主張
オスプレイ本土訓練

無法な飛行やめて配備撤回を

 沖縄の米軍普天間基地に配備されているオスプレイを本土に移動し低空飛行訓練を実施するために、拠点の一つとなる米軍キャンプ富士(静岡県御殿場市)を抱える静岡県や周辺自治体などとの協議を防衛省が加速しています。

 オスプレイの普天間基地配備に反対し、その撤回を求めている沖縄県民の島ぐるみの願いをふみにじる一方で、本土住民まで危険にさらす低空飛行訓練の強行は絶対に許されません。沖縄と本土が一体になってオスプレイの沖縄配備の撤回と本土での低空飛行訓練計画の断念のために力を尽くすことがいよいよ重要です。

危険と隣り合わせ

 米軍が計画しているオスプレイの低空飛行訓練は、岩国基地(山口県)やキャンプ富士などを足場に、米軍が東北(2本)、北信越、近畿・四国、中国、九州、沖縄・奄美に勝手に設定した飛行ルートを使って行うというものです。各地の住民はこれまでも戦闘機などがくりかえしている低空飛行訓練の爆音被害などで苦しめられています。そのうえオスプレイによる低空飛行が加われば、住民の苦しみはさらに大きくなります。

 オスプレイの低空飛行訓練は、海外の戦場に敵に見つからないように超低空で接近し、兵士や物資を搬送する訓練であり、まさに実戦をねらった、墜落の危険と隣り合わせの活動です。高度150メートル以下は飛行を禁止している日本の航空法をふみにじって、日米両政府がそれ以下でも飛行できるようにしたのは重大です。

 オスプレイの性能に詳しいアメリカの専門家は、山間部を飛行する場合は風の影響などで操縦ミスをおこしやすいと警告しています。日本各地の低空飛行ルートは山間部を含んでいます。山間部特有の風で墜落する可能性があるのに低空飛行訓練を実施するのはとうてい許されません。

 沖縄では県議会と県下すべての自治体がオスプレイの配備撤回の意見書・決議をあげています。本土でも106自治体(11月20日現在)が配備撤回や低空飛行訓練に反対する意見書・決議をあげました。5人が死亡した1964年の神奈川県大和市での米軍機墜落事件、幼子2人の命を奪った77年の横浜での墜落事件、岩手県や高知県での低空飛行訓練中の墜落事故などをくりかえさせない決意を示したものです。

 政府は18日まで続いたグアムでの演習に日本から参加したオスプレイなどの訓練移転費の4分の3を負担しましたが、オスプレイの低空飛行訓練費の分担も検討しています。国民を危険にさらす訓練費まで血税で負担するなど言語道断です。これ以上国民に墜落の危険と隣り合わせの生活を強いるのをやめるべきです。

平和的生存権行使して

 オスプレイは米軍が世界で戦争する力をつよめるために開発した新型輸送機で、「日本防衛」とはまったく無縁です。日本と世界の平和を守る上でもオスプレイ反対のたたかいは重要です。

 国民は憲法により平和的に生きる権利を保障されています。憲法の平和的生存権を行使して、生命、財産を守るのは国民の当然の権利です。低空飛行訓練計画の断念と普天間基地配備の撤回を実現させ、オスプレイをアメリカに持ち帰らせるのは当然です。