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春日太一の木曜邦画劇場 第579回「寺田農の、その“したり声”は傲慢で知的な悪役ムスカの生命だ」 『天空の城ラピュタ』
コメ0 週刊文春デジタル 8ヶ月前
寺田農(みのり)が亡くなった。 教養と知性と狂気とを内包した独特の眼差しと、なんともいえない太々しい雰囲気が、この名優の若手時代から晩年まで一貫した魅力だった。そのため、チンピラ、殺し屋、軍師、権力者、粋人、腹の底の見えない野心家――幅広い役で凄みを見せつけている。 また、声の仕事も素晴らしく、...
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春日太一の木曜邦画劇場 第578回「万博に沸く大阪で葬儀博覧会 開催を進めるというブラックコメディ」『とむらい師たち
コメ0 週刊文春デジタル 8ヶ月前
今回は『とむらい師たち』を取り上げる。前回と同じく、その座組を見るだけで期待感が上がる一本だ。 なにせ、主演・勝新太郎―監督・三隅研次という『座頭市物語』を手掛けた二人に加え、原作が野坂昭如、脚本が藤本義一。アクの塊と言っていい面々が顔を揃えているのだ。 物語の設定も、この面々にふさわしい濃厚な...
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春日太一の木曜邦画劇場 第577回「本筋とは関係なさそうな芝居が人情噺に活気をもたらしている」『とんかつ一代』
コメ0 週刊文春デジタル 8ヶ月前
今回は『とんかつ一代』を取り上げる。 森繁久彌、フランキー堺、加東大介、三木のり平、淡島千景、団令子といった東宝喜劇でお馴染みのメンバーが顔を揃え、喜劇の名手・川島雄三監督が撮った一本だ。その座組に名前倒れすることのない、爆笑作に仕上がっている。 本作は日本映画にありがちなビターな涙も流させる...
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春日太一の木曜邦画劇場 第576回「あおい輝彦のガラス玉のような瞳が戦場の『地獄』を雄弁に伝える。」『二百三髙地』
コメ0 週刊文春デジタル 9ヶ月前
あおい輝彦のフィルモグラフィを俯瞰してみると、一九七〇年代半ばから八〇年代にかけての、日本映画界全体が大作映画を連発していた時代に、重要なポジションで配役され続けていたことに気づく。『続・人間革命』で原作者・池田大作をモデルにした青年を演じたのを始め、『犬神家の一族』では作品の代名詞となる仮面...
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春日太一の木曜邦画劇場 第575回「倒錯する純愛。その乱歩作品を加藤泰監督は見事に描き切った!」『江戸川乱歩の陰獣』
コメ0 週刊文春デジタル 9ヶ月前
江戸川乱歩の小説といえば、倒錯した性描写が代名詞だ。 ただ、その根底にあるのは――いささか恥ずかしい表現だが――「純愛」であると捉えている。対象に対する純なる愛情が何らかの事情をキッカケに歪み、倒錯へと向かう。 ただ、乱歩小説の映像化となると、どうしても倒錯性に焦点が行きがちで、純愛的な部分がおろ...
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春日太一の木曜邦画劇場 第574回「チャンスに飢えた役者たち。その熱気が強烈な任侠作品!」『懲役三兄弟』
コメ0 週刊文春デジタル 9ヶ月前
一九六〇年代の半ばから後半にかけては東映の任侠映画が全盛期で、邦画界においては一人勝ちの状況にあった。 そのため、他社で芽が出なかったり、人気が低落傾向にあったりする役者たちからすると、のし上がるチャンスは少なからずあった。 今回取り上げる『懲役三兄弟』は、そうした背景を踏まえたら一段と楽しめ...
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春日太一の木曜邦画劇場 第573回「気軽にサクッと小気味よい切れ味。深作欣二の小規模アクション劇!」『白昼の無頼漢』
コメ0 週刊文春デジタル 9ヶ月前
前回述べたように昨今は映画の上映時間が長くなりがちだ。そうした中で「気軽にサクッと楽しめる、切れ味の鋭い小規模のアクション映画」が絶滅危惧種になりつつある。 これは日本に限った話ではなく、ハリウッドでもトム・クルーズ主演作のような超大作には目を見張る映画があるにしても、小作品となると「これ」と...
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春日太一の木曜邦画劇場 第572回「2時間超えが標準の当世だからこそ凝縮された短時間の娯楽作を希望!」『拳銃0号』
コメ0 週刊文春デジタル 10ヶ月前
近年、国の内外を問わず、映画の上映時間が長くなりがちな傾向にある。二時間オーバーが当たり前になっている現状は、少し考えものだ。 特に娯楽映画に関しては、よほどの超大作でない限りは最低でも二時間以内、百分前後が最も適しているというのが、筆者の持論だ。 そこで嬉しいのが旧作邦画、特に一九七五年前後...
