主張

安倍政権防衛白書

軍拡の“暴走”は許されない

 第2次安倍晋三政権としてはじめてとなる「防衛白書」が発表されました。安倍首相は政権発足後、民主党政権時代の「防衛計画の大綱」の見直しをうちだすなど、いっそうの大軍拡へふみだしています。「白書」はその第一歩として、「11年ぶり」に軍事費(防衛関係費)の増額を実現したことなどをとくとくと自慢しています。新たな軍拡計画となる新「防衛計画の大綱」や、歴代政府が行使できないとしてきた集団的自衛権についての検討などは、参院選挙後に本格化します。軍拡の“暴走”を許さない国民の審判が重要です。

海外で戦争する態勢へ

 「白書」が自賛するように、軍拡に踏み出した安倍首相の最初の仕事は、ことしの年明けに編成した2013年度予算での軍事費の増額でした。国民には重い負担を押し付けながら、軍事費を400億円も増額したのは、安倍政権の軍拡優先の姿勢を浮き彫りにしたものです。

 「白書」は、北朝鮮の核開発を「重大な脅威」とし、中国の活動に警戒をあらわにするなど、日米軍事同盟の強化とともに、日本自身の軍拡を正当化しています。しかし、日本が軍事でことを構えるのは、緊張を激化させ、問題の解決を難しくすることにしかなりません。北朝鮮の事態も中国との問題も、平和的に外交で解決すべき問題です。軍拡に前のめりになる安倍政権の「白書」には、そうした視点がまったくありません。

 増額した軍事費の中身も大問題です。弾道ミサイル防衛能力の強化や、沖縄の尖閣諸島を含む「島しょ防衛」能力の強化を強調しています。なかでも問題なのはF35戦闘機の購入です。安倍政権は民主党政権の計画を引き継ぎ、1機102億円から150億円にはねあがったF35を米国いいなりに購入しました。「白書」は、F35は「優れた能力」があり「防衛にとって喫緊の課題」とのべています。

 安倍首相は「F35を導入するのであればその能力を生かしていくことも検討しなければならない」とのべています。ミサイル発射基地など「敵基地攻撃」に活用する考えです。「自衛」の範囲を超えて他国の領土を先制攻撃する軍事行動です。長距離攻撃能力と爆撃能力のある戦闘機を保有し、日本を「海外で戦争をする国」に変える企ては許されません。

 安倍政権になって自衛隊は、米軍との間で「離島奪還」と称した大がかりな上陸訓練を行うなど、海外での戦争に備えた準備を強めています。自衛隊に新たに水陸両用車を4両購入するなど、自衛隊に米海兵隊のような機能を持たせる動きにも警戒が必要です。

自民党に厳しい審判を

 安倍政権が年末までに策定する新「防衛計画の大綱」は、自衛隊を増強し米軍補完を強めるのが狙いです。「集団的自衛権」の行使は、日本が武力攻撃されていなくても米国とともにたたかうことを意味します。日米防衛協力指針(ガイドライン)の見直しも検討されています。日本が米国と一体で戦争できるようにする軍事態勢づくりを、認めることはできません。

 日本共産党は参院選政策で、「地球規模の日米軍事同盟強化に反対し、『海外派兵国家』づくりをやめさせます」と主張しています。この党の前進が、安倍政権の軍拡の“暴走”をやめさせる保障です。