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記事 5件
  • 2023年7月28日号:ニュースに一言

    2023-07-28 12:31  
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    ●自宅に帰るのに自衛隊車両を使ったとして、自衛隊石川地方協力本部の隊員ら2人が4日間の停職処分になったというニュースがありました。この2人は40代の女性隊員とその上司にあたる男性一等陸尉で、女性隊員は自衛隊車両での通勤が認められていないのにもかかわらず自衛隊の乗用車で帰宅し、またそれを知りながら男性陸尉は黙認していたのです。
    その理由を陸尉は「女性隊員が早朝から移動しなければいけないことをかわいそうに思った」と話しています。彼女がどれほど遠くに住んでいたのかは定かでありませんが、一緒に働いている身としては車を使うことで少しでも負担が軽減できればと考えたのでしょう。わたしも「装甲車や戦車で帰ったのならまだしも、乗用車をちょっと拝借したくらいで随分きびしいな」と思いましたがそこはやはり自衛隊。彼らにとって規律は絶対なのです。なぜなら、もし「これくらいはいいか」が横行すれば有事の際にそれが命取りになってしまうからです。すべて決められたとおりに動くことが最も効率的であるだけでなく、一人でもそれに反せばその作戦自体が完遂できません。傍から見れば「融通がきかないな」と見えることにもれっきとした理由があり、失敗が許されない組織では当然のことなのです。
    それだけにそんながんじがらめの中で日々、国民のために働いてくれる隊員の皆さんには本当に頭が下がります。彼らは被災地に赴き炊き出しを作っても自分たちは一切口にせず冷たく硬い乾パンでしのぎます。また、被災者のために風呂を沸かしても自分たちはどれだけ汗だくになっても入ることはありません。すべては国民優先とする規律で決められているものなのです。
    ほとんどの日本人はそんな彼らに感謝しかありませんが、そう思わない人がいるのは残念なことです。南西諸島海域における中華人民共和国及び朝鮮半島有事などの軍事的脅威に対する日本の離島防衛態勢強化を目的として今年3月に駐屯地が開庁した石垣島では、共産党議員が「迷彩服で町を歩くな」と自衛隊員のユニフォームに対し因縁をつけ、また地元新聞は「島内で暮らす自衛隊員を島の人口に数えるな」と言いたい放題です。自衛隊は日本国、日本国民が認めた日本国の組織です。それが気に入らないというのなら、そんな非国民はお互いの利益のためにも自身と同様の考えを持つどこぞの国にさっさと行けばいいのです。
     
     
    ●ブラジル・ゴイアス州南東部のカタラン地区にあるバーで、1リットルのピンガ(サトウキビ蒸留酒)を一気飲みした男性が急死したというニュースがありました。この男性は42歳の農村労働者で、ビール1ケースを賭けてアルコール度数40度のピンガをなんとわずか10秒で1リットル飲んだといいますから驚きです。
    40度といえばウイスキーとほぼ同じです。しかも市販のウイスキーは720ml入りですから、それよりさらに4割も多く飲んだのです。一般的に外国人は日本人に比べて体内にアルコール分解酵素を多く持っているので酒には強いとされていますが、それにしても無理な飲み方です。
    この勝負を撮影した動画では、瓶が空になった直後に「飲んだ、勝った、ビール箱はお前のものだ」という外野からの声に対し大喜びする様子が映っていましたが、男性はそれから数時間後にバーを出て、歩道に横たわったまま二度と起き上がらなかったそうです。
    日本でも毎年春先に飲酒に慣れていない大学の新入生が急性アルコール中毒で死亡する事故が報道されますが、酒はただの飲料というだけでなく気分を高揚させる興奮剤、その逆に気分を落ち着かせる鎮静剤、またその場を盛り上げる潤滑剤にもなりますが、一歩間違えたら凶器にもなることを忘れてはいけません。今回のニュースは事件性がなかったため、警察は「自然死」として処理したようですが、男性が賭けたのはビール1ケースではなく自らの命だったのです。
     
     
    ●夏真っ盛り、連日の猛暑に熱中症で倒れる方も増えているようですが、アメリカ・アリゾナ州マリコパ郡では重度のやけどによる救急搬送が急増しているそうです。
    アリゾナ州ではここ連日記録的な熱波に見舞われており、場所によっては48度にもなっているといいます。そのためそんな地域の道路はアスファルトやコンクリートの温度が82度まで上がることもあり、舗装面に10~20分間も接触すれば皮膚が完全に破壊される最高等級の3度になるそうです。ちなみに3度といえば住宅火災に遭った人の症状ですからそのすさまじさがわかります。
    患者は車いすから転落した高齢女性や屋外で作業していて疲労や脱水症状で意識を失って地面に倒れた人が多いようですが、その中で最も可哀そうなのはホームレスの人たちです。彼らは日頃、道路に座ったり寝転んだりして過ごしていましたが、現在はこの暑さ(熱さ)のため一日中立ったままだそうです。そして「もう限界や」とへたり込んだら最後、やけどへまっしぐらなんてこれほどの地獄があるでしょうか。
    やけどというと日焼けでのやけども注意が必要です。こちらは瞬間的に「あちっ!」となりませんから、気付いた時には手遅れになりかねません。以前友人が高校野球の地方予選を見に行った時のことです。彼は自身の母校の開始時間に合わせて球場に向かいましたが、前の試合が長引きなかなか始まりません。ようやく試合開始となった時には入場してから1時間半が経過していました。その間炎天下でずっと待機です。そして彼は夢中になって母校を応援しました。追いつ追われつの接戦となった試合は9回で決着せず延長戦に入りました。当時はいまのようにタイブレークなんてありません。延長13回でようやく決着を見たのですが試合時間は3時間を優に超えていました。その間ずっと炎天下で観戦です。
    席を立った彼は半ズボンから出た自身の足が赤みを帯びていることに気付きました。そのときは「すこし灼けたな」くらいでしたが、翌朝に事態が急変します。なんと両足がパンパンに赤黒く腫れ上がり立つことが出来なくなっていたのです。大急ぎで病院に駆け込んだ彼に医師は「ようこんなになるまで我慢してたな」と呆れたそうですが、彼は球場ではわが身に起きていることに全く気付いていませんでした。
    数日で腫れは治まりましたが今度は皮膚が裂け得体のしれない液体がにじみ出てきます。彼の悲劇はそれだけではありませんでした。なんと東京本社で会長、社長臨席の上開催される全国部長会が迫っていたのです。しかし、足はぐじゅぐじゅ状態でとても背広を着ることが出来ません。仕方なく彼は半ズボン、サンダル履きで会議に出席したそうですが、前代未聞の格好を見た経営陣は笑うしかなかったといいます。彼はそれ以来伝説のサラリーマンとなったそうです。
    それにしても立っているのがやっとな状態なのに迷うことなく大阪から東京に向かう日本のサラリーマン、まさに恐るべし。
     
