主張

参院選第一声

国民の声にどの党がこたえる

 安倍晋三政権発足後初の参院選挙が公示され、各党・各候補の第一声に耳を傾けました。景気や雇用、社会保障、消費税増税、東日本大震災からの復興や原発問題、環太平洋連携協定(TPP)参加など、参院選に寄せる国民の関心は切実です。沖縄などでの米軍基地問題や安倍政権になって改憲の動きが急浮上した憲法問題も、重大な争点です。どの党が国民の声にこたえることができるのか、各党党首クラスの第一声は、政党の姿を浮き彫りにするものでした。

政治変える「四つの転換」

 東日本大震災と原発事故の被災地・福島で第一声を上げた自民党総裁の安倍首相、沖縄で第一声を上げた石破茂同党幹事長、首相と同じく被災地・岩手で第一声を上げた海江田万里民主党代表など、各党首がそれぞれ国民世論を意識しているのは間違いありません。しかし、安倍氏や石破氏が党内でさえ矛盾が表面化している原発問題や普天間基地の「移設」問題で踏み込んだ言及をしなかったように、その中身は、国民の声にこたえる立場とは程遠いものでした。

 安倍政権が発足して半年、国民の間では安倍首相が進める経済政策「アベノミクス」では物価が上がるだけで暮らしはよくならないのではないのかとか、原発の再稼働や輸出、改憲策動は危険だという不安や批判が急速に広がっています。安倍首相や山口那津男公明党代表がむきになって「アベノミクス」の成果を宣伝するのはその批判を恐れるからですが、そこには国民の不安の声に向き合う姿勢はありません。

 自民党ときっぱり対決する姿勢を貫き、政治の根本的な転換をはかる道を打ち出したのは、日本共産党・志位和夫委員長です。雇用ルールを破壊し、消費税大増税の強行をたくらむ「アベノミクス」の中止を求めるとともに、大企業の膨大な内部留保の一部を活用した賃上げと雇用安定を突破口に、国民の所得を増やして景気回復をはかる第1の転換。原発事故の収束もできていないのに無謀な再稼働や輸出を推進する政策をやめさせ、「即時原発ゼロ」を決断し、再生可能エネルギーへ転換する第2の転換。憲法をないがしろにする政治から憲法を守り生かした政治へ転換する第3の転換。農業や医療、食の安全を脅かすTPP交渉参加を撤回し、普天間基地の辺野古「移設」をやめさせる、「アメリカいいなり政治」からの転換―。四つの転換は、国民を苦しめる政治をおおもとから変える道です。

 民主党の海江田代表は、「アベノミクス」に懸念は示しても自公民3党で進めた消費税増税や社会保障改悪にはダンマリです。維新の会・橋下徹共同代表やみんなの党・渡辺喜美代表は「規制緩和」や「農協改革」などを徹底せよとの主張です。自民党と対決せず、逆に安倍政権を補完する党に、国民の願いは託せられません。

共産党伸ばしてこそ

 安倍首相をはじめ与党党首が国民の声に向き合おうとせず、参院でも多数を確保し衆参の「ねじれ」を解消することばかり強調するのは、まさに世論とはかけ離れた「独裁」の政治をねらうものです。

 「自共対決」を貫き政治の転換を目指すのは日本共産党です。この党を参院選で伸ばしてこそ、安倍政権の“暴走”を食い止め日本の政治を変えることができます。