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【魂のプロレス伝承】大矢剛功インタビュー「新日本、SWS、FMW……辿り着いた北の大地」
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【魂のプロレス伝承】大矢剛功インタビュー「新日本、SWS、FMW……辿り着いた北の大地」

2017-07-20 10:51
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昭和・新日本を知る男、大矢剛功インタビュー。80年代後半に新日本プロレスでデビュー。SWSバブルに身を置き、FMWでは「男の中の男」と呼ばれ存在感を発揮した。現在は北海道の北都プロレスで現役を続けながら後進の指導を行っている大矢にこれまでのプロレス人生を振り返ってもらった。




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――大矢さんは北都プロレスを主戦場としてますが、現在のお住いは神戸で試合のたびに北海道で出向いてるんですよね。

大矢 そうですね。北海道の観光客が立ち寄らない場所を回るから、これがまた面白いんですよ(笑)。

――観光客が立ち寄らない場所ですか(笑)。

大矢 北海道は移動するだけでも長時間かかるけど、大自然の中じゃないですか。普通の巡業とは訳が違うんですよね。真夏の河原でリングを組んでね、マットが熱い熱い(笑)。流氷なんかも初めて見ましたし、スキー場でやったときは4月だけど吹雪だったんですよ。リングを組み立てたから、やるしかない。氷点下12度。

――氷点下プロレス!(笑)。大矢さんはコーチもされてるんですよね。

大矢 いまの子は厳しくやるとやめちゃうんですよ。団体からも「適度に厳しくお願いします」ということでね(笑)。

――かつて大矢さんがプロレスの基礎を学んだ新日本道場のようにはいかないんですね。

大矢 あれを同じことをやったら誰もついてこれないですよ。練習も厳しいし、それとシゴキも酷かったから。

――大家さんは小さい頃からプロレスラーになりたかったんですか?

大矢 最初はね、野球が大好きでプロ野球選手になりたかったの。プロレスには興味がなかったんだけど、友達と野球をやっていたら「プロレスを見るから帰る」って。生まれの金沢は土曜日の16時からテレビで全日本プロレス中継がやってたんですよ。しかも1ヵ月遅れで。新日本プロレスは日曜日16時からやっていて。「そんなにプロレスって面白いのかな」って興味を持ち始めて、見てるうちにだんだんと面白くなってきて「プロレスラーにもなりたいな」と。本を買ってトレーニング方法を勉強したりね。

――プロレスラーになるアテはあったんですか?

大矢 金沢に永江トレーニングセンターというジムがありまして。いまはもうないですけど、そこの会長の永江さんが全日本の永源遥さんと知り合いで。私はそのジムに通ってたんで、永源さんとは一度だけお会いしたことがあるんですけど、「プロレスラーになりたいんです」とは言えなかったんですね。

――馳(浩)さんも金沢ですよね。

大矢 あ、そのジムに馳も来てたんですよ。オリンピックに出る前ですけど、金沢では有名な存在で。母校(星稜高校)で練習してましたから、そんなにジムには来なかったんですけど。その永江さんの知り合いに興行をやってる方がいて、新日本プロレス専門の。その方が入門の段取りを付けてくれて。

――テストを受けることになるんですね。

大矢 大阪府立体育館で興行があった日に、山本小鉄さんに面接してもらいました。小鉄さんは「身体は大きいな。スクワット3000回できるか?」って聞いてきて「はい、できます!」と。それで合格で
す(笑)。

――えっ、実際に3000回やらずに?

大矢 その場ではやらなかったんですよ。でも、足の運動は必要だってことはわかってたので、3000回できるようにしてきました。永江トレーニングセンターで2時間ずっとスクワットやって、真冬なのに足元に汗の水たまりができてね。自分の顔が映るんですよ。

――同期は誰になるんですか?

