僕の中の宮崎駿
【人間なんて】
この前「庵野秀明と鈴木敏夫の対談」という音声動画を聴いていたら、凄い話が出てきた。
それは庵野秀明がナウシカに参加した時に見た宮崎駿の話だ。
もしかしたらその界隈では有名な話なのかもしれない。
岡田斗司夫チャンネルとかでは何度も語られたのかもしれないけど僕は知らなかった。
【人類なんか滅んだっていい】
庵野さんが言うには、ナウシカの打ち上げか何かである女性スタッフが宮崎駿と文明論になり、女性スタッフが「それでは人類は滅んでしまいますよ!」とか言ったら宮崎駿が「人類なんか滅んだっていいんです!」と言ったとか。
それを聞いてた庵野秀明は「宮さんは凄い」と思ったのだという。
この話は面白い。
宮崎駿にとって人類は「地球の生き物の中の一種」であって「人間だけが生きる権利がある」とは思ってないというわけだ。
それを強調するのは戦後に流行った「ヒューマニズム」とかに対する嫌悪感もあるのかもしれない。
ひと世代前の手塚治虫は、あらゆる生き物を愛した人だったけど「ヒューマニズム」や「人権」を語ってきた人でもあった。
手塚先生は戦争中に人間がバタバタ死んでいったのを見ていた人なので「最低限の権利」として「人間の命は大事だ」と言っていたのだと思う。
手塚先生は少年期に悲惨な戦争を体験しているので「人類は愚かなもの」と何度も思ったと思う。
そんな手塚少年が空襲の焼け野原を彷徨って空腹で倒れそうな時、知らないおばさんがおにぎりをくれたのだという。
「愚かな人類」と「尊い人類」「どちらも人類」という経験だ。
【人類いろいろ】
その一方で宮崎駿が「人類なんて」と言っている時の「人類」は「愚かなだけの生き物」のイメージに寄っている。