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米兵凶悪犯野放し―警察の及び腰が目にあまる
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米兵凶悪犯野放し―警察の及び腰が目にあまる

2013-06-28 12:52

    主張

    米兵凶悪犯野放し

    警察の及び腰が目にあまる

     米軍基地が集中する沖縄県や神奈川県などで米兵犯罪によって多くの住民が苦しめられているのに、警察が凶悪犯罪の容疑者を逮捕もしないまま事件を処理していたことが怒りをよんでいます。

     警察庁が5月に日本共産党の笠井亮衆院議員に提出した資料によれば、1996~2012年に米兵・軍属が日本国内で起こした凶悪犯罪(殺人、強姦(ごうかん)、強盗、放火)で検挙された129人のうち、少なくとも62人は身柄を拘束されていません。基地外の犯罪は警察が責任を負うべきものです。身柄も拘束しない警察の態度に批判が噴き上げるのは当然です。

    異常に低い逮捕率

     17年間に凶悪犯罪を起こした米兵・軍属のうち逮捕されたのは67人で、逮捕率はわずか52%にすぎません。犯罪を起こした以上、身柄を拘束して取り調べるのが捜査の原則です。警察庁の11年度の全国統計で、逮捕率は95%となっています。米兵・軍属の逮捕率が低いことが異常です。

     とりわけ凶悪犯のうち強姦では、容疑者41人中9人しか逮捕していません。逮捕率は18%で、全国統計の84%に比べ異常な低さです。凶悪犯罪に対して警察が身柄を拘束もせず、基地にとどまることを認めているのは、日本が警察権をまともに行使していないことを示すものです。

     もともと警察は、日本が裁判権を行使する事件であっても容疑者の身柄が米側にあるときは起訴するまでは米側が管理するという米軍地位協定をたてに、ほとんど起訴前の引き渡しを求めていません。95年9月に沖縄で起きた米海兵隊員による少女暴行事件への怒りに押されて、日本側が起訴する前の引き渡しを求めた場合には米側が「好意的な考慮を払う」との「運用改善」に合意したものの、基本は変わっていません。

     外務省は17年間で日本が米側に起訴前の引き渡しを要求したのは6件にすぎないと説明しています。容疑者を米側に残したままでは、証拠隠滅も口裏あわせも可能です。警察の証拠が不十分となり、起訴もできない事態になりかねません。日本政府の態度はあまりに卑屈です。

     身柄を拘束しないだけでなく、検察は警察が送致した米側容疑者の多くを不起訴処分にしています。01~08年の法務省の統計では83%と高い割合です。日本政府が53年に米政府と「日本にとって著しく重要と考えられる事件以外については第1次裁判権を行使するつもりがない」との密約を交わし、それを法務省が刑事局長名で全国の検察に伝えているからです。刑事訴訟法は、警察官は「検察官の指示又は指揮に従わなければならない」と明記しています。警察が検察の立場を前提にして、まともな捜査をおこなっていないとしたら重大です。

    主権行使し取り締まれ

     米兵犯罪をめぐる警察の低い逮捕率と検察の低い起訴率は、日本政府の裁判権放棄の実態をうきぼりにしています。こうした日本側の態度が、沖縄などでの米兵犯罪を助長させているのは明らかです。対米追随の姿勢をただしていくことは米兵犯罪をなくす第一歩です。

     政府は、主権を行使して米兵犯罪を取り締まるとともに、日米安保条約を廃棄し、米軍基地の撤去を実現することが大切です。

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