     
    ●佐賀県で新型コロナウイルスのワクチンを接種した後に死亡した80代男性の遺族に対し、4400万円あまりの一時金が支払われることになったというニュースがありました。これは国が「ワクチン接種との因果関係を否定できない」と認めた場合に一時金などが支給される厚生労働省のコロナワクチン健康被害救済制度によるもので、死亡事例の認定は今回が県内で初めてだそうです。
    コロナワクチンに関して当初は接種後に「具合が悪くなった」と報告しても国は「ワクチン接種との因果関係が確認できない」とほとんどを門前払いしていました。しかしその数があまりにも多くなりついに譲歩せざるを得なくなったのでしょう。国を信じて接種し被害に遭われた方には遅まきながら一歩前進となりましたが、その数はまだ微々たるもので多くの人たちが泣き寝入りをしているのが現状です。
    さらに恐ろしいのはワクチン接種の影響が接種後すぐに現れるとは限らないことです。ワクチン解禁の時には我先にと接種していた人も、ほどなくしてその効果がわかったため、ほとんどが2回か3回で中止しています。そんな人たちは最終接種から随分時間が経過していますから、それこそいまさらワクチン接種との因果関係は確認できないでしょう。
    さきほどワクチンの“効果がわかった”と書きましたが、それはプラスの効果のことであって、マイナスの部分は未だわかっていません。これから先、いつまで心配しなければならないのかと考えると、国はなんとも罪作りなことをしたものです。なにより、いくら補償金をもらったとしても失った命は戻ってきません。国は補償金を支払うことで責任を果たしたと思っているのでしょうが、それは複雑な心境でそれを受け取る遺族の気持ちをないがしろにするあまりにも愚かな考えです。
     
     
    ●アメリカの俳優でつくる労働組合が、報酬の引き上げやAIの活用に関する規制づくりなどを求めて43年ぶりのストライキに入ったというニュースがありました。
    労働者のストライキといえば賃金アップや待遇改善が常ですが、今回は“AIの規制”という聞きなれないものが入っています。AIとは「人が実現するさまざまな知覚や知性を人工的に再現するもの」のことで、俳優たちが懸念しているのはそれによって作り出された架空の俳優(人間)が今後スクリーンにあふれ、自分たち生身の人間の仕事が無くなるのではないかということです。
    既に現代の技術を駆使すれば、かつて出演した作品の映像と音声を使って人工的に“俳優”を作り出すことが可能です。例えば今年で没後50年になるブルース・リーを「燃えよドラゴン」「ドラゴン怒りの鉄拳」「ドラゴンへの道」などの作品からデータを収集して蘇らせ、新たな“ドラゴン”を作ることも簡単にできるのです。これはあたかもアニメの実写版を俳優を使わず作るようなもので、どんな危険な場面でも“俳優”が死ぬことはなく、また万一死んだとしてもリセットさえすればやり直せるのですから、あらゆるアクションシーンにスタントマンを使わず“スター俳優”をそのまま起用することができます。なにより作り手にとって「文句を言わない」、「好きに動かせる」その上に「ギャラがいらない」となれば、これほど都合のいい“俳優”はいません。
    生身の俳優たちが危機感を抱くのも当然でしょう。最近の技術の進歩はめざましく、あらゆるものが機械に取って代わられています。このニュースに触れてわたしは日本初の国産アニメ、手塚治虫先生の「鉄腕アトム」を思い出しました。この漫画界の巨匠が今から60年以上前に描いた作品は未来予想図そのものでした。頭上を走るクルマは今の首都高速道路そのものですし、なにより2025年大阪万博の目玉はそのものズバリ“空飛ぶクルマ”です。空飛ぶといえば1984年ロサンゼルスオリンピックの開会式では突然人間が空中から現れて全世界を驚かせました(と言っても、あれはピアノ線によるものだと、私は思っていますが)。
    多くの日本人が鉄腕アトムで“ロボット”という言葉を知って以来、現在では人間がとても持てないような重量物を軽々と持ち上げ、肉眼では見えないものを瞬時に見分けるなどあらゆる場面で産業ロボットが活躍しています。彼らの発達はそれら人間でいう“肉体”の分野だけではありません。囲碁や将棋でもAIがプロ棋士に勝つのはもはや当たり前ですし、チャットGTPにいたっては一瞬で論文を書き上げるなど“頭脳”面でも生身の人間の上をいっています。
    いまや人間がAIより優っているのは唯一感情を持っているという所だけかもしれません。「鉄腕アトム」にアトムが周りの人間の友達が嬉しいときや悲しいとき、また絵画や音楽などの素晴らしい芸術作品に触れたときに感動して涙するのに自分にはそれが出来ないと悩む回がありました。相談を受けたお茶の水博士はそれを不憫に思いアトムに“感情”を与えるのです。しかし、それまで自由に空を飛んで十万馬力で迷いなく悪者をやっつけていたアトムは感情を得たことで敵に対峙することが怖くなってしまいました。手に入れたものが大きければ大きいほど失うものも大きい。これは便利さを追求するあまり、大切なものを忘れてしまっている現代人にも通じるものがあるのではないでしょうか。発展を続けるAIは近い将来、感情をも持つようになるでしょう。しかし、AIが涙を流すことは絶対にありません。なにしろ精密機器に水気は厳禁ですから。

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  • 2023年7月21日号:ニュースに一言

    2023-07-21 13:53  
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    ●7月13日、これまでの「強制性交罪」が改正され、新たに「不同意性交罪」が施行されました。これはそれまで暴行や脅迫、地位利用などにより無理やり性交を行なっても、それが証明できなかった場合は罪に問えなかったものが、今後は不同意、“同意がない性交”は犯罪になり得るというのです。そしてその“同意”が必要ということは「してもいい?」に対し「ダメ」と拒否されることはもちろん「・・・」と無言であった場合も同意を得たことにはなりません。すなわち「いいわよ」という明確な言質が必要になるのです。
    嫌がる相手を押さえつけて無理やり、なんてまともな人間のすることではありません。しかし残念ながらそうまでして、あるいはそのシチュエーションを異常に好み行為に及ぶ輩が一定数存在することは事実です。される側の気持ちを一切顧みないそんな連中が有無を言わせず処罰される今回の法改正に異論はありませんが、実際の運用にはいささかの疑問が残ります。
    なぜなら、まずセックスという当事者以外知りえない極めて秘なるものの証明をどうやってするのでしょう。ことに及ぶ前に第三者に立会いを求めてその前で宣誓するのか、あるいは同意書を持参して署名捺印するのか、いずれも現実的ではありません。さらに始める前には「いいわよ」と言っておきながら事後になって「そんなこと言っていない」となったらそれはどうするのでしょう。悪意を持った人間が相手を陥れるために誘い出し、後になって「無理やりだった」ということも可能です。街角で「10000円でどう」と誘われてホテルに入り、帰り際に「30000円」と手を出され断ったところで「無理やりしといてなによ」と言われたらもうおしまいです。
    これからは自身を守るためによほどよく知った信用できる相手としか付き合わないようにしなければなりませんが、この法律は夫婦間でも効力があるということで離婚したい妻が夫に対し仕掛けることもできるとなったら嫁さんでさえ信用できません。もはや男性にとってはお手上げのようですが、唯一の救いどころはこの法律が被害者を女性に限定していないところです。これからは「同意していないのに無理やり“された”」と訴えられそうなときには、その前に「無理やり“させられた”」と先制攻撃にでるしかないようです。
     
