常々、自分で喋ったことをだれか文字起こししてくれないかなー、なんて虫のいいことを言っておりましたが!なんと!この度、先日、八王子Pがゲストにいらっしゃった時のニコ生を、文字起こししていただきました!文字起こししてくれたのは、この文章の中に出てくる、金子さん。ボウズ頭の、八王子Pさんの事務所のスタッフさんです。途中で、「坊主P」とか言われてますw

 で、喋りことばなので、読みにくい部分もありますし、さらに、前後をすっ飛ばしているので、とんでもなく失礼なことを言ってたりするようにも読めると思うのですが、ニュアンスも重要だったり剃る部分もあるので、頂いた文字起こし、そのまま掲載させて頂きます!そして、八王子Pさんのスタッフさんのご許可も頂いたので、もう、このまま載せちゃいます。ホントに、八王子Pさんがヒッジョーにクレバーなので、ノリで始めたものなのに、今の時代、特に「ボカロP」ってものが存在して以降の音楽について、読み応えある内容なんじゃないでしょうか。

 ちなみに、動画でご覧になりたい方は、アーカイブされてますので、以下のリンクから。「八王子Pさんが帰った後」ではなく、帰らずに残ってくれておりましたw




=======ここから文字起こしでーす!

吉田「来たでしょ。映像も来ました。今日はニコ生的には大物も。そして、インクスの方が来ていただいております。考えてみればオールナイトの邪魔をしてる気がするな俺。ちなみに、『さっきの人がおっちゃうさんですか』ってコメントがありますけど、おっちゃうさんは別に修行僧みたいな人ではありませんので。『坊主誰だよ』って失礼だな!キミたちはww 確かにこれだけ見てると、小僧さんが修行してるみたいになってますけども。八王子Pさんじゃないからこの人は!八王子Pさんはこちらでございます」

八王子「いえーい。いえーいいえーい」

吉田「僕がやってるニコ生って、基本的にラジオリスナーなので、コメントがふざけてるんですよ。よくできてますけどね。残ってもらっちゃってすみません」

八王子「いえいえ全然。ホントこういう感じなんですねw」

吉田「ラジオって皆適当にやってるんですよ、いい意味で。プロのタレントさんが。福山雅治さんとかが延々緩いことを話して帰っていく、みたいな。福山さんは本業が別にあるからそれで良いけども、僕らの場合はラジオが本業なのでラジオでそこまでふざける訳にはいかないんですけど、ニコ生はおまけなので、好きなことやってるんです、いつも」

吉田「八王子Pさんはニコ生やってないんですか?」

八王子「たまーにやりますね。時間空いた時とか気が向いた時に。一ヶ月か二ヶ月に一回とかそういうレベルですね」

吉田「それってめちゃめちゃ人来ない?」

八王子「いや全然。逆に深夜とかにやったりするんで。自分が何か喋りたいなって思った時にやるみたいな」

吉田「何を喋るの?」

八王子「何を喋るんでしょうね」

吉田「大体僕は常に24時間中継されててもいいなって思う…そういうのに抵抗が無い人間なんですけど。あけっぴろげです。特に隠すこともないし」

八王子「何だかんだ、音楽の話をしてるのかな…、ニコ生はコメント来るから、それを拾いつつって感じですね」

吉田「ラジオだと、ウチの番組では特にTwitterもやっているので、全然問題無いのですが」



吉田「名前の由来は?そういえば聞かなかった、普通に放送で」

八王子「八王子ら辺に住んでたというのもありつつ、元々TwitterのIDなんですけど、『8_Prince』っていう名義が最初にあって、それで『electlic love』を最初に投稿したんですけど、それこそ「~P」ってあるじゃないですか。あれって、自分で名乗るものではなく、ユーザが付ける文化なんですよ。例えば、由来は色々あるんですけど、一曲目に上げた曲に印象的なフレーズがあったら、そのフレーズがP名になったりとか。自分だったら『8_Prince』って名義で、そのまんま直すと八王子だし、当時結構八王子に行ってたし、「八王子なう」ってTweetもしてたから、『こいつ八王子に住んでるんだな』って思われたのか」