大矢 飯塚(高史)、エル・サムライ。ちょっとあとに鈴木(みのる)、ちょっと上の先輩には片山明選手。寮に住んでいたのはライガー、佐野(巧真)さん、船木(誠勝)選手、橋本(真也)さん、野上(彰、現AKIRA)さん、蝶野(正洋)さん。武藤(敬司)さんは途中で海外遠征に出ちゃって。

――いなくなった練習生はたくさんいるんですよね?

大矢 いっぱいいますよ、そんなの。チョコボール向井は自分より1日前に入ったんですよ。あの世界は1日でも早く入れば先輩なんですよね、どんだけ歳上でも。入門したときに「やめるときは夜逃げするなよ」と言われてたんですけど、チョコボール向井は夜逃げしちゃったんですよ。

――チョコさんはどれくらいいたんですか?

大矢 1週間くらいかな、もうちょっといたかな。夜逃げしたあとに電話がかかってきて「荷物を送ってくれ」って言われてね(笑)。そのあとFMWで一緒になるとは思わなかったんですけど。

――せっかく入門できたのに、1週間で逃げ出しちゃうほどキツかったんですね。

大矢 練習はホントにキツかったですよ。朝10時から練習して、昼飯を食って、夕方から20時頃まで練習。プロレスを習うというよりは、基礎体力トレーニングとスパーリングを延々とやるわけですよ。ホントにキツかったです。いまのプロレスはそうじゃないでしょ。

――逃げようと思いませんでした?

大矢 当日から思った。

――当日!(笑)。

大矢 入門した日は凄い大雨で、合宿所自体がイヤ〜な暗い雰囲気でね。合宿所に入ったら、大広間でいまは亡きブラックキャットさんが任天堂の野球ゲームをやってたんだよね。その大きな背中を見たら、もうやめたくなる感じなんだよね(笑)。

――いまはリフォームされてますけど、当時は重い雰囲気の建物でしたし。

大矢 そうそう、男の世界ですからね。掃除はしますけど、先輩たちは何かやっても絶対に片付けないんですよ。

――そこは練習生の仕事。

大矢 なんでも言うことを聞かなきゃいけない。道場の最寄りの駅は東急大井線の等々力駅。駅の近くに選手行きつけのラーメン屋があるの。

――香蘭ですよね。いまはもう閉めちゃいましたけど。

大矢 あ、閉めたの?

――マスターが高齢ということで

大矢 そうなんだ……。道場から香蘭まで走っていってラーメン食って帰ってくるレースをやらされるんだよ。

――ラーメン早食いレースですか(笑)。

大矢 ある選手がワゴン車を持ってきて、天井が開くんですよ。そこからビデオカメラでレースを撮るんですよね(笑)。

――ハハハハハハ! バカですねぇ。

大矢 どの練習生がラーメンを食べて一番早く帰ってくるか、先輩たちが賭けをやるんですよね。

――やっぱり賭けますか!(笑)。

大矢 賭けに負けた先輩は怒るんですよ。「何をやってるんだバカヤロー! 早くラーメンを食わないからだ!!」って(笑)。

――橋本さん、ライガーさん、船木さんのイタズラ好きの3人が一つ屋根の下にいる時点でヤバイですよね。

大矢 ヤバイ! イタズラが酷かったですね。ホント最悪でしたよ……。俺はね、どちらかというと、まだイジメられないほうだったんですよ。あるでしょ、そういうの。

――イジメられやすい人っていますね。

大矢 小柄な練習生はイジメられやすかったんですよ。山本小鉄さんは小さい選手をいっぱい入門させるんですけど。

――小鉄さんも身体が大きいほうではなかったですし。

大矢 でも、身体が小さい人間よりは大柄な者を残したい時代だったから。必要以上にしごいたり、イジメたりしてやめさせるように仕向けるんですよね。現在活躍しているある選手も入門はできなかったんですけど、かなりやられてましたね。片山選手なんかも酷かったですよ。デビューする前に3〜4回手術してるんです、ケガやイジメでね。

――そ、そうなんですか。

大矢 それでも最後まで逃げずにデビューしましたからね。あの人は根性がありましたよ。普通だったら逃げますよ。ホント酷かったですから。私もたびたびやられましたよ。





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