     
    ●イタリア・ローマの高校に勤務する66歳の男性用務員が17歳の女生徒の体をまさぐったにもかかわらず「その時間が10秒未満だったから性的暴行にもセクハラにもならない」という判決を裁判所が下したというニュースがありました。
    被害者の女子高生が昨年4月、学校で友人と一緒に教室に向かって階段を上っていたところ後ろから突然ズボンをずり下げられお尻を触られたそうです。さらにその手は下着の中にまで入ってきたといいますから大変です。驚いた女子生徒が振り返るとそこには用務員のオッサンが。そしておもむろに「お嬢さん、もちろん冗談だよ」と言ったそうですが、17歳の女の子のスカートをずり下げ下着の中に手を入れておきながら「冗談だよ」が聞いて呆れます。
    当然のことながら女子生徒は警察に被害を届け出て男は起訴されました。彼女にしたら裁判という公の場で自身が受けた辱めを明らかにするのはさぞかし辛いものだったことでしょう。しかしそれにも増してこのオッサンの行為が許せなかったのです。
    検察当局は禁錮3年半を求刑しました。誰もが有罪を確信し興味はその量刑のみと思われた裁判でしたが、出された判決はなんと「被告は無罪」。そしてその理由が「行為が10秒未満だったため」だなんて到底納得できません。10秒未満なら大丈夫だとしたら、すれ違うすべての女性の胸にタッチしても一揉みだけならセーフ、さらに相手を押し倒してチューしても「ワン、ツー、・・・・・ナイン」で離れたらセーフということになります。これではまるで抑え込まれても「ワン、ツー」で肩を上げてスリーを聞かず負けを逃れるプロレスと同じです。
    日本にも「道に落としても3秒以内に拾い上げれば食べてもOK」、「ニホンザルの目を3秒以上見たら襲われる」など、タイムリミットに関する言い伝えはありますが、イタリアのわいせつし放題に比べたらすべてが可愛いものです。この判決に対し真っ当な考えを持つ若者らは怒りの声を上げているそうですが、裁判所のお墨付き得たことで今後イタリアの変態たちが常にストップウォッチを持ち歩くことは間違いありません。
     
     
    ●道路交通法の改正により7月から免許不要、ノーヘルOKとなった電動キックボードの事故や違反が全国で多発しているというニュースがありました。東京では酒を飲んで乗った大学生が停車中のタクシーに追突、北海道では60代の男性が転倒し脳挫傷により意識不明の重体となっています。
    そもそも電動キックボードは、立ったまま乗るため重心が高いうえに車輪の径が小さいので少しの段差や障害物でもバランスを崩す極めて運転の難しい乗り物です。それをそれまで必要だった免許とヘルメットをいらないようにするなんて一体どういう了見なのでしょう。それは法を作る者がキックボード人口を増やして金儲けをしようと目論む団体に対し便宜を図ることで、そこからの見返りを期待しているからにほかなりません。
    そんな国民の安全安心を脅かしてでも自己の利益を求める国会議員たちには本当に辟易します。そして彼らの思惑通り街中には“電動キックボードステーション”が一気に増えました。わたしは日常の移動は主に自ら運転する自家用車です。市街地を走行中いつも感じるのは自転車の傍若無人ぶりです。一方通行の逆走や交差点での飛び出し、渋滞時に車の脇を猛スピードですり抜けるなどヒヤッとすることの連続で「なんだ、こいつは」と睨んだところで彼らは「クルマが避けるのが当たり前」とばかりにまったく悪びれる様子はありません。自転車には免許は不要ですから細かい交通ルールは知らないにしても「赤信号は止まれ」は子供でも理解しています。しかし現実には平気で信号無視をする自転車があとを絶ちません。
    これからそれに電動キックボードが加わると思うと憂鬱になります。道路はみんなのものです。ひとりよがりの行動で周囲に迷惑をかけるなんて許されません。その指針となるのが交通法規(ルール)なのです。それを守らない者に公道を走られては困ります。ヘルメットも被らず無茶な運転でケガをするのは自業自得ですが、そんな連中のために加害者にされるのだけは勘弁願いたいものです。
     
     
    ●旅客機を利用する時には常に進行方向に向かって左側のドアから出入りします。これは飛行機が発明される前の主な移動手段であった船が後方右側に舵があったため、左側しか接岸できなかったことに由来しています。
    そんな旅客機ですが右側にも必ずドアが付いています。これは文字通り「非常口」として緊急時に開かれるものです。いざその時になれば緊急ですからロビーから伸びるボーディングブリッジやタラップの到着を待たずして開かれ、機体から脱出用のスライド(滑り台)が出てきて乗客はそれを使って脱出するのです。
    アメリカ・イリノイ州で飛行中のユナイテッド航空機(ボーイング767型機)からそのスライドが脱落し、シカゴ・オヘア国際空港付近の住宅地にある民家の庭に落下したというニュースがありました。この家の住人の話では、大きな衝撃音に驚いて表に出てみると裏庭に乗用車ほどの物体があったそうです。周囲を確認すると屋根やキッチン窓などが壊れています。これは飛行機からの落下物に違いないと確信し急いで米連邦航空局(FAA)に通報したということですが、よくそんな大きな物が落ちてきてケガ人がいなかったものです。
    スライドは緊急脱出用ですからすぐに取り出せる位置に格納されていたのでしょうが、それにしてもこんなに簡単に飛び出してくるのはいただけません。旅客機は何事もなかったかのように空港に着陸し乗員乗客は全員無事でしたが、自身の役割を忘れ乗客を差し置いて最初に飛行機から逃げ出す脱出用スライドには困ったものです。
     
     
    ●待ちに待った夏休みが始まります。ここ数年、コロナの流行による行動制限を強いられてきた学生のみなさんにはようやく訪れた“本物”の夏休みを満喫してもらいたいものです。
    国内の観光地はどこも自粛ムードがなくなり大賑わいのようですが、その中でもやはり沖縄は大人気です。昼間は透き通る海でマリンスポーツを存分に楽しみ、夜は県内一の繁華街、国際通りに繰り出し食事やショッピングとまさに青春真っ盛りです。
    そんな沖縄がたいへんな人手不足に陥っているというニュースがありました。特に飲食店のそれは深刻で、中には店員が揃わなかったために休業を余儀なくされ道行く観光客をただ指をくわえてながめるしかない店もあるようです。その理由はコロナ禍で減らした従業員が既に新たな職に就いて戻らなくなったことがあります。そのため以前は900円ほどだった時給を1300円にアップしましたが、新規に立ち上げたホテルなどそれ以上の時給を払う所に人が流れてしまい上手く集まりません。中には2000円という破格の提示をする店もあるようですが、それでも十分に確保できないケースもあったといいます。
    急激な時給アップといえば1980年代後半のバブル景気の頃のアルバイトは全員が裕福でした。2か所のバイトを掛け持ちしようものなら新入社員の初任給を優に超す収入が得られるのですから「就職して企業の歯車になるなんて愚か者のすることだ」なんて嘯き、大学卒業の時期になっても就職活動を放棄しバイトに明け暮れる者もいたものです。しかし数年後に景気が落ち着くと、真面目に就職した同級生をバカにしていた連中は今度は「非正規採用をやめろ、正社員にしろ」と騒ぎ出すのですから「塞翁が馬」とはよく言ったものです。
    そして人手不足は沖縄に限ったものではなく日本中で起きています。その一方で生活保護申請数は4カ月連続して前年を上回り、4月はなんと10%以上も増え現在は約164万世帯が受給しています。生活保護は働きたくても働けない人たちの最後の命綱ですから必要ならば遠慮なく申請すべきです。しかし、その原資は税金なだけに不正は絶対に許されません。現状の不正受給は全体の1%に満たないとされていますが、これは収入あるいは貯金があるのを隠していたなどで、本当に受給者全員が“働けない”人なのかは疑問です。
    中には働けるのに“働きたくない”人も含まれているのではないでしょうか。「この仕事はきついから嫌だ」「この仕事は汚いから嫌だ」と選り好みをして“働かない”人がいたとしたら、我慢しながら真面目に働いて生活保護の原資となる税金を納めている多くの労働者は堪ったものではありません。人手不足といわれる現在の日本には仕事はいくらでもあります。政府は足りない労働力を外国人に求めていますが、それよりまず日本人全員を職に就かせることのほうが先決でしょう。
    世界一勤勉といわれる日本人ですらこんな状況で、多くの外国人が入ってきたらどうなるのか。日本の生活保護は原則「日本人に限る」とされていますが、とっても“優しい”我が国では人道的な観点から外国人にも支給しているのが現状です。今後、そんな“優しい”政府から国民はさらに不良外国人の面倒までみさせられることにもなりかねません。日本国民は日本国が日本国であるためにも、目先の人手不足を理由にした“売国政策”を絶対に容認してはなりません。