吉田「八王子キャラになっていったから、『八王子P』になったと。自分で付けないって初めて聞いた」

八王子「P名は、基本的にはユーザが色々考えてくれて、自分も当時プロになろうなんて思ってなかったから、つけられて嬉しいじゃないですか。そういう文化だったし、『八王子P』って面白いし覚えやすいし、いいかなってノリでやってたんですけど、でも今ちょっと改名したいなってw」

吉田「なんで?w」

八王子「だってダサくないですか?w」

吉田「まぁね。名前って確かに自分で選んでつけてないもんね、本名自体が。人から付けられるものだから。例えばケビン・コスナーがインディアンの首長に、お前は「ダンス・ウィズ・ウルブズだ」ってつけられたりするような。絶対カッコ悪い名前の人もいますよね」

金子「吉田さんはかっこいいですよね。『尚記』」

吉田「尚記はそれこそお坊さんっぽいんですよ。しかも、堅いんですよね名前が。あと、アナウンサーの名前としては『尚記』って言いづらくてよろしくない」

金子「吉田Pにはならないんですか?」

吉田「『吉田P』ってどっかにイヤーな感じの古い業界人にいそう。リアル業界人で、吉田Pのところに話持って行くと、『あの人すぐに女の子に手出すからなー』って言われる感じの人がどこかにいそうな気がしますけどね。でも本当に名前変えたい?」

八王子「そうですね。もうちょっと何か…企画物っぽいものじゃないですか、名前が…」

吉田「僕『よっぴー』って呼んでもらっているんですけど、今言われているのが、『よっP』っていうのがあって、なるほどと。でも別に何も音楽的なことやれないですからね。安い感じになってますけども。企画物っぽくはありますけど、覚えやすいし、時代時代で名前って違うじゃないですか。今っぽいよ」

八王子「確かに、覚えやすさの面では強いですね。この名義は。一回聞くと、なんとなく皆、頭の片隅に『地名のヤツいたよな』みたいな」

吉田「名前だけで男女かどうかってわかるじゃない。これだけで凄いし、落語家さんだと、『~~亭』って名前がつくだけでその人は落語家だって一発でわかったりするじゃない。だから、ボカロの人もPってついてるだけで、ボカロの仕事をする人だなってわかるのは結構凄い文化だなって。『P』を取り込んじゃえばいいんじゃない。今の『よっP』が取り込まれていたように。最後がPで終わる言葉で、ボカロPだとPだけ浮くじゃないですか。『家の裏でマンボウが死んでるP』って聞いた瞬間に、ここまで時代が来たかと思いましたから。あれは凄いと思ったんです」

金子「面白いですよね。マンボウさんの曲はどれも曲のタイトルから面白いですね」

吉田「僕もアルバム聴いてひっくり返りましたけど。あそこまで徹頭徹尾言葉に思い入れを持たないっていうのは、本当に凄いなって。それにしても全然関係無いですけど、凄いボカロに詳しいですね」

金子「いえいえ。そんな感じでちょっとお世話になっているので…」

吉田「お世話になっているというと」

金子「あの、会社に」

吉田「ボカロPに詳しいから会社に勤めることができているという…?ルックス的には曹洞宗に詳しい感じですがw」

八王子「決してネット系ではないっすよねww」

金子「よくマフィアとか顔が恐いとか言われます」

八王子「あーインテリヤクザ系w」

吉田「それはね、眉毛手入れしちゃうからです」

金子「あー。あと、この眼鏡が、色が入ってるんですよね。ブルーライトをカットするやつ。だから茶色いんですよ」

吉田「八王子Pさん、さっき眼鏡してませんでしたっけ?」

八王子「自分はアレ伊達なので。自分、めっちゃ視力は良いんで」


吉田「じゃあ名前を、今の流行りの流れで八王子Pさんにつけるとしたら…?」

金子「いやー…無いですねぇ」

八王子「無いんだww」

金子「八王子さん自身は何か無いんですか?」

八王子「一個ちょっと言いたいことがあって、デビューする時って絶対何かキャッチコピーってあるじゃないですか。で、自分がつけられたのが、『ボカロ界の貴公子』って。貴公子ってちょっと恥ずかしくないですか。そもそも論で、元の名義が『8_Prince』じゃないですか。そもそも自分でプリンスって名乗っちゃうのって相当調子こいてるな、みたいな」

