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山田玲司のヤングサンデー【第35号】「誰かの悲報」で埋めきれない気分とは?
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山田玲司のヤングサンデー【第35号】「誰かの悲報」で埋めきれない気分とは?

2015-06-01 07:00
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    山田玲司のヤングサンデー 第35号 2015/6/1

    「誰かの悲報」で埋めきれない気分とは?

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    先週の映画特集はどうしても失敗したくありませんでした。
    なにしろ、僕の人生を変えた、というか、僕の言いたかった事を完璧に描いてくれて、当時の僕をグラグラに揺さぶった名作『ファイトクラブ』の特集です。

    我ながら「とんでもない事をやろうと言ってしまった」と頭を抱えて、部屋をうろつき、越谷レイクタウンをうろつき、うさぎを撫でたりしながら、ジタバタと準備をして、なんとか満足いく放送になったと思います。


    ・「悲報」の話

    言い足りなかった事はほとんどなかったのですが、1つだけありました。
    ファイトクラブの解説の「集団カウンセリング」のシーンの話です。

    「誰かの不幸がないと自分の心が癒せない」という、自分より不幸な人の話を聞きながら、どこかでバカにしつつ安心するという感じがまるで2ちゃん文化だという話です。
    この件は2ちゃんに限らずネット全般(おなじみ地上波ワイドショーや、おっさん雑誌、おばさん雑誌も)に蔓延していて、とにかく現代人は人の幸福より、人の不幸で精神を持たせているわけです。
    そんなどうしようもない感じを表す言葉がネットでやたらと見る「悲報」という言葉です。

    綺麗だった女優が老けたとか太ったとか、人気アイドルが落ち目になったとか、どうでもいい事をあざ笑うノリが「悲報」です。

    何かの記事(主に2ちゃん)で「悲報!」と最初にあるのを目にすると、最低の気分になります。
    同時に、そんな「下品な気分」に乗っていないと気分を
    ごまかせない人の多さも感じて、悲しいやら、うんざりするやら。

    ファイトクラブの「末期癌の人たちの心の叫び」は、主人公のジョンにとってはまさに「悲報!www」「悲報!www」の連続なのでしょう。

    それはまさに今という時代の気分です。
    そんなグロテスクな空気が蔓延した世界で「5月病を吹き飛ばせ!」なんて言っても根本的に空しいわけです。

    何しろこの空気は「構造的な問題」から生まれているので、個人の努力ではどうにもならないからです。


    ・「ゆとり世代」と言われる世代が受ける「無知で、デリカシーの無い批判」

    今回の放送の前に何人かの20代の人達と話をしていました。

    いわゆる「ゆとり世代」といわれる人達ですが、まったくゆとり気分ではありません。
    むしろ「何なんだよ、この世の中! 死んでくれよ、ジジイ! ババア!」みたいな「怒れる若者」です。

    この世代の人には僕は強く共感してしまう。
    僕自身がいつまでも「怒れる人間」で、「不治の病:中2病」を抱えているので、まるで同世代のように話が合うのです。

    彼らは「ゆとり教育」なる教育の模索が行われてきた世代です。
    「ゆとり教育」の理念は、子供を「経済成長のための奴隷」から解放して、自分の人生を自分で考えて生きられるように、自由な時間を与えよう、という事でした。

    これは今回取り上げた『僕を探しに』や『きっとうまくいく』の中でも語られている大事なテーマだ。
    なぜこのような教育の模索が始まったのかと言えば、激しい学力競争が原因で「いじめ」や「自殺」「殺人」「引き籠り」などが増加したため、その対策として行われたのが「ゆとり教育」だったのだ。

    ところが、現場の教職員がその「自由な時間の使い方」がわからず、塾はその時間を「競争のための時間」に変えた。
    「ゆとりとか言っていたら、他の子に追い越される」と思った親は、その時間を更に「競争」の為に使えと指示。
    結果「ゆとり世代」は他の世代同様に「受験勉強だけしてなさい」といういつもの思考停止を強いられた。

    気の毒なのはそういう事情を理解できない他の世代(主に大人)が、彼らを「甘やかされてきた世代」だと思って、言われなき「差別的圧力」をかけてくることだ。


    ・閉じた世代

    特に経済発展期を経験してきた世代は「その時代」を基準にすべてを批判するので、たちが悪い。
    おまけに彼らは「金と権力」まで持っている。
    そんなわけで「武器のない若者」は大人をブロックした。

    僕にはそういう態度が「生き抜くためのギリギリの策」に見える。
    そしてその気分に強く共感する。まともな判断ができない人間は「ブロック」するしかないのだ。


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    ・諦めない「中2魔王」
     
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