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  • 2023年7月14日号:ニュースに一言

    2023-07-14 16:08  
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    ●香川県議会で11月10~19日の10日間にわたり香川県会議員8人が参加して行われる海外視察旅行が、議長を除く40人の議員のうち37人の賛成多数により可決されたというニュースがありました。
    この視察旅行は市民団体から見直しや中止を求める陳情が提出されていたこともありその可否が注目されていましたが、やはり“議員”の行く“議員”のための海外旅行を“議員”が決めるのですから当然のようにすんなりと可決されました。この旅行は香川県知事とともに3カ国を訪問するもので、最初のパラグアイでは県人会創立50周年、次のブラジルでは県人移住110周年の記念式典にそれぞれ参加し、経由地のロサンゼルスでも県人会と懇談する予定となっています。さらに高松市の栗林公園と姉妹庭園提携を結んでいるロスのハンティントン財団庭園では県内から移築された古民家の披露式典に出席するとしており、それなりに“香川”と関りがある行程となっています。
    そんな旅行に市民団体が待ったをかけた理由はそのあまりにも高額な費用のためです。なんと8人で総額2106万円、1人当たり263万円にもなるというのです。当然その費用はすべて税金で賄われます。なぜそこまで高額になるのかというと往復の飛行機はビジネスクラスを利用しその費用だけで187万円、さらに全6泊のうち2泊は1泊6万6千円のホテルの「エグゼクティブルーム」に泊まるというのですから見事なまでの大名旅行です。
    ビジネスクラスに座ったからといって半分の時間で到着するわけではありません。エコノミーであろうとちゃんと目的地には到着します。エグゼクティブルームで寝たからといって朝までぐっすり眠れるとは限りません。ビールを飲み過ぎるとエグゼクティブルームであろうとネットカフェであろうと夜中にオシッコで目覚めるのは同じです。それなのにそれらを選ぶのは「どうせ俺らの金やないし節約する必要はない、せっかくだから贅沢しようや」という考えにほかなりません。
    県民に“選ばれた”者だからこそ県のお金の無駄遣いを控えねばならないのに、県民に“選ばれた”者だから県のお金を自由にしてもかまわないと考えていたとしたらとんだ思い上がりです。それでなくても香川県では過去の海外視察をめぐり「実質的には観光だった」として旅費の一部返還を求める判決が昨年確定したばかりです。それなのに彼らはそこからなにも学習していません。そんなアホが行く視察旅行なんて何の収穫も期待できず、これ以上の税金の無駄遣いはありません。
     
     
    ●航空機の出発を待つロビーで「○○行き15:00出発便の予約をキャンセルいただけるお客様はいらっしゃいませんか」というアナウンスを聞くことがあります。これは座席数以上に予約を取った(オーバーブッキング)ことで乗客があふれてしまったことに対し、その権利の放棄を依頼するものです。
    無理を承知でのお願いですからもちろん“タダ”というわけにはいきません。必ずそのあとに「了承いただきました方には10000マイル、あるいは10000円の協力金を差し上げます」と続きます。代替便のチケットのほかに最終便間近の場合はホテル代、そのうえでの現金ですから、先を急ぐ必要のない旅行者は「1日余分に旅が出来る」と喜んで手を挙げます。
    困るのは誰も手を挙げない時です。しばらく待って駄目なときは10000円が20000円と、まるでセリのように協力金が上がっていきます。そしてそれが50000円など一定の金額を超えると、それまで知らんふりを決め込んで横を向いていた人たちが一斉に手を挙げるのですからみなさん考えることは同じです。そしてあまりに希望者が多くなると今度はジャンケンになるのですから、航空会社にしてみれば「なんというがめつい奴ら」と思っていることでしょう。
    スペインからイギリスに向けて飛ぼうとしていた旅客機が、客が多くなりすぎたために搭乗した乗客に降機を要請したというニュースがありました。飛行機に乗り込む前のロビーでの話ではありません。全員が機内で着席していながら“多すぎる”とはどういうことでしょう。なんと乗客の人数は定員どおりだったものの各自が機内に持ち込んだ手荷物が多すぎ、客席内の重量がオーバーしたというのです。では、なぜ普通に飛び立てないほどの持ち込み手荷物が重くなったのでしょう。どうやらその理由はこの航空会社がLCC(格安航空会社)だったことにあるようです。LCCは日本航空や全日空などのFSCと違い機内食や飲み物、座席指定等FSCでは普通に受けられるサービスをオプション扱いで有料としています。貨物室への荷物の預け入れもそのひとつで、今回も別料金の支払いを避けたい多くの乗客が本来貨物室行きの重い荷物を無理やり機内に持ち込んで搭乗したのです。
    機長は客室に「非常に多くの乗客が搭乗し、航空機が重くなった」「この空港は滑走路が短いうえに現在風向も良くないなどの不利な条件が複数重なり現在離陸できない」とアナウンスしました。さらに「協議の末に機体を軽くしなければならないという結論を下すに至った」と続け「可能なら20人の乗客が今夜リバプールに行かない選択をしてほしい。いま飛行機から降りる人には1人当たり最大500ユーロ(約7万7710円)のインセンティブを差し上げる」と協力を依頼しました。500ユーロとは結構な金額です。案内放送が終わるやいなやすぐに19人の乗客が自発的に飛行機から降りたといいますからお金の威力はやはり絶大だったようです。
    そしてようやく飛行機は飛び立てましたが、格安航空を利用してさらに利益まで得た乗客たちには恐れ入ります。
     
