの単位で買わないと、確実に経済効率が悪いはずなんだよね。でも結局、低いカロリーで美味しいご飯を食べようと思ったら、今でも自炊がナンバーワンなんだよね。そういったときに家入さんが言っているようなマッチングサービスが広まれば面白いと思うし、絶対ネットでやるべきだよね。

    たとえば、すごい自炊能力が高い人がまとめて5人くらいの食材を買えるとおいしいご飯が作れるんだから、そこに食べたい人間が登録していってまかないつきの下宿がつくれたりするかもしれない。さらに、そこで若者とおじいちゃんおばあちゃんの交流とかも生まれたりするかもしれないよね。まあ、これって僕がよくDisってる「いい話臭」のする話であるんだけど(笑)、でもそれでいいと思う。
     
     
    「東京」がすぐに変わらないなら、「地方」から変わっていけばいい
     
    家入 いい話つながりでついでに言うと、2002年のサッカーW杯のときに、カメルーン代表の選手たちがキャンプするところがなくて、大分県の中津江村に泊まって、そこで村人たちとの交流が生まれ……みたいないい話があったよね。今度の東京オリンピックだって、東京でやるものではあるんだけど、そういう地方の活用の仕方もあるんじゃないかって思うんだけどね。

    宇野 多分〈東京〉と〈地方〉っていう2者関係で捉えてしまうと煮詰まっちゃうんだよね。そうじゃなくてもっと視野を広げて、地方が直接外国と繫がるっていうことを、もっと考えてもいい。
     
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