吉田「でもボカロ文化としては、自分で名乗った訳じゃないから」

八王子「まぁ、貴公子やめたいなってのはずっと思ってて、そういう話をスタッフの人にしたんですよ。『そろそろもう貴公子いいんじゃないですかね』って言ったら、『今年1年はこれで行こうよ』って言われてしまって。少なくとも今年一杯くらいはこの名前を背負わなければいけない」

吉田「簡単に言うと、色々とつけられたお名前なんですよね…?皆さんで事務所の方が考えてつけた訳じゃないんですか」

金子「いや、クリエイターの方が自分で…」

吉田「自分で名乗った?」

八王子「いや俺名乗ってないです!w名乗ってないですww声を大にして言いたいですが、自分では名乗った事が無いです」

吉田「どうなんだろう、今、お坊さんが戒名つけたみたいな話になってますけどw」

八王子「俺は本当、庶民のつもりで…」

吉田「でも、『ボカロ界の庶民』って言われてもなぁって感じするし。貴公子っていうのはわかりやすいっちゃぁわかりやすい。じゃあもっとバチッとはまるキャッチフレーズみたいなのがあったら、そっちに変えるのは、やぶさかではない?」

金子「まぁそうですね。今募集すればいいんじゃないですかね」

↓流れるコメント↓

『エロ目』『ハンカチ王子』『ボカロ界の大津祐樹』『Pケメン』『エロはボカロの八王子』

『八王子系一のボカロP』『アダルトP』『坊主P』

吉田「坊主P関係無い!w坊主Pは後ろの方ですから。蝉丸さんみたいになってる」

『立川P』『西八王子P』『吉祥寺P』『武蔵小金井P』

八王子「地名いっぱい出てきたけど、これキャッチコピーじゃないからねw地名ガンガン言ってるけどw」



吉田「改めて思いましたが、そこは悩みの一つとしてあるとして、音楽的にインタビューしてて、正しいことも言ってくれてるし、一回目だし、これで勉強になると思うけど、もっと核に近いところに一回近づいて、ちょっと離れた感っていうのがあったんですよ、インタビューしてて。僕が。色々な人に毎日インタビューしてて、芯食らったという瞬間のちょっと手前ぐらいの感じだったのは、ボカロPの人達っていい意味で苦労してないと本当に思うんですよ。さっきも言った通り。先輩に無意味にいじめられるとか。やっぱりついこないだ前のバンドマンは、ほぼ全員体験してる訳ですよ。意味もなく。ちょっと売れ始めたら嫉妬されるとか。そういうのがあると、音楽やりたーいっていう理由がちょっとあったりする訳ですよ。別にそれは悪いことではないと思って。そういう、音楽やってる理由は、楽しいからっていうのが絶対あると思うんですけど、プラス、もうちょい乗っかってる人が作るものじゃないと、面白くなってない気がして。で、八王子Pさんのはちょっとそれは感じるんだけど、それが具体的に何だろう、というのが今日知りたかった、というのがちょっと積み残したものなんですよ」

八王子「全員が必ずしもそういう人ではないというのが前提ですが、やっぱり多い傾向として、語弊があるかもしれませんが、コミュ障というかコミュニケーションが苦手な人が多いとは思います。例えば普通のバンドマンだったり、DJもそうですけど、基本的に現場に行って、色々な人と繋がりを持っていったり、そういう小さい所からつながりを作っていってっていうのはあるじゃないですか。でもインターネットって、ある意味それをすっ飛ばせちゃうんですよね。有名になるまでの過程で。それこそ自分もそうだし、ポンと上げた曲がたまたまヒットしたりすれば、それで一気に10万再生…単純にいうと10万人に聴いてもらえてるって話で。なので、そういう人は多いと思いますね」