     
    ●20代の女性から下着を盗んだ疑いで福島県郡山市に住む27歳の自称飲食店従業員の男が逮捕されたというニュースがありました。下着泥棒といってもこの男は民家に忍び込んでタンスの中を漁ったのでも、軒先に吊るしてある洗濯物に手を伸ばしたのでもありません。なんと女性が穿いていたパンツをこっそりと脱がせて持ち帰っていたのです。
    7月9日の午前4時ごろといいますから、ちょうど日の出あたりの時刻でしょうか。郡山市の飲食店前でうら若き女性が酒に酔い寝込んでいました。それに気づいた男はそっと近寄り、眠った女性を起こさないよう気をつけながらするするとパンツを脱がしたのです。男はまだ温かみの残るそれを手にその場を離れました。それからしばらくして目覚めた女性は股間に違和感を覚えました。昨日の夜までたしかにあった布の感触がないのです。そっとスカートの中を覗いてみると「あちゃー、パパパパンツがない」。驚いた女性はすぐに警察に駆け込み周辺の防犯カメラなどを捜査した結果、男の犯行が明らかになったのですが、金品を盗まれたわけでも乱暴されたわけでもない女性にただ「穿いていたパンツがなくなった」と駆け込まれた警察もさぞかし面食らったことでしょう。
    女性の災難はそれだけではありませんでした。事件の概要を伝えるニュースに被害は下着1枚(時価約100円)と大々的に書かれてしまったのです。若い女性が自分の穿いているパンツを“100円”と断定されるのはとてつもなく辛いことでしょう。ネット上では自分のパンツをオークションにかける女性もいて、それを嬉々として5000円、10000円の高値で買う変態も多く見られます。
    「あんたのパンツは100円」と言われた被害女性はきっと自身のものも警察ではなく、そんな生パンツマニアに査定してもらいたかったことでしょう。
     
     
    ●大阪市の中心を南北に貫く御堂筋。この道は最大8車線もありながらそのすべてが南に向かう一方通行です。では北に行きたいときはどうすればいいか。心配はいりません。御堂筋をはさむ四ツ橋筋と堺筋は北行きの一方通行なのです。すなわち大阪市内の中心部の道路は北行きと南行きの一方通行が交互に並んでいるのです。ですから「長堀通をまっすぐ行って御堂筋を北に上がって」はありえません。長堀通を通って北に行くなら御堂筋の手前か行き過ぎたところしか曲がれないのです。ちなみにこの“筋”と“通”ですが、“筋”が南北に走っているのに対し“通”は東西に走る道のことです。
    そんな御堂筋で飲酒運転をしたとして、柏原市立中学校に勤める29歳の男性教師が書類送検されたというニュースがありました。この教師は御堂筋8車線の端から端までを蛇行運転して捕まったのでも、全車線を止めた一斉検問で捕まったのでもなく、なんと午前4時15分ごろ御堂筋の本線に車を止め運転席で寝ていたところを通報されたのです。だっだ広い道路にただ1台だけ自動車が停まっていたらどう見ても不自然です。寝るなら近隣の駐車場にでも入れたら良かったのに運転中に力尽きてしまったとしたらよく事故を起こさなかったものです。
    御堂筋での駐車といえば、いまほど取り締まりも厳しくなかったころは二重三重駐車は当たり前でした。これは路肩に駐車してある車の外側に次々と重なるように駐車するもので、客待ちのタクシーの列は当たり前のように道路上に広がっていました。ですから道頓堀を訪れた乗用車が路上駐車しようと思っても到底路肩までたどり着けません。そこで「どうせ詰まっているのだから」とタクシーの外側に駐車して平気な顔で遊びに行く強者もいました。ですがそんな彼らはその後、決まって青ざめることになるのです。なぜなら夜通し遊んで明け方に駐車した場所に戻ると、停めた時にあれほどたくさんいたタクシーは1台もなく、御堂筋の8車線のど真ん中にポツンと寂しげに停まっている自分の車を見ることになるのですから。
     
     
    ●現代人にとって今、最も手放せない物といえばスマートホン(スマホ)でしょう。この10年で爆発的に普及し、いまや日本人の9割以上が所有しているそうです。なにしろ携帯“電話”なんていう名称でありながら、通話や文字の送信が出来るのはもちろん、画像や動画を撮影できるだけでなくそれを瞬時に送れるのです。さらに国語辞典、漢和辞典、果ては百科事典までを網羅しているかのごとくの情報量を搭載しており、あらゆる調べものに対応できる優れものです。ほかにもテレビ、ラジオの代わりになるだけでなく、交通機関や店舗では代金決済ができるなど、それひとつさえあればなんら不自由なく日常生活を送れるようになっています。
    そんな完全無欠にも見えるスマホの唯一の弱点が“充電切れ”です。電源が入らなければ「すべてが可能」が逆に「すべてが不可能」となるのでその影響は非常に大きくなります。それだけに長時間の外出には充電器が必携です。窓側席にのみコンセントがあった新幹線も最近では全席に完備されるようになり、電源の取り合いもなくなりました。
    しかし、いかにコンセントがあろうとそれはスマホやパソコンのためだけに使ってもらいたいものです。中国・重慶市の列車内で中年夫婦と見られる2人組が電気炊飯器でごはんを炊いて食べたというニュースがありました。当時の状況を目撃した人たちの証言によると、中年女性はあらかじめ準備したコメを炊飯器に入れて水を加えた後、ためらうことなく座席に設置されたコンセントにつなぎスイッチを押したそうです。そして、数分後には香ばしいごはんのにおいが客室内にあふれてきたものですから周囲はざわつきました。
    しかし、彼らは他の乗客の視線をものともせずごはんを炊くのに集中していました。最近の家電はよくしゃべります。お風呂にお湯がはり終ると「お風呂が沸きました」、エアコンの温度を下げると「設定が24度になりました」。どうやらこの夫婦の炊飯器も最新型だったようで、やがて車内に「ごはんが焚けました」という音声が響き渡ったのです。それとともに中年女性は準備していたしゃもじと透明の容器を取り出し何食わぬ顔でごはんをよそい隣の席に座る夫に渡し仲良く食事を始めたといいますから呆れます。
    旅の楽しみのひとつに食事があります。車窓からの景色を眺めながら食べる駅弁の味は冷めていても格別ですが、そのごはんが炊きたてならさらにおいしさは増すことでしょう。とはいっても座席のあちこちから無遠慮に湯気を上げられたのでは鉄道会社は堪ったものではありません。こんなことがまかり通るのなら今後はより調理の幅が広がる電子レンジも持ち込まれかねず、そのうち車両のあちらから「チン」、こちらから「チン」と聞こえるようになることでしょう。でも、こんな風情のかけらもない「チンチン電車」にはわたしは乗りたくありません。

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  • 2023年7月9日2/2号:ニュースに一言

    2023-07-09 08:10  
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    ●朝日新聞東京本社映像報道部に所属する52歳の男性写真記者が住居侵入の疑いで書類送検されたというニュースがありました。
    この記者は5月25日に長野県中野市で発生した、警察官を含む男女4人が殺害された事件で容疑者が立てこもった現場の住宅の敷地内に翌26日未明、取材と称して無断で立ち入っていました。殺人現場ですから当然そこは規制されています。すぐに警察官が近寄り退去を求めましたが記者はなんだかんだと言いながら10分ほどとどまっていたそうです。
    記者は朝日新聞の社内調査に対し、「撮影取材の中で、別の場所が現場だと思い、立てこもりの現場とは知らずに立ち入った。とどまったのは休憩のためだった」と説明しているそうですが意味が分かりません。事件の取材に行っておきながら現場がわからなかったはないでしょう。なによりそこは規制線テープで囲われていたでしょうし、そのうえ警察官に「さっさと出ろ」と言われていたのですから。それを言うに事欠いて「何でもないところで休憩していただけ」なんて開いた口がふさがりません。
    この記者は52歳です。新卒で入ったとしたらほぼ30年前です。当時の朝日新聞は高給で知られており“東大卒”も多くいた一流(記事の内容ではなく、企業としての一般的な評価です)企業でした。さらに多くの人たちは世間の出来事を新聞やテレビでしか知ることが出来ず、その中でも新聞は「そこにはウソはない」と絶対的な信頼を得ていたものです。そんな時代を過ごした彼はさぞかしエリート意識の塊りだったのでしょうが、令和の世になっても相変わらずそれを捨てられず「真実の報道のためには多少のルール違反は許される」と考えていたとしたらこれほど滑稽なことはありません。
    インターネットの普及により世界中の出来事が瞬時にわかるようになり、新聞が読者を誘導する時代は終わっています。朝日新聞も1990年には800万以上あった発行部数がいまや400万部を切っており、そもそも朝日が平気で捏造記事を書くことを知っている現代では、もはや誰も「報道機関だから」と特別扱いする気はありません。そんなことすら理解できない記者たちが作っている新聞ですから凋落するのも至極当然です。
     
