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山田玲司のヤングサンデー 第304号 2020/8/24

出来杉くんは離婚したか?

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気がつくと誰かに影響されている。


会った人や、身近にいる人に何かしら似てくる。


これは人間に「ミラーニューロン」とやらがあるせいらしく、詳しい仕組みはよく分からないけど、ともかく人間は相手のする事をマネてしまうように出来ているらしいのだ。


なので関西弁を話している人に囲まれていると、自分も関西弁っぽくなる。


不機嫌な上司のいる職場では、なんとなくみんな不機嫌そうになる。


この話は近年人気の話題で、僕もヤンサンやディスカバリーレイジチャンネルで何回かこの「ミラーニューロン」について話している。


簡単に言えば「優しい人」には優しくしたくなるし「いじわるな人」にはいじわるしたくなるという話。


どの国でも赤ちゃんに向かって大人は「笑顔」を向ける。

赤子は大人の笑顔を真似て「笑顔」になる。

楽しそうな人達の中にいるとなんとなく自分も楽しい気分になる。


ここにもミラーニューロンが作用しているわけだ。



【人間関係の基本法則】


何で色々な人がこの話をするかと言えば、ミラー現象は現実の人間関係で最も作用する法則だからだろう。


今回のヤンサンにゲストで出てくれた「チャンユイ」さんは、雑貨屋で働いていて、何度も「嫌なお客」が来て困ると言っていた。


「嫌なお客」のせいで自分まで「嫌な人」になるってのは困る。


とは言え「ミラーニューロンがそうさせている」という法則を知っているだけで少しは冷静になれる気もする。


そしてそれがわかっていれば、多少は自分がその場の空気を変える事もできる。


自分が機嫌良くしてれば、それが周りを機嫌良くする事もあるからだ。

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【ドラえもん】


そんな事を考えていたら、なんとなく「ドラえもん」の事を思い出した。


藤子F先生は「人間」を描くのが本当に上手い。


登場人物の内面を描くのに「モノローグ」や「内面世界」なんかを多用せず、その人物が暮らす「環境」を丁寧に描く事で「その人」を表現する漫画家なのだ。


「こんな所に生まれ育ったので、こんな人になったのです」という見せ方だ。


「ドラえもん」でもほとんどのキャラクターが「親子セット」で描かれていて「この親にしてこの子あり」という見せ方をしている。


ジャイアンがああいう暴力的な性格なのは、家庭が暴力的な支配環境だからだとわかるわけだ。


それがわかると、かつては呑気に読んでいられた「ドラえもん」が違った印象に感じてくる。


あの漫画は「親が子へ(良くも悪くも)呪いをかけている様子」が描かれているのだ。


「あなたはダメな子」と言われ続けて育ったのび太は、その後「自己肯定感問題」に苦しむだろう。


彼の得意な「あやとり」や「射的」は大人の世界では評価してもらえるとは思えない。


「彼のやさしさ」を理解して結婚してくれたしずかちゃんも、同居した後に、自己肯定感の足りないのび太の「泣き言」をどれだけ受け入れられるだろうか?


とは言え、のび太君もそれなりに成長するだろうし、あの「自分に素直な性格」から来る「優しさ」は「嘘」ではないだろう。


まあそんな感じで想像は止まらない。



【出来杉くんの闇】


特に気になるのは「出来杉くんのその後の人生」だ。


この件を考えていたら、かなり現代的で興味深い話だったので今週のヤンサンでこの話をしたわけです。


放送でも言っていた通り、出来杉君は「出来過ぎ」な人だ。

成績も抜群で、運動神経も良く、見た目も性格もいい。


そして彼はどうやら「しずかちゃんに気がある」らしい。


「こんな男にのび太は勝てるのか?」というテーマを

描くために現れた「極端な人物」それが「出来杉くん」だ。