吉田「自分はどう思います?」

八王子「自分も苦手な方だなっていうのは。こうやって喋ったりしてる分には全然アレですけど、家とかだと暗いですね。…まぁ暗いっすね」

吉田「逆に言えば、家で明るい人って…」

金子「吉田さんは家で一人でも喋ってるんですか?」

吉田「いえ全く」

八王子「さすがにww」

金子「職業病みたいな?」

吉田「職業病みたいな…いやいやだから僕喋ってないって言ってるじゃないですか!w 喋ってることになりましたけど今ww でも、人見知りじゃない人はあまり信頼してないんですけど、僕」

八王子「それこそ人見知りっていうか、やっぱそういうのが苦手な人は多いですね」

吉田「だから作る?だから作るって訳でもないのかな」

八王子「これはネット系に限らないと思うんですけど、そもそもクリエイターって、自分の考えとか思いを伝えるのが苦手な人が多いんじゃないかなっていうのは何か感じてて。だから作品にして伝えるみたいな」

吉田「初めの内から喋れる人はやんないよね」

八王子「喋りが好きだったら、違う方向に行ってるかもしれないし」

吉田「喋れる人は逆に他のことできないから、喋ってたりするんですよ。僕も音楽できないし。あ、それで、色々な職種の人にインタビューさせてもらって、一番こことここが離れてるなって僕が今感じているのが、ダンサーと詩人が一番離れているんですよ。ダンサーで詩人の人ってあまりいない。多分、ダンスができる人は歌詞に頼る必要は無いし、言葉が得意だったりすると、今度ダンスとかしないと思うんですよ。だから、音楽って一つだけ面白くて、音楽を核に詞で頑張る人もいるし、ダンス始めちゃう人もいるじゃない。だからこの世界だけ両方いるんですよ。なんだこれって。自分の好きな方は、ダンスミュージックには行かないんだけど、ダンスミュージックにいい歌詞が乗っかってても別にいけなくはないというか、そういうのってあるし。事実、色々な言い方があると思うけど、小室哲哉って実はそういう世界でもあると思って。超ダンスミュージックっぽいけど、よくよく考えるとこれ歌詞すごい面白いぞって。これ全然イヤかもしれないけど、そういうのに近いなって思ったんです、僕。作品聴かせてもらって」

八王子「全然間違ってないと思います。それこそ、まさにニコ動の文化っていうか、ボーカロイドを中心にした文化って、自分の曲を踊ってみたとか歌ってみたとかっていう文化があるんですよ。勝手に絵を描いた、PVを作ったっていう。その二次創作がどんどん広がっていく文化が、ボカロ・ニコ動の文化だったりするんで。正に今言って下さったことがあって、ここまでボーカロイドっていうところが大きくなってきたっていうのがある」

吉田「そこですよ。ニコ動最大の勝ち組コンテンツって、別に負け組がいけないとかじゃなくて、わかりやすくヒットしているという意味でいうと、東方とかじゃないですか」

八王子「いや、多分ニコ動でいえば、ボーカロイドとか。東方はニコ動っていうよりも、単純に『同人』。同人の中では音楽でいったら規模は一番デカい」

吉田「何ででかいのかっていうと、あれって要は、あんなにヒットしてるんだから、アニメ化とかの声が来てない訳は無いんだけど、アニメ化すると権利が発生しちゃって、今まで自由にやってることが多分できなくなるから、そういうことしないんじゃないですか。むしろプロがやりたいからっつって自分たちである意味作ったりしている訳でしょ。あれって全然おかしなことではないと思ってて、そういうのって、作ってる本人(神主・ZUNさん)としては嬉しいと思うんですよ。八王子Pさんはどっちなんだろう?自分で作った楽曲をさらにリミックスする人がいるとか。自分とは違う領域はいいと思うんですよ。絵作ってくれたりとかそういうPV作ってくれたりは純粋に嬉しいと。曲とか、同じジャンルで何かする人」