     
    ●交通違反による反則金を納付せず、再三に渡る交通裁判への出頭にも応じなかった岡山市内に住む42歳の男が道路交通法違反の疑いで逮捕されたというニュースがありました。
    この男は2020年11月8日岡山市北区で乗用車を運転中、Uターン禁止違反で6000円、2021年7月20日岡山市南区で信号無視で7000円、2022年9月15日岡山市南区で横断歩行者等妨害等違反で9000円と3件の交通違反を犯しながら反則金を支払わず知らんぷりを決め込んでいました。警察は2021年1月から2023年4月までの2年3カ月にわたって合計55回男に電話をしましたが、そのうち49回は電話に出ず、ようやくつながった6回にさっさと反則金を支払うよう督促したのにもかかわらず、ずっと無視されていました。
    さらに2021年2月と2022年11月には岡山南署に男を呼び出して直接「特例納付書」を手渡し交通裁判への出頭を促しましたが、これにも応じることはありませんでした。そこでついに堪忍袋の緒が切れて逮捕に踏み切ったようですが、率直に言って“遅すぎ”です。督促なんて2回もあれば十分で、それに応じなければさっさと車両の差し押さえでもすればいいのです。駐車違反でレッカー移動された場合にその費用を支払わなければならないように、差し押さえの場合のその費用も当然違反者持ちとしたらいいのです。
    調べに対し男は「3つの違反をしたことに間違いありません」と容疑を認めているということで、「お金がなくて反則金を納めなかった。仕事が忙しくて交通裁判へ出頭できなかった」と話しているそうですが、ガソリンを入れて車を走らせていながら「お金が無い」なんてよく言えたものです。ただ払う気がなかっただけでしょう。
    ドライバーは交通違反をしないよう細心の注意をはらって運転しなければならないのは当然だとして、違反をしたらすぐに反則金を納めることを徹底しなければなりません。今回の男の容疑は“道路交通法違反”ですが、果たしてどれくらいの罰が課せられるのでしょうか。まさか貯まっていた反則金を支払って終わりなんてことはないでしょうね。逃げ得を目論む奴には厳罰を与え、そしてその内容を公表するべきです。さもなくば、このニュースを見て「督促も50回までなら大丈夫」なんて勘違いする輩がでてこないとも限りません。
     
     
    ●アメリカでたった1人の客を乗せた旅客機が飛び立ったというニュースがありました。と、言ってもこの飛行機は決してプライベートジェットだったわけではありません。れっきとした定期便の話です。
    先月25日、オクラホマ州の空港では悪天候のため航空機の欠航や遅延が相次ぎました。ノースカロナイナに向かう午前6時20分発のアメリカン航空機も例外ではなく出発を見合わせており、新たな予定時刻になる度にその時刻の後ろ倒しを繰り返し、まったく離陸の目途が立っていませんでした。そのため、いつ飛ぶかわからない状況に業を煮やした搭乗予定客は別便に乗り換えたり、旅行自体をあきらめチケットをキャンセルするなどして次々と待合室から去っていきました。結局この「ノースカロライナ行きアメリカン航空機」が飛び立ったのは当初の予定から18時間後の日付が変わった26日の午前0時12分で、それまで7回もの順延を繰り返していました。
    そこまで気長に待つ人はそうそういないと、当該便に乗務予定だったスタッフはホテルに引き上げていましたが、なんと100人以上いた予約客の中にたった1人だけおとなしく待っていた人が残っていたから大変です。大急ぎで空港に再招集をかけられました。なんとも奇特なこの乗客はノースカロライナ州グリーンズボロに住む不動産業の男性で、出発ロビーに自分しかいないことに気付き、係員に「他の人はみんなもう乗ったんですか」と尋ねたところ、係員は笑いをこらえながら「あなただけよ」と答えたそうです。なるほどいつもの「搭乗案内です、まずはファーストクラスのお客様、続いて上級会員のお客様」というアナウンスもないはずです。そしてお客は1人でも機長、副操縦士はもちろんパーサー、CAにいたるまで乗務員はフルメンバーです。機内に入るときも総出で迎えられるのですから、なんとも面はゆい心持ちだったことでしょう。
    そして、本来ならチケットに記載された座席に向かうところですが何しろすべての座席が空いています。CAさんの「どこでもお好きな場所に」の言葉に彼は迷わず“ファーストクラス”を選んだそうです。そしてCAは社内規定に則り、彼1人のために非常時における救命胴衣の着方の実演をしてくれるのですが、このデモンストレーションは大勢で見ているからいいのであってマンツーマンだとなんとも照れるものです。真ん前で胴衣へ空気を入れるためにパイプを咥える姿から目をそらすわけにもいかず、じっと耐えるのは至難の業でしょう。
    道中、彼はずっと「アテンション・プリーズ」状態で、あらゆるサービスを文字通り独り占めしたそうです。そして出発から3時間が経過した午前3時35分、ようやくノースカロライナの空港に到着しましたが、彼の旅はまだ終わりませんでした。なんと貨物室に預けた荷物が行方不明になってしまったのです。多くの荷物の中で迷子になるのはわかりますが、どうやってたった1つの荷物を見失うのか不思議です。空港中を探し回り無事に見つけ出し解放されるまでにさらに1時間を要しましたが、ここにきての1時間なんてもう誤差の範囲でしかありません。ほぼ1日を空港と機内で過ごしたこの男性ほど「お疲れ様でした」の言葉が似合う人はいないでしょう。
    航空会社、乗務員、空港職員の皆さんもさぞかし大変だったでしょうが、彼が「機内では冗談も飛び交うなど楽しく過ごし、翌日も連絡を取るほど親しくなった」とご機嫌だったのはせめてもの救いでした。
     
