• このエントリーをはてなブックマークに追加

na85さん のコメント

>>74:magomeさん
 『「地球生態学」で暮らそう』の総覧的な解説ありがとうございます。私は読んでからかなり時間が経っていますので「おーそんなことも書いてあったなぁ」と、あの総合的な現代日本と世界への処方箋を思い出しています。

 渡辺京二氏の『近代の呪い』は仕事の合間にゆるゆる読んでおり、今第4章に入ったところです。
 近代とは、中間団体=共同体を破壊して国家と個人が直接つながり、つまり直接国家が個人を管理し、人権・自由・平等を保障する代わりに戦争にも駆り出すぜ、というシステムですね。しかし、前近代でも共同体の成員となっていれば時代に合った人権は保障され、一時的に共同体を抜ける自由をも保証され、平等に関しては現代の機会の平等よりも平等感がむしろ高かったとしており、これは全くその通りだと思います。産業革命後の資本家と労働者の間の不平等感、貧困層が被った不自由と人権無視たるや!また、前近代や初期近代の個人がそれぞれいくつかの共同体に参加して民衆社会を形成し、各々が各共同体の人間関係の中で良き身の処し方を覚えるから、近現代人より賢く、さらには幸せであったろうと思います。ただ厳しい国際社会・国際関係を知らないから偏頗心(ナショナリズム)が湧かず、いち早く近代化・産業化した国家の侵略を招かないためには、現存する共同体の多くを破壊してでも民衆社会の個人を国民化する必要があったわけです。
 国民国家形成をいち早く成し遂げたフランスはフランス革命で共同体のほとんどを撃滅させました。産業化の成功で世界覇権国となったイギリスも共同体から個人を引き剥がして国民化したわけです。フランス革命の理念を引き継いだ移民国家アメリカも当然共同体の成り立ちにくい世界です。米英仏独露に一時に狙われた幕末日本の為政者階級の受けた圧迫感は相当なものだったでしょう。藩や幕府といった大きな中間団体=共同体を残しながら公武合体し、民は徐々に国民化・公民化するという経路は不可能だったか?という歴史のイフは、今となっては詮無い話です。日本でも近代化に伴う共同体破壊による弊害は日露戦争後の日比谷公園焼き討ちなどに現れてました。明治国家が個人を戸籍制度と民法で管理して徴兵によって国軍を創設しましたが、また廃藩置県でオラが殿様がいなくなってオラが国を意識しにくくなったはずですが、それでも小さな村落共同体などを撃滅させず生きていたから、故郷のために戦うという愛郷心は祖国愛・愛国心に昇華して日清日露・大東亜を戦えたわけです。
 渡辺氏が『逝きし世の面影』で幕末明治に日本を訪れた欧米人が当時の世界で最も幸せな人々の存在に驚嘆したことを紹介しています。江戸期の庶民は生きた共同体の中でその当時の世界で最高レベルの人権・平等・自由を謳歌していたと思われます。少なくとも産業革命後の苛烈で酷薄な新階級社会に生きた欧米人の目からはそう見えたはずです。それから150年後の現代、グローバリズムによって世界の均質化が進んで国家という最後にして最大の共同体も崩壊に向かい、ますます地球規模で資本家と労働者の階級差別が進行しつつあります。そんな現代の世界状況において各国の為政者が真に自国民のことを考えるのであれば、対外的には貿易を制限してグローバル企業による世界支配体制を阻み、国際交流は文化的なものと環境問題など地球規模の取り組みが必要なものや危機に陥った国家の人道支援に限り、対内的にはケインズ主義による再分配である程度の平等を実現して不満を抑え、不安定化を防ぐべきでしょう。このような取り決めができたとき世界は一気に平和に向かいます。そのためには日本が力を持つ必要があります。小泉純一郎氏が言いました。「指導者がやろうと言えばできる」と。まずは決断し、宣言すればよいのです。その意味で突破者が必要なのです。ちなみに脱原発は軍事的優位の第一歩です。

 急いで『近代の呪い』を読み切らねば na85
No.78
133ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
第62号 2013.11.19発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、よしりんの心を揺さぶった“娯楽の数々”を紹介する「カルチャークラブ」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、珍妙な商品が盛り沢山(!?)の『おぼっちゃまくん』キャラクターグッズを紹介する「茶魔ちゃま秘宝館」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※雅子妃殿下のご病気が徐々に回復の傾向を見せている今、雅子さまをバッシングしてきたメディアは手のひらを返し、次は紀子妃殿下のバッシングを始めた。皇族という「反論できない身分」の方々に嘘の情報で非難を浴びせる、いわば“言論テロリスト”を徹底的に斬る!! ※「ザ・神様!」すっかりヤチホコ♥モテモテ状態のオオクニヌシ。一方、それに対して激烈に怒り狂う正妻・スセリビメ。縁結びの神として知られる、あの出雲大社のご祭神に勃発した、まさかの離婚危機…!どうなる!? ※『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて、一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」。お父ちゃまが久しぶりの登場!ちょっとご機嫌斜めの茶魔を抱きしめて、滂沱の涙のお父ちゃま…さあ、しゃべらせてクリ!   【今週の目次】 1. ゴーマニズム宣言・第64回「雅子さまが回復なら、次は紀子さまを叩けという俗情」 2. しゃべらせてクリ!・第23回「お父ちゃま夕陽に号泣!の巻〈前編〉」 3. もくれんの「ザ・神様!」・第21回「夫婦の危機、ナニが救う!?」 4. よしりん漫画宝庫・第55回「『タコちゃん・ザ・グレート』②手を替え品を替えのお遊び実験作!」 5. Q&Aコーナー 6. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 7. 読者から寄せられた感想・ご要望など 8. 編集後記 第64回「雅子さまが回復なら、次は紀子さまを叩けという俗情」  皇太子・雅子妃両殿下は今月2日、岩手県の被災地をご訪問。雅子さまにとっては、3年9カ月ぶりとなる泊りがけのご公務となった。   雅子さまのご病気が徐々に回復の傾向を見せていることは、実に喜ばしいことである。 また、雅子さまはご病状が思わしくなかった間もずっと被災地の人々に想いを寄せられていたことも、広く知られるようになってきた。   これまでさんざん雅子さまをバッシングしてきたメディアは、恥を知れ! …と言いたいところだが、どうせこういうことをやってる輩は、自分たちがどれだけ間違ったことを書き立て、どんなに人を傷つけようが、そしてその過ちがいくら明白になろうが、決して誰一人反省なんかしない。   皇族という「反論できない身分」の方々に、嘘の情報で非難を浴びせる、いわば言論テロリストのような連中なのだ。  しらばっくれて尊皇派のふりをするのがオチである。  現にかつて皇后陛下をバッシングして失声症にまで追い込んだ週刊誌の編集長が、最近はそんなことなどなかったかのように皇后陛下をほめ称え、「それに引きかえ雅子妃は…」という論調で雅子さまをバッシングした例もある。  今度も雅子さまが叩きにくくなったとなれば、連中はそれまでのことなどなかったかのように手のひらを返し、雅子さまを持ち上げて、それをダシにして他の皇族をバッシングし始めるだけなのだ。そして、その動きは既に始まっている。  週刊新潮11月7日号に、 『ご不満「紀子妃」についた不敬なニックネーム』 という特集記事が載った。  記事は、秋篠宮妃紀子殿下の最近の態度に対して、周辺から批判の声が上がっているというものだ。  