八王子「自分は、元々自分はクラブミュージック出身なので、やっぱクラブミュージックってリミックスされてナンボみたいな文化だったりするから、自分はそれこそ踊ろうが歌おうが自分の曲をリミックスしてもらおうが、自分の曲をイジられることに関しては、むしろ本当に好きにやってくれというスタンスですね。逆に面白いな、と楽しめるタイプというか。そうやって二次創作に広がっていくのは楽しんで見てますね」

吉田「逆に自分がやるのは?」

八王子「自分がやるのも楽しいですね。良い曲はクラブでかけたいなって思う曲があるんで。ただかけると他の曲と浮いちゃうからリミックスしたいな、と思うことがあるし」

吉田「大マジなことで一個凄い聞きたいのが、著作権の考え方が全然違う訳ですよ。昔と。昔の人達は、CDをそのまんまの状態で、正常なところから買ってくれてナンボ。それが、着うたのところも無理やりそういう形にしちゃったから、ネット上で流行らなくなり、ここ々数年でネット上にはメジャーな音楽は全く無いような状態になり、今中学生とかは桑田佳祐よりボカロPの方が偉い時代に。この間、津田大介さんに教えてもらってビックリしたのが、中学生が今なりたい職業は踊ってみたの人になりたいって言われるらしい。そこで聞きたいのは、CDが売れればお金になるけど、それが100万枚売れて『もう僕は一生働かなくても良い』って人は現れないと思うんですよ。そこをどうやって産業化していこうと思うっていうか、少なくとも自分だけは産業として食えなければいけない訳じゃない。どうやってプロになろうというビジョンはあるの?」

八王子「そこは本当難しいところで、CDが売れなくなるというのが目前に来てるじゃないですか」

吉田「もう売れてないでしょ。事実、韓国なんてほとんど無いって聞くし」

八王子「日本はある意味、CDっていうパッケージの売上では、世界でもかなり上位の方っていうか、世界的には売れている方。それこそ、日本はこういう感じですけど、動いているところはしっかり動いているんですよね。それこそクラブミュージックでいえば、iTunesで曲を出して、音楽を売るんじゃなくてイベントとかで、すごいDJだと一晩で何千万と稼ぐ人はいたりとか、しっかり動くところでは動いているので、今までの形にとらわれないで、色々なところから情報をキャッチして、時代時代に合ったやり方をやっていかないと本当にこれからは難しいだろうなって」

吉田「自分のプレイスタイルは?」

八王子「自分はインターネットから出てきたというところもあって、そこは本当に仰る通り、難しいところなんですよ。無料で聞けるのが当たり前なところがあるじゃないですか、印象的には。今はだいぶ薄れつつはありますけど。だから本当にこればっかりは明日どうなってるかもわからない状況だったりもしますけどね。それこそ東方の話に戻っちゃいますけど、例えばZUNさんが次の日に『二次創作一切しないでください』って言ったら、それで東方の文化終わっちゃうじゃないですか。音楽業界もそれくらい、いつどうなるかわかんないなっていうのはあるので、常に情報はしっかり収集しつつ、敏感に色々チャレンジしていかないとなって」

吉田「それ自体が大変だったりとかはあまり感じない?」

八王子「自分は感じないですね。それこそ自分が音楽始めてから、ニコニコ動画内でも、ここ五年間くらいで相当色々な変化があったんで、逆にそこにしっかり対応していかないと今後は絶対難しいと思う」