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春日太一の木曜邦画劇場 第571回「原作小説から妄想した配役。ドラフト1位の面々がズラリ!!」『宮本武蔵』
コメ0 週刊文春デジタル 10ヶ月前
歴史上の人物を扱った小説を原作にした時代劇を観る楽しみの一つに、それぞれの人物がどれだけ原作小説や史実から受けるイメージの通りに配役されているか――がある。 そういう点で満点なのが、今回取り上げる松竹=加藤泰監督版『宮本武蔵』だ。 映画の『宮本武蔵』といえば、内田吐夢監督=中村錦之助主演による東...
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春日太一の木曜邦画劇場 第570回「厭な現実を吹っ飛ばしたい……。そんな時は新東宝の娯楽作品!」『花嫁吸血魔』
コメ0 週刊文春デジタル 10ヶ月前
近年は意識の高い映画人が多くなり、作品を通して現代の問題点を訴えかけようというのが、かなり目立つようになってきた。もちろん、そうした意識を持つことも、そうした作品自体も尊いものであることは大前提としてある。 ただ、そうした作品ばかりになっては、どうも息苦しくもなる。映画の効能として、現実逃避と...
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春日太一の木曜邦画劇場 第569回「凜とした鈴木瑞穂の美声が見せる、知で変革を説く剣豪の凜々しさよ!」『座頭市牢破り
コメ0 週刊文春デジタル 10ヶ月前
取材を希望していながら、結果として間に合わなかった方は少なからずいる。昨年十一月に亡くなった鈴木瑞穂も、そのような一人だった。 今から数年前にインタビューを依頼、お受けいただいていたのだが体調が悪化してしまう。そして、回復をお待ちしているところだったのだ。 鈴木の大きな魅力は、その声だ。重厚で...
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春日太一の木曜邦画劇場 第568回「丈吉を狙う夏八木勲の惨めな最期。シリーズは未完でも印象的な終焉だ」『無宿人御子神
コメ0 週刊文春デジタル 10ヶ月前
今回取り上げる作品は『無宿人御子神の丈吉 黄昏に閃光が飛んだ』だ。前回、前々回と紹介してきたシリーズの三作目にして、最終作である。 このシリーズは、妻子を惨殺された丈吉(原田芳雄)の復讐の旅を追いかけてきた。そうなると、最終作では最後の仇敵である国定忠治との決着が描かれるはず――と思う人も多いだろ...
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春日太一の木曜邦画劇場 第567回「失態を犯す丈吉の情けなさの一方で内田朝雄、市原悦子の姿が際立つ」『無宿人御子神の
コメ0 週刊文春デジタル 11ヶ月前
前回に引き続き、年末に待望のDVD化となった原田芳雄主演の時代劇『無宿人御子神の丈吉』シリーズを取り上げる。今回は二作目『川風に過去は流れた』だ。 前作からの流れで、妻子をヤクザたちに惨殺された丈吉(原田)が、無宿人として関八州を旅して回りながら復讐を果たさんとする展開は同じだ。ただ、丈吉への印象...
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春日太一の木曜邦画劇場 第566回「原田芳雄演じる主人公だけでなく脇役悪役までキャラ立ちしている」『無宿人御子神の丈
コメ0 週刊文春デジタル 11ヶ月前
年末に嬉しい知らせがあった。原田芳雄主演の時代劇『無宿人御子神の丈吉』三部作がDVD化されたのだ。 VHS時代も含め長くソフト化されなかったシリーズで、実は原田が亡くなった際には、付き合いのあった東宝のソフト担当者に掛け合っていたのだ。その担当も乗り気で動いてくれたのだが、結局はなかなか実現に至らな...
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春日太一の木曜邦画劇場 第565回「物語中盤から見せる丹波の大熱演。計算された橋本脚本は見逃せない」『人間革命』
コメ0 週刊文春デジタル 11ヶ月前
今回は『人間革命』を取り上げる。原作は池田大作。自身の師でもある創価学会二代目会長・戸田城聖の半生を追った小説を映画化した作品だ。 太平洋戦争末期、信教を捨てて転宗することを拒んだことで投獄されていた戸田(丹波哲郎)が出所してくるところから、物語は始まる。そこからしばらくは、戸田による学会立て...
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春日太一の木曜邦画劇場 第564回「別々の4人の物語が終盤で一つに。これが『まくり』の橋本の腕力だ!」『七つの弾丸』
コメ0 週刊文春デジタル 12ヶ月前
橋本忍といえば、『砂の器』『八つ墓村』などにおいて、原作の内容をガラリと変えて自分の色に染め上げる豪快な脚色をしてきた。ただその一方で、キャリアの前半ではオリジナル脚本でも名作を数多く残しており、脚色だけでなくゼロからの創作においても類稀な技量を見せつけている。 今回取り上げる『七つの弾丸』も...