秋篠宮殿下と悠仁さま、家に皇位継承権者を二人も抱え、そのプレッシャーに対する気負いから、紀子さまが周囲の人にきつく当たるような場面が多く見られるとして、「宮内庁の宮務課関係者」がこう言う。 「 ご公務の際などは、にこやかでおっとりしたお話し方でお馴染みですが、実際の妃殿下は正反対です。宮廷に詰める職員に対しては、いつも早口で次々とご用件をまくし立てられ、指示が出される場には張り詰めた空気が漂っています 」   まさにデジャ・ヴュである。これは、20年前に皇后陛下を失声症にまで追い込んだ時のバッシングと全く同じ論旨なのだ。  あの時も、「現役宮内庁職員」を名乗る正体不明の者が、皇后陛下は「 普段は慈愛に満ちたお顔からも分かるように優しいお方なのだが 」としておいて、実際の皇后は「癇性」で、職員たちに対しては失敗を厳しく叱ったり、お気に召さないことがあると延々と小言を言ったりするので、緊張感が絶えないなどと書いていた。  まるで写したかのように、まるっきり同じなのである。  紀子妃殿下はご結婚以来、一貫して皇后陛下をお手本として振る舞ってこられたことは知られているが、まさかバッシングの論法まで一緒になるとは思いもしなかったであろう。  記事にはこの「宮務課関係者」による紀子妃バッシング発言がもう一つ載っている。 「 悠仁さまのご誕生前とは打って変わり、ご一家を警護する皇宮警察の担当者らにも、めっきりお声かけをなさらなくなりました。仰ることはご自身のご要望と苦情ばかり 」  そして、注目してもらいたいのはその続きである。 「 意外なことに、雅子妃の方が、まめにご自身の担当にお言葉をかけ、和やかに懇談されているほどです 」  こんな話は、今まで週刊新潮は決して載せなかった。別に雅子さまが最近になって急にお声かけをするようになったわけじゃないだろうし、急に週刊新潮が雅子さまに好意的になったわけでもない。   ただ単に「雅子さまにひきかえ紀子さまは…」と叩くダシに使えるから載せてるだけなのだ。  週刊新潮は、このようなことから疲弊した職員や皇宮警察の一部に、「紀子」を「のりこ」と読んで秘かに「 のりぴい 」と呼ぶ者がいるという、どうでもいいような話を載せて「不謹慎というほかない」とわざとらしく憤ってみせ、これを「 不敬なニックネーム 」と記事タイトルにまでしている。   自称保守雑誌の皇室バッシング記事は、必ず「自分は皇室のことを思っているからこそ、あえて書いている」という見え透いたポーズをとって書かれる。  これもそんないつもの手口だが、本当に不敬なのは「 雅子妃バッシングがやりにくくなったから今度は紀子妃だ! 」とばかりにこんな記事を載せている週刊新潮ではないか!!  しかもその半月後には、これと全く同じ趣旨の後追い記事が週刊現代11月23日号に載った。  今年6月に週刊新潮が「 雅子妃が皇后に不適格だから、皇太子が将来天皇に即位しても、短期間で秋篠宮、そして悠仁さまへと皇位を『禅譲』させるプランを宮内庁が進めている 」という完全事実無根の記事を載せた際も、週刊現代はすぐ翌週に後追い記事を載せている。  とはいえ週刊現代は必ずしも「男系固執・雅子妃バッシング」の週刊新潮と歩調を合わせているわけではなさそうで、11月9日号では女性天皇誕生の可能性にも触れつつ、雅子さまについて好意的に書いた記事を載せている。  記事を見ると、週刊現代編集部には皇室に関する知識を持っている人が全くおらず、外部から持ち込まれた情報をそのまま載せていそうな状況が窺える。おそらく週刊新潮と週刊現代を行き来し、無知な週刊現代を利用して皇室バッシング記事の拡散に努めている人物が存在するのだろう。  週刊現代記事のタイトルは『 日本の「国母」になる紀子妃の大研究 』である。紀子さまを「 将来の国母 」とする表現は週刊新潮にも見られるが、ここにとんでもない無知と不敬が表れている。  
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!