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山田玲司のヤングサンデー【第82号】東青梅駅の全裸男と夢の問題
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山田玲司のヤングサンデー【第82号】東青梅駅の全裸男と夢の問題

2016-05-02 07:00
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    山田玲司のヤングサンデー 第82号 2016/5/2

    東青梅駅の全裸男と夢の問題

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    熊本が大変な事になって、テレビもネットニュースも地震の話で大騒ぎになっている時に「プリンス」が亡くなったニュースが入りました。

    88年頃の六本木のディスコのモニターでプリンスの「パープル・レイン」のPVを観たのが昨日のようです。
    「悲しいなあ」なんて思っていたら、テレビではバスケのスーパースター「コービーブライアン」の引退試合をやっています。

    それぞれの情報を覗いていると、「ここ」では世界の全てがプリンスを失った悲しみに包まれているし、「こっち」では世界中がコービーの引退で大騒ぎしているように見えます。

    そういえば昔、自分が受験生だった頃なんかは「世界のすべてが受験」だったのを思い出します。
    彼女が浮気をしてきた朝は、それだけで「世界の終わり」の気分だったしね。
    1人の女の子が自分ではない男と寝てきただけの話なんだけど、その時の自分の意識がどこに向いているかどうかで「世界」は終わるし、世界は「コービーの引退だけ」になるわけです。

    数年前にAKBの総選挙なんてものを全国中継していた事がありましたけど、1つのアイドルグループの新曲の真ん中に誰がくるかなんて、ファン以外にはどうでもいい話ですよね。

    それをまるで国民最大の関心事に見せるのが「広告の力」で、我々はほとんどその「広告」に支配されているわけです。

    そんなこんなで、一番伝えたかったのは、先々週に話した「前の世代は地上波というドラッグで昭和を観ている」という話と、「つっこみ不足」の話でした。

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    「つっこみの劣化」

    ここで言う「つっこみ」とは、夢みたいな事を考えすぎて戻って来られなくなるのを防いでくれる「あれ」です。
    「早くドラえもんが来てくれないかなあ」とか「嵐のメンバーを結婚したいなあ」とかいう、みんなが思いがちな「夢」に対して「ないない」とか言ってくれる友達の「まともな発言」です。

    面白いのは、ピクサーの最新作「アーロと少年」に中に沢山の小動物を抱え込んだ恐竜(角竜の1種)が、その小動物のことを紹介する時に「こいつは自分には叶わない夢を覚ませてくれる」と言っているシーンがあります。
    まあ、世界共通の問題なわけですね。

    こういう「つっこみ」は消えたわけではなくて、まだまだ盛んではあります。
    ところがその多くが「漢字が間違ってるw」とか「劣化してるw」とか「誰こいつw」とか「前例がない」とかいう、しょうもないつっこみです。
    この国は受験後遺症の人ばかりなので、やたらと誤字脱字につっこみが入ります。容姿と知名度にもつっこむのが大好きなのは「わかりやすいから」でしょう。
    もちろん「中2病的な夢」に関しても「乙w」「ワロタw」の貧弱なつっこみしかできません。

    ところが、「薬で治せる」とか「儲かればいい」とか「若くて可愛ければそれでいい」とかいう、本質的にヤバい事例に関しては、まともな「つっこみ」をほとんど見ません。

    昔は、天下国家を論じる前に「いいから米作れ」とか言う、まともなつっこみがありました。

    普通の人も「人の価値は見た目じゃねえよ」とか「金じゃ買えねえモノがある」とかも言っていました。

    僕が好きな「つっこみ」は禅に出てくる「喫茶去」です。
    混乱している人に「まあ、お茶でも」と言って「我に帰るきっかけを与える」という話です。

    僕のよく言っている「ドーナッツでも食う?」ってのも「つっこみ」の1種ですね。

    「世の中金が全て」と言う発言は、元々は「金が全てじゃないのに」という悲しみを抱えている「嘆きの発言」でした。
    でも今は「世の中は金じゃない」とか言っていた偽善者は過去の人達で、そういう人は古い、という気分が乗っている、幼稚な「金が全て」になっているので、これには「まともなつっこみ」がないと、金のためなら「毒入りのお菓子」を売るような人が溢れてしまいます。

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    加藤被告に必要だった「つっこみ」

    少し前に秋葉原で連続無差別殺人を実行した人がいました。
    犯人の加藤被告は、現実でもネットの中でも存在を否定されて、世界の全てに復讐しようと凶行に及んだといいます。


    その加藤被告が反抗のためにナイフを買いに行った時の様子が販売店のカメラに残っていて、その時彼は店員と話をしていたらしいのです。

    その時店員か、その場にいたお客さんが、彼ともう少し会話をしていれば、彼が取り憑かれた「最悪な妄想(無差別殺人という復讐)」も防げたかもしれません。

    彼に必要なのは「まあお茶でも」という1言だったのでしょう。

    宮台真司さんは、こういう事例を「誰か言ってやれよ」事例と言っています。

    本当のヤバさは「おいおいバカなこと考えてないで飯でも食いにいこうぜ」という、どこにでもあった「安全弁」が消えていることなんだと思う。



    青梅の全裸男

    そんなことを考えていたら、今度は「東青梅の駅のホームに全裸の男が現れた」というニュースを観ました。
    男は人の少ない駅のホームで全裸になって、非常ボタンを押しまくって係員に捕まったといいます。
     
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