自民・金子参院議員
海自パソコン調達で圧力
「中央一括の原則崩せ」
自民党の金子原二郎総務会長代理(参院長崎選挙区)が昨年2月、海上自衛隊佐世保地方総監部のパソコン調達をめぐって、「原則を崩しても問題ないはず」などと地元業者に受注させるように防衛省に圧力をかけていたことが、本紙が入手した同省の内部文書などで分かりました。この直後、金子氏が調達の相談を受けていたとする後援者が同総監部にパソコンを納入。安倍内閣が軍事費を増大させるもと、自民党議員の調達への介入が改めて問われます。(本田祐典)
内部文書入手
本紙が入手したのは、防衛省経理装備局が作成した、「自民党 金子原二郎参院議員要求対応結果報告」と題する一連の文書です。
文書には、2012年2月1日午前に行われた、金子氏と防衛省経理装備局のやりとりが記録されています。
これによると、金子氏は参院議員会館の自身の部屋で、防衛省経理装備局長らに対し、「中央調達が拡大しているとの話で地元の企業は不安を抱き、話が自分のところに来ている」「政治家は皆、地元をかかえている」と、地元業者からパソコンなどを調達するように求めました。
当時、防衛省は金子氏ら複数の自民党議員に対し、これまで海上自衛隊がそれぞれ各基地や総監部でパソコンやコピー機を調達していたのを改めて12年度から中央一括の調達に切り替えると報告していました。
一連のやりとりのなかで、防衛省側が「原則を崩した対応をとることは難しい」と説明したのに対し、金子氏は「そんな建前論を展開されるなら話にならない」「それほどの金額でもない調達などについては、原則を崩しても問題ないはず」と迫りました。
防衛省は12年度からパソコンの中央調達を予定通り実施。しかし、佐世保地方総監部は、年度が替わる直前の12年3月にノートパソコン58台など計4件の入札を行い、地元2社が落札しました。
落札した2社のうち1社の社長は、金子氏が防衛省に話した「地元企業」が自身であることを認め、「12年1月に新年会で会った際に調達について話した。困っていると訴えたが、口利きは依頼していない」としています。
防衛省とのやりとりに同席した金子氏の秘書は本紙の取材に応じ、内部文書に記載された発言内容を認めたうえで、「相談を受けた企業の名前は出さず、その後の経過報告も求めていない。圧力ではないと認識している」と述べました。
金子氏は長崎県議3期、衆院議員5期、長崎県知事3期を経て、現在、参院議員1期目です。