     
    ●特殊(オレオレ)詐欺被害のニュースを見ない日はありません。突然、電話口から「おばあちゃん、助けて」という声が聞こえて慌てない高齢者は少ないでしょう。最近でこそ報道を見聞きして「これは詐欺かも」と疑う人も増えていますが、もし実際に目の前で孫が「おばあちゃん、助けて」と叫べばもう疑う余地はありません。
    中国・福建省で人工知能(AI)を使って430万元(約8483万円)をだまし取る事件が発生したというニュースがありました。福建省福州市に住むテクノロジー企業経営者の男性に友人から微信(LINEのようなもの)を使ったテレビ電話がかかってきました。画面の中で友人は「入札に参加していて、すぐに銀行に入金しないといけない」と支援を要請しました。他でもない友人の頼みです。その表情からは本当に困っている様子が見て取れます。男性は「よしわかった、任せておけ」と言って電話を切り、すぐに指定された銀行口座に430万元を入金しました。その後、友人に「金は振り込んだ」とメッセージを送ると、友人から帰ってきたメッセージには「なんのこと?」。
    ここで初めて詐欺に気付いたそうですが、たしかに友人と会話した男性はわけがわかりません。警察によると、詐欺師はまず友人の微信アカウントを盗み、アプリの連絡先から男性を見つけたそうです。そして過去のやり取りから男性と友人の関係性、また男性が金持ちなのもわかり「これはターゲットとして最適だ」と判断し電話したようです。それも男性にバレないよう微信に登録されていた情報から友人の写真や音声を見つけ出しAIで生成するといった念の入れようでした。見慣れた顔と声で会話するのですから男性が相手を友人だと信じ込んだのも仕方がありません。かつては虚実ないまぜで好き勝手に書ける文章に対し、写真は対象がそのまま写るので「そこにウソはない」とされていました。
    しかし、修正が当たり前になったことで静止画は信用できなくなりました。そして最後の砦は編集の出来ない生の動画だけになりましたが、技術の進歩はネット上に実在の人物の影武者を作ることを可能にし、遂にそれさえも絶対ではないものにしてしまったのです。ユーチューバーの私の映像と音声はネット上に溢れています。AIを使えば百田尚樹そっくりのニセモノを作ることなんて造作もないことでしょう。
    これからは本物のわたしである証明のためにも、とてもAIでは考え付かないような発言を心掛けるようにします。そのため突拍子のないことを言いだすことも増えるでしょうが、決して頭がおかしくなったわけではありませんので悪しからず。
     
     
    ●政治家が不祥事を起こしたときの責任の取り方は、謝罪の後にその職を辞す、あるいは報酬を返上する等いろいろですが、多くの場合はその発表があった時点で追及の手は緩みます。議員や首長が辞職した場合は「選挙」が行なわれることによりその辞職が明確になりますが、「報酬を返上します」は本当に実行されたのか曖昧です。
    静岡県の川勝平太知事が2021年10月の参院静岡補選の応援演説で同県御殿場市を「(特産は)コシヒカリしかない」と揶揄したことに対し県議会が辞職勧告決議を可決したことを受け、1か月分の給与と期末手当(合計約440万円)を返上すると表明していたにもかかわらず、実際には1銭も返上していなかったことがわかりました。
    この失言は川勝氏が応援する候補者の対立候補を攻撃するため、その地元である御殿場市を貶める意味で発せられたものですが、言うまでもなく御殿場市は『静岡県』です。あろうことかそこの首長が自身の治める県に属する自治体をバカにするのですからわけがわかりません。仮に御殿場が本当にコシヒカリしかなかったとしても、それ以外の魅力を探し出して発信することこそ知事の仕事なのに、それをせずそのまま「・・・しかない」なのですから自身の無能ぶりを晒しているのも同然です。
    彼の発言は当然のことながら反発を招き議会は辞職勧告決議を可決しました。それに対し「報酬を返上するから、辞職だけは勘弁して」と言って知事の座にしがみついておきながら・・・。川勝氏は今後も返上しない意向で「熟慮した結果、発言に対するけじめは職責を果たすことだと思い至った」と、なんとも身勝手な説明をしていますが、百歩譲ってそうするなら、その前に返上しない旨を表明しなくてはなりません。「そんなもの黙っていたら誰にもバレやしない。アホな県民で良かった」とでも思っていたのでしょうか。
    川勝氏といえば国益に大きく寄与するリニアモーターカーの開通を自身の勝手な想い(個人の考えか、どこかの誰かに指示されているのかは定かでありませんが)だけで邪魔をする、反日知事です。そんな男が2009年以来4選を重ねて14年間も知事の座に居座れているなんて困ったものです。ひょっとしたらそれを許している静岡県民は川勝氏の思っているように本当に“アホな県民”なのかもしれません。

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  • 2023年7月9日1/2号:ニュースに一言

    2023-07-09 08:00  
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    ニコ生会員の皆様
    先週メルマガをお休みしてしまい、本当に申し訳ございませんでした。
    今週は2回分をお届けいたします。

    百田尚樹チャンネルスタッフ ●政府が労働市場改革に力点を置く「骨太の方針」を閣議決定したというニュースがありました。この「骨太の方針」では日本経済の低成長が続く原因は、成長分野への労働移動を妨げる終身雇用や年功序列などの日本型雇用にあるとし、それが世界をリードする新たな企業の誕生を妨げていることで賃金が伸び悩むといった現状を生み出していると結論付けています。そのため今後は「人への投資」を強化し、労働者のリスキリング(学び直し)を後押しすることにより新たな能力を身に付けさせ、労働者側が仕事を選ぶことができるようになることで企業間で人材の奪い合いが生じ、それが賃金の持続的な引き上げにもつながるとしています。
    高度経済成長期を含む昭和の時代、ほとんどのサラリーマンは最初に入った会社で定年まで働き続けました。企業側は会社に忠誠を誓い頑張る社員のおかげで利益を上げ、また社員側は終身雇用により安定した人生設計ができるなど互いにメリットがありました。それが時代が平成、令和と移り変わり現在では転職も珍しくない時代になっています。ある調査によると、「定年までこの会社で働きたい」という新入社員は全体の2割ほどしかいないそうです。政府が転職を推奨するまでもなく、若者の中では「なにがなんでもこの会社で頑張る」という意識はすでに希薄なのです。
    そんな彼らにとって今回の「骨太の方針」は朗報でしょうが、果たしてそんなにうまくいくのでしょうか。「全員が向上心を持ち、転職を繰り返すことにより報酬が青天井に上がっていく」ためにはすべての社員が“優秀”であるという前提条件が必要です。現在でも転職により成功(収入アップ)しているのは例外なく優秀な人で、多くは転職前より待遇が下がっているのが実情です。
    どんな組織も2割の優秀な人材と6割の可もなく不可もなくの人、そして2割のどうしようもない人材で成り立っていると言われています(例外は10割がクズの国会議員だけです)。ですから「全員が向上心を持ち、転職を繰り返すことにより報酬が青天井に上がっていく」なんて理想論に過ぎないのです。
    かつての大学卒はエリート扱いされていましたが猫も杓子も進学するようになり、「大卒」だけで優遇されることがなくなったように属性だけで評価を得る時代は終わっています。それだけに“個”を磨くことが肝心ですが、相対的評価で待遇が決まるとしたらそこには序列が出来るのですから必ず最下位が存在します。転職して成功する人は、元の会社でも1番優秀で転職しなくても成功した人だけです。
    わたしは1つの会社にしがみつくことが最善だと言うつもりはありませんが、仕事は人生の中で大きな比重を占めるものなのですから耳触りの良い言葉に乗せられて軽はずみな行動をとることだけは避けていただきたいと思います。「骨太の方針」では悪とされている終身雇用や年功序列などの日本型雇用が長く続いたのにはそれなりの意味があるのです。「骨太の方針」では転職を促すために同じ会社に長く勤めるほど退職金の税負担が軽くなる退職所得課税についても見直しを行うとしています。労働者に夢を与えるような言葉が並ぶ「骨太の方針」ですが、わたしには体の良い“増税”にしか見えません。


