今年1月から、UFCとベラトールの英語版中継の解説者に人事異動があり、ベラトール創設期から一貫して解説を担当していたベテランのジミー・スミスがUFCに移籍、ベラトールは新たに元レフリーのビッグ・ジョン・マッカーシーを解説に起用することとなった。そのスミスが、同じくベテランUFC解説者ジョー・ローガンの人気ポッドキャスト、『The Fight Companion』に出演、UFC創世記にやはり解説を務めていたエディ・ブラボーも参加して、“MMA解説のお仕事” について大いに語り合っている。今回はその内容を筆者なりに編集・要約してご紹介してみたい。

●解説の仕事を始めたきっかけ

ローガンはもともとスタンドアップ・コメディアンにして、エディ・ブラボーとジャン・ジャック・マチャドから黒帯を授与されている柔術家。スミスも柔術黒帯で、MMAファイターとしても戦績5勝1敗という経験を持っている。ブラボーはもちろん、ブラジリアン柔術師範、道場10thプラネット主宰者だ。

ローガン(以下R):もともとこの仕事を始めたのは、デイナ・ホワイトから招待券をもらって、喜び勇んでエディと一緒にUFCを見に行ったことがきっかけだったよね。最初のラスベガス大会が行われた頃だった。私が格闘技ファンであることを聞きつけたデイナが招待してくれたんだ。で、バックステージでデイナたちとおしゃべりをしていたら、「キミはPRIDEは見ているか」「この前の修斗でのマッハ・サクライの試合は見たか」なんて聞いてくるから、こちらも調子に乗って話が盛り上がった訳だ。

スミス(以下S):私も修斗はすごく好きだったなあ。

R:で、あれやこれやと熱弁していたら、デイナが「キミは解説をやりたいんじゃないのか」と言いだした。私は「いやあ、仕事としてやることじゃないですよ」なんて答えた。だから最初の18大会は、私はノーギャラで解説を引き受けていたんだ。

ブラボー(以下B):そしてジョーが解説をしている間、私はずっと1人きりで試合を見ていたよ。ひとりぼっちになるために来たんじゃないんだけどなあ、と思ってた。

R:古典といってもいいような試合をたくさん見たよ。1994年と2017年のボクシングにはそんなに差はないけど、同じ期間にMMAは本当に大飛躍を遂げたからね。

B:90年代のMMAは本当に別物だよね。当時はインターネットもなくて、MMAは専門のビデオショップで入手するしかなかった。テレビ放送を録画したビデオがレンタルされていたんだ。修斗のビデオには日本語のコマーシャルが入っていたよ。

S:当時、ロサンゼルスのリトルトーキョーにあったビデオショップにビデオを探しに行ったんだ。日本人らしき店員は英語がしゃべれなかった。どうしようかなと思って一言、「ルミナ・サトー」と口走ってみた。すると店員は、ああ、佐藤ルミナですねと言って奥に案内してくれた。そしたら、壁一杯に修斗やパンクラス、PRIDEのテレビ録画ビデオがぎっしりと積まれていたんだよ! その店には1日おきに通い詰めて、毎回3本くらい、ビデオを借りたものだ。



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