ラーマガ限定「NAKED」#009
牛骨らぁ麺 マタドール『かけにぼらぁ麺』
実食インプレッション
麺とスープだけで美味いと唸る一杯。究極の「かけラーメン」に人気ラーメン店が毎月月替わりで挑戦する、ラーマガ限定「NAKED」。通算第9作目には北千住の人気店『牛骨らぁ麺マタドール』が満を持しての登場です。
「マタドールが本気で挑んだ煮干しラーメンを体験して欲しい」と語る店主の岩立伸之さん。厳選したウルメイワシは遠赤外線でローストしたものを使用。鶏首ガラや貝柱の旨味に加え、椎茸や昆布などの和素材が静かに融合した深みあふれるスープの上には、マタドールの特徴でもある仔牛の腹脂を浮かべ、下総醤油と和素材で仕上げた醤油ダレを合わせました。麺は全粒粉配合のストレート麺が小麦の甘さを感じさせ、唯一許されている薬味には地元産の千寿ネギをセレクト。食べ進めていくうちに自然に味の感じ方が変わってくる新たな体験。経験豊富な店主ならではの技が光る、シンプルかつ奥深い一杯が完成しました。
山路力也
言わずと知れた「牛骨ラーメン」の人気店であるマタドールにNAKEDをお願いするということは、すなわち牛骨のNAKEDであると誰もが想像したはずで、実際私たちもそう予想していたのだが、その予想はいい意味で裏切られた。煮干しを使うと聞いた時に、もちろん腕のある岩立さんのことだから、美味しいハイレベルなものが出て来るであろうことは想像に難く無かったが、ユーザの皆さんに対して訴求力があるかという懸念が頭を過ったのは紛れも無い事実だ。
ただ単純に岩立さんが色々出来る、ということを見せる場であってはNAKEDの意味がない。あくまでもマタドールらしいNAKEDを食べ手も期待するところ。組み立て自体は昨今の清湯醤油ラーメンであり、そのレベルは相当なものだが、そこに仔牛の腹脂を浮かべるというアイディアが活き、食べてみるとしっかりとマタドールらしさが表現出来ているのだ。つくづく香味油の重要性を感じたと同時に岩立さんのバランス感覚、センスの良さに脱帽する。
このラーメンの面白さは時間経過に基づく味の変化である。スープの温度が下がることでより旨味が強調され、麺から溶け出した小麦粉の甘さがまたスープに深みを与える。麺とスープに千寿ネギのみというシンプルなかけラーメンでありながら、食べはじめから食べ終わりまでにストーリーを感じさせるのはお見事以外の何物でもない。
山本剛志
「NAKED」の依頼をした際「煮干しラーメンでいこうと思います」と言われて「大丈夫かな?」と思った。何といってもマタドールは「牛」。煮干をメインにしたスープは多くの店で使われているだけに、個性の薄いものになってしまうのではないかと危惧した。
澄んだスープに漂う香りは、煮干しをしっかり感じつつ、牛脂から出ている匂いもあって、マタドールの個性を出したもの。薬味は通常の千寿ネギを使い、口の中に残る味をしっかりリセットできる。麺は通常メニューで使われているもの。しっかり茹でているのでスープを程よく引き上げて、煮干しの旨みと香りが口の中に広がる。
また、この麺の成分がスープに溶け出す事で徐々にスープも変化し、飲みやすくなる効果がある。思えばご主人は大宮「ラー戦場」出店時、思い通りの麺を選べない事で苦悩していた。麺の力、スープを吸い上げる直接的な効果だけでなく、スープの味を変化させる麺の間接的な役割も味わいとして見せている。
「かけらぁ麺」だからこその効果を表現し、煮干だからこそ分かりやすい表現になっている。最高の一杯をトータルで表現しようとする、ご主人の思いがトッピングされた「NAKED」といえる。
【NAKED #009】
牛骨らぁ麺 マタドール(東京都足立区千住東2-4-17)
「かけにぼらぁ麺」(700円)
一日10杯限定(平日18:00〜 日曜11:30〜)
販売期間:6月1日(日)〜29日(日)
※月曜営業の「闘牛脂」での提供はありません
※みそ味専門マタドールでの提供はありません
(ラーマガ有料会員ではなくても注文が可能です)