    ●京都市左京区の南禅寺で境内にいる男性によるトラブルが発生しているというニュースがありました。
    南禅寺は臨済宗南禅寺派の大本山で、歌舞伎「楼門五三桐」にも登場する三門や琵琶湖疏水のレンガ造りの橋脚・水路閣などでも知られる名刹です。一年を通して多くの観光客が訪れるこの寺で、女性参拝者らが男性に「写真を撮ってあげる」などと声を掛けられ、男性が女性たちのスマートフォンや自分のカメラで撮影した後、500~1000円の金銭を要求する事案が頻発しているというのです。
    このニュースを見てわたしはハワイの「オウムおじさん」を思い出しました。いまから40年以上前、まだ日本人の海外旅行が一般的でなかった頃、ハワイのワイキキに肩に色鮮やかなオウムを乗せたオジサンがいました。オジサンは道行く人と目が合うとその人の肩にオウムを乗せて記念撮影し、そのあと高額なチップを要求するのです。初めての海外で常夏の島に舞い上がっている上に子供の頃から他人に親切にすることを教え込まれている多くの日本人は疑うことなくオウムと写真を撮ってしまい、言われるままにお金を支払わざるを得なくなり苦々しい想いをしたものです。そのため添乗員は旅行者に対し真っ先に「ワイキキではオウムおじさんと関わらないように」と注意していましたが、あのオジサンは今でもいるのでしょうか。
    お遍路さんが巡る四国八十八ヶ所巡礼で「お接待」という地元の人が一晩の宿や食事を提供する習慣があるように、古来よりわが国には旅人をもてなす文化があります。それだけに旅行者を食い物にして平気な海外文化に対して嫌悪感を抱くと同時に日本の文化を誇りに思ったものです。それが今、すっかり軽蔑していた文化にまで成り下がってしまったなんて嘆かわしい限りです。
    何かといえば“世界基準”“グローバル化”がもてはやされる昨今ですが、こんなグローバル化はいただけません。


    ●特定外来生物のカミツキガメを無許可で飼育していたとして東京都内に住む66歳の男性が外来種被害防止法違反の疑いで書類送検されたというニュースがありました。
    特定外来生物とは海外起源の外来種で生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものの中から国により指定されるものです。そして指定されれば生物の取り扱いについては、輸入、放出、飼養、譲渡等の禁止といった厳しい規制がかかり飼育には届け出が必要になります。警視庁によりますと、4月に別件でこの男性の自宅を捜索したところリビングにべニア板で覆われた容器に入ったカミツキガメ1匹を見つけたということです。
    男性の話ではおよそ30年前にペットショップで購入してからずっと飼育しており、「カミツキ」(そのままやないかい)と名付け大層可愛がっていたそうです。カミツキガメはアメリカ大陸原産で大きなものは50センチほどにもなり、その性質は凶暴で動きが素速い上に名前が示す通り噛み付く力が極めて強く、本気を出せば人間の指を簡単に食いちぎることもできるといいます。今回の男性も過去に噛みつかれて大怪我をしていましたが、子どものように可愛がっていたためどうしても手放すことができなかったそうです。
    特定外来生物とは随分仰々しいネーミングですが、その中にはアメリカザリガニやアカミミガメ(ミドリガメ)、ヒキガエルなど子供の頃に身近に接していた生物も多く含まれています。特にミドリガメは一大ブームとなりデパートでも売られていました。そのとき金儲けのために大量輸入されたものが、ブームが去ったことで自然界に放たれ、それが繁殖したことにより「生態系を壊す」と悪者にされるのですから、ミドリガメも堪ったものではないでしょう。そしてその原因はすべて人間です。特定外来生物からしたら、人間こそ生態系どころか地球を壊す存在としてカミツキガメでなくても噛みつきたいと思っているかもしれません。 


    ●今年3月、大阪府吹田市の教育委員会が市内の全小中学校を対象に“君が代”暗記状況調査を行っていたというニュースがありました。これは市議会において「子供たちがどれくらい君が代と校歌の歌詞をおぼえているのか」という質問をした自民党市議に応えたもので、担任教諭が子どもたちに挙手を求めるなどして調べた結果を提出していました。
    日本の学校で日本の子供たちが日本の国歌をどれくらい覚えているかを調べたのです。それに対し教職員組合が「各校の状況を数値化することで指導を促す意図がうかがえる。国歌の強制につながりかねずやり過ぎだ」と反発して市教委に抗議文を提出するのですからわけがわかりません。彼らは自分の教え子が可愛くないのでしょうか。21世紀の子供たちです。これからの人生で外国の人たちとの出会いも数多くあることでしょう。そして自国の国歌を披露する機会があった時に「知らない」なんて、これほど惨めなことはありません。
    わたしは子供たちをそんな目に遭わせたくないのです。百歩譲って国歌が好き、嫌いは自由だとしましょう。しかし、「知らない」はあり得ません。記事では調査結果を明らかにしていませんが、もし覚えていない子がいた日本の学校では日本の子供たちに今すぐ日本の国歌を教えるべきです。君が代は1999年、国旗・国歌法の成立で法的に国歌と位置づけられています。日本に生まれ日本に育つ子供たちは例外なく日本を好きになる権利を有します。それを脅かすような反日分子には日本の未来を担う子供たちを育てる教育現場にいてもらっては困るのです。


    ●徳島県にあるJR高徳線・勝瑞駅のトイレがプライバシーへの配慮を欠いていて利用できないと、女性らから苦情の声が上がっているというニュースがありました。
    この駅は特急列車も停車する地域の基幹駅で、近隣には高校や国指定史跡・勝瑞城館跡などがあり利用者が多いにもかかわらず、駅舎の南側に設置されたトイレは男女兼用で男性用小便器と和式便器が各3台据え付けられただけの簡素なものでした。さらにその出入り口には扉やついたてがないだけでなく駅のロータリーに向かって開いており、通行人からはトイレの内部が丸見えの状態だといいます。駅を利用する女子高生が「恥ずかしくてとても使えない」と不満を口にするのはもちろん、近くで喫茶店を営む女性は「駅のトイレが使えないので、店に借りに来る人が頻繁にいる」と不満を漏らすなど、すこぶる不評な施設となっています。
    利用者および近隣からは再三改修の要請があるようですが駅にはまったくその予定はなく、現在の駅舎が整備された1957年以降、構造はほぼ変わらないまま現在に至っています。1957年といえば昭和32年です。当時はまだ個人の権利(人権)意識も低く、また“恥ずかしさ”の概念もいまほど強くありませんでしたので、列車の中で母親がオッパイ丸出しで授乳する姿も普通に見られましたし、田んぼのあぜ道で立小便する女性もいました。ですから“男女兼用”も受け入れられたのでしょうが、さすがに現代では通用しません。
    さらにそれがニュースになった今、もはや改修せざるを得ないでしょう。さあ、そこでです。記事ではトイレの内部が外から丸見えになることが一番の問題のようになっていますが、それでは仕切り板を設けて見えなくすることが正解なのかというと疑問です。なぜならこのトイレは“男女兼用”だからです。丸見えのおかげで性犯罪が未然に防げていた側面があることを考えると仕切りの設置には不安が残ります。
    かようにトイレという極めてプライベートな空間には多方面からの考察が必要なのです。そしてこの問題は勝瑞駅だけのものではないのです。なぜなら、間もなく事実上の男女兼用となる日本中の女性用トイレで安心のために「見られている恥ずかしさ」を捨てるのか、恥ずかしさのために「見られている安心」を捨てるのかの究極の選択が始まるのですから。

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