吉田「今のボカロPさんとかと昔のタイプのミュージシャンっていうのは、人として一番違う気もする。人としての違い、今度は。同じ言葉を扱ってるけども。昔の音楽業界の人って既得権益をどう作るかというのが、一番の関心事なんですよ。ヒット曲を作るにはどうするかっていう。それはそれで間違ってないとは思うんだけど、むしろそんなことは起きはしないとはどっかで思ってるでしょ。それに人生懸けちゃったら、それは間違った生き方だって思うくらい判断は下していると思うので。だとすると、人としての既得権益に一番こだわらない人じゃないとボカロPはやれないよね、言い方が変かもしれないけど」

八王子「合理的っていうか、『一発狙ってやるぜ!』みたいな感じの考え方の人はいないかもしれませんね」

吉田「一発でヒット曲だけ出しておしまいって訳じゃなくて、延々プレイすることが前提っていう感じ」

八王子「今やっぱボカロPに限らない感じがしますけど」

吉田「作家もずっと書き続けなければいけないし。で、多分、世の中で一番古い職業が学者なんだけど、学者って『論文を書け。さもなくば滅びよ!』って格言があるぐらいだから、そういう時代なんだなって今ちょっと思った。だとすると、俺は毎日喋ってても全然苦じゃないから、個人的には大丈夫なんだけど。喋り手って今まで世界中で一度も儲けた人っていないからなぁ。例えば、みのもんたさんだって現役でプレイしてるから収入がある方な訳じゃないですか。だから、『一回あの時いいこと言ったからあの人はもう一生いいよね』ってことは無いんだなって今気づいたりして。一生何かやらないといけない時代なんだなって、すみません、年下の人から勝手に吸収させていただいて、勉強させていただいている内に、残すところがもう3分くらいしか無い訳なんですが、それを真ん中で聞いてくれているお坊様が一体何を考えていらっしゃったのか。そういう事務所の方として」

金子「非常に参考になるお話を聞かせていただいたな、と」

吉田「それって、マネジメントが音楽事務所じゃない感じですよ。延々、現役でやり続ける人たちを相手にしなければいけないから、マネジメントの方針が変わってくる。今までの音楽事務所の人達は、どうやってヒット作って、認知、ブレイク、そしてホールツアーができるようになって、それを何年も回していくような時代じゃもうないよねっていう。その方が面白いというか、本来的だなーと個人的に思います。まさか真面目な話をするとは思わなかったです。自分でも」


金子「太鼓でも叩きますか。よっ」

吉田「そういえば、ライブとかはやらないんですか?これライブだとして」

八王子「ど、どっちのですか?ww 自分ですか?自分はDJをやっているので、ライブっていうよりは、DJパフォーマンスみたいな」

吉田「DJっていう世界も俺わからないんだよなぁ。好きな曲をかけているというか、人のために楽しくなるように曲をかけ、そして調整するというのはわかるんだけどそこにどういう風にどう個性が出て、スターとそうじゃない人の差というのが未だにわからないんだよなぁ。自分にとって良いっていうのはあると思うけど。そういう人が一杯集められるのが良いDJってことですよね」

八王子「極端な話、ヒット曲持ってる人はやっぱ強いですね。コンポーザーで、兼DJっていうのは」

金子「喋りの世界でいうと、先ほど仰ってた落語が近いかもしれませんね。自分の持ち歌みたいなものがあって、その場その場でどういう話をするか、こういう展開にしようかとか、お客の反応を見ながらやっていくっていうのが、喋り手としても通ずるところはあるのでは」

八王子「わかりやすい」

吉田「確かに。客が目の前に誰かいるかで喋ること全く変わりますからね」

八王子「DJも全く一緒ですね。客層に合わせて」

金子「吉田さんも落語を演られているじゃないですか」

吉田「落語演ってますね。コミケでね。それこそニコ動でもやりましたけどね。寄席もやらせてもらいましたけど、やってることは間違ってない感じのことがわかったところで、残り1分というところですね。あまりこれやり続けてると非常にキリがないので。AMラジオの3倍くらいになるので。最後に何かありましたら」

八王子「イェイ!」

吉田「…それくらいでいっか。では最後合掌で。ありがとうございました。お務め終了」

三人で合掌。