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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「100点満点の第1話!君は『空手バカ一代』の凄さを知っているか?」
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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「100点満点の第1話!君は『空手バカ一代』の凄さを知っているか?」

2017-12-06 07:00

    岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/12/06

    おはよう! 岡田斗司夫です。

    今回は、2017/11/19配信「今夜はマンガ夜話!あまりにもすごい作品『ど根性ガエルの娘』他を語る!」の内容をご紹介します。
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    2017/11/19の内容一覧

    補助線としての『空手バカ一代』

     僕は、『空手バカ一代』の第1話について「100点満点の第1話だ」と言ったんですけど。では、どんな第1話なのか? ちょっとパネルにしてみましたので、連続して見てみましょう。
     はい、これがマガジン連載時の1ページ目なんですけど。
     まず、「事実を事実のまま完全に再現することは、いかに面白おかしい架空の物語を生み出すよりも遥かに困難である。(アーネスト・ヘミングウェイ)」という引用から始まります。
     俺、アーネスト・ヘミングウェイのこの原文を、かれこれ30年間探してるんだけども、いまだに見つからないんですよね(笑)。まさか、嘘をついているとは思えないので、どこかで本当にそんなことを言ってたんだろうけども。じゃあ、一体どこでの発言なのか?  スペイン戦争に行った頃の文章かなとも思うんですけど、いまだに見つかっていません。
     この絵は、「つのだじろう」っていう作者が描いたんですけども、それまでのつのだじろうというのは、どちらかというと『ドラえもん』に近いような児童マンガっぽい画風だったんですね。そこから、もう180度変えて、こんな写実的な絵を描いています。「突然、藤子Fから藤子Aに変わった」くらいの変化を見せています。
     次の見開きです。もう、さっそく宣言します。
     「これは事実談であり、この男は実在する。この男の一代記を読者に伝えたいという一念やみがたいので、アメリカのノーベル賞作家ヘミングウェイのいう困難に、あえて挑戦するしかない。私たちは真剣かつ冷静にこの男を見つめ、そしてこの価値を読者に問いたい。(極真会館空手三段・梶原一騎)」というのがドーンと来る。
     このページ全体の絵としては、「オッサンが、なんかわからないけど、どつかれてる絵」なんですよ。だから、もう、この時点では、どう見ればいいのかわからないんですよ。「実在する」というこの男とは、今、どつかれてるヤツなのか、どついてるヤツなのかどうなのかもわからない。
     『空手バカ一代』は、少年マガジン誌上で1971年の5月に連載を開始したんですけども、当時の梶原一騎は、つい何か月か前に『巨人の星』の最終回を描き切って連載を終了したところなんですよ。おまけに、別のペンネームで描いていた『あしたのジョー』は、力石が死んだちょっと後くらいの頑張らなきゃいけない時期。にも関わらず、こんな新連載を開始した。それも、これまでの少年マガジンの作風とまったく違う絵柄のマンガを持ってきたんですね。
     そして、いきなり「実話である」と宣言した。「いわゆる『巨人の星』とか『あしたのジョー』っていうのは、所詮、架空のヒーローである。しかし諸君、ついに本当の事を語る時がやってきた!」というような形で。

    (中略)

     この中央のコマに、この時に大山が使った空手の腕の動きの分解写真みたいなものを載せています。この辺が『空手バカ一代』の第1話のリアリティをすごく上げているところなんですね。
     まず、明らかに写真から起こしたであろう写実的なカットを何枚も冒頭で見せる。
     次に、「1953年6月、スパニッシュ・ハーレム」と時期と場所を特定することで、実際にあったエピソード感というのを出している。
     そして、ここでのマス・オオヤマの活躍は、決して架空のマンガヒーローのそれではなく、実際の人間にもできることだと、「顎に当てればのけぞる、しかし、腹に当てればうずくまる」と詳細に説明することによって見せている。
     「スーパーヒーローの必殺技のように見える動きも、人間がやった技なんだ。訓練によってなした技なんだ」というふうに、分解写真みたいなものを見せることによって、はっきり伝えようとしているんですね。

     ということで、もう一度、ニューヨークの夜景を見せたあと、次のページでは、いきなり、真っ黒く塗りつぶしたコマと人物のシルエットに変わるんですね。
     バーンと明るい太陽みたいなものが映って、「太陽は中天に高くギラギラと輝いていた。1954年7月21日。ここはシカゴの野外競技場コミスキー・パークである」というナレーションが入ります。このコミスキー・パークというのは、後に、シカゴのホワイトソックスのホーム球場になった場所なんですけども。ここでこれから何かが起こる、と。
     やっぱり、うまいのが、この見せ方。真夜中のニューヨークの薄暗い部屋から、急に太陽が中天高く輝く野外競技場に移る。他に誰も見てないような密室から、視界全体びっちりとアメリカ人の観客に埋め尽くされた場所に舞台が移るという、この場面転換の鮮やかさですね。こういうふうに、ポンと画面を転換します。
     そして、さっきの地下室での第一声として「マス・オオヤマ、あんたはスーパーマンと聞くがね」と言わせることで読者に「ああ彼はスーパーマンなんだ」と思わせたのと同じように、ここでも決めゼリフみたいなものから入ります。
     「マス・オオヤマ・クレイジー! マス・オオヤマ・クレイジー!」という、観客の人々の叫びですね。
     でも、この「マス・オオヤマ・クレイジー!」って大歓声、実はね、不自然なんですよ。だって、こんな東洋から来た1人の空手使いのことを、普通のアメリカ人が知ってるはずがないんです。
     だけども、みんなが「クレイジー! クレイジー!」と非難していることによって、このマス・オオヤマっていう名前を観客全員が知っているような幻想を読者に匂わせてるんですね。

    (中略)

     この後で、「牛の角を空手の手刀で折る」という見せ場があるんですね。そのクライマックスを見せるために、読者の注意を牛の角に集めたいんです。だから、まず「角を掴む」という絵を見せて、次に「角を掴んだぞ!」というセリフを言わせている。そして、角を掴んだマス・オオヤマが牛とにらみ合うシーンを入れているんですね。
     うまいでしょ? この見せ方。本当に、「このマンガは、これまでのマンガとは違うんだから!」って編集者からダメを出されて、何回も何回もリテイクしないと、こんな完成度の高い第1話って描けないんですよ。

    (続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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