主張

安保理決議採択

北朝鮮制裁を実効あるものに

 国連安全保障理事会は、北朝鮮が先月強行した3度目の核実験を強く非難するとともに、同国に対する経済制裁を強化し、各国にその実施を義務づけた決議を全会一致で採択しました。各国は制裁が実効あるものとなるよう努める必要があります。北朝鮮は国際社会の意思を受け入れ、さらなる核実験はもとより「ロケット技術」を使った事実上のミサイル発射や、その他の軍事的挑発行為をやめなければなりません。

国際的孤立明らか

 北朝鮮の国際的孤立は明らかです。北朝鮮が国際社会に挑戦し、他国に対する核攻撃能力の獲得に向けた動きを強めるなかで、安保理決議は北朝鮮の動きを断固として許さない国際社会の一致した姿勢を鮮明にしています。

 採択された安保理決議2094は、北朝鮮の核兵器やミサイルの開発にかかわるヒト(外交官を含む)、モノ、カネの国際的な流れを絶つものです。決議を主導した米国は、北朝鮮にとって厳しいものになることを強調しています。北朝鮮の核開発を実質的に抑制するために、制裁を実効あるものにすることが不可欠です。

 同時に、制裁のための制裁ではなく、北朝鮮を6カ国協議をはじめとした対話のテーブルにつかせ、問題を平和的、政治的に解決する道を開くことが重要です。決議も「対話を通じた平和的で包括的な解決」を促進し、「事態を悪化させるいかなる行動も控える」よう求めています。

 安保理はこれまでも北朝鮮が核実験を強行するたびに、これを非難し国連憲章第41条にもとづく非軍事の制裁を行う決議をあげてきました。今回の決議は前2回に比べて採択に時間をかけました。制裁措置を具体的に検討するとともに、決議案を主導した米国が中国との協議を重視し、綿密にすり合わせたためと伝えられます。

 これまでの制裁決議は必ずしも効果をあげてきませんでした。大きな要因は、北朝鮮向け物資の検査などで中国が十分な対応をとっていなかったことにあると指摘されています。北朝鮮の核兵器開発が世界と北東アジアに対する現実的な脅威となっている今日、中国にとっても、北朝鮮の核兵器開発を許さない行動が内外から求められています。

 北朝鮮は国際社会への挑戦姿勢を強めています。さらなる核実験やミサイル発射、また軍事挑発の可能性も否定できません。安保理決議の採択に先だって北朝鮮外務省が発表した報道官声明は「(米国への)核先制打撃の権利を行使することになる」「より強力な2次、3次の対応措置をより繰り上げる」などと主張しています。北朝鮮は朝鮮戦争休戦協定の「白紙化」も主張し、韓国は武力攻撃の可能性にも備えています。

 決議は、挑発行動を禁止し、違反があれば「さらに重大な措置をとる」と警告しています。

核兵器のない世界へ

 米ロ英仏中の安保理常任理事国は核兵器保有国であり、核不拡散条約(NPT)上も核兵器の廃絶に特別な責任を負っています。核兵器保有に走る北朝鮮の口実を封じ、核開発計画の放棄を迫るうえで、核兵器保有国が「核抑止力」論を放棄し、「核兵器のない世界」の実現に向けて歩を進めることも重要です。