主張

「敬老の日」

安心の長寿を保障する政治に

 人生を重ねてきた高齢者を敬い、長寿を祝う「敬老の日」です。長年にわたり社会と家族をささえてきた方々に心から感謝し、お祝いを申し上げます。

 高齢者を思いやり、いたわる気持ちは1日だけに限られるものではありません。高齢者の暮らしや権利の現状を考え、だれもが安心して長生きできる社会の実現へ、あらためてとりくみを強める機会にしていくことが重要です。

世界有数の長寿社会

 日本の100歳以上の高齢者は今年、5万4000人を超えて過去最多を更新しました。50年前の統計で100歳以上は153人でした。平均寿命も男性79・94歳、女性86・41歳となり世界トップクラスです。半世紀で、これほど目覚ましく長生き社会を実現できた国はありません。

 日本で長寿社会が実現できたのは、医療技術の進歩・発展や公衆衛生の改善などとともに「いつでも、どこでも、だれでも医療にかかれる」国民皆保険の仕組みによるものと国際的にも評価されています。社会保障の充実を求める国民の願いと粘り強い運動が、世界に誇る長寿社会を実現してきたことは間違いありません。

 一方で、自民党を中心にした歴代政権は高齢者に冷たい政治を続け、高齢者が心から安心して長生きできる社会を妨げています。とくにここ十数年の社会保障破壊の「構造改革」路線は事態を深刻化させています。年金削減、医療費や介護費の負担増と給付カットなど社会保障制度の相次ぐ改悪が高齢者の暮らしと健康をむしばんでいます。病院や介護施設などからしめ出され、行き場を失う“老人漂流社会”などの痛ましい言葉まで生まれています。高齢者の貧困の広がりも加速し、亡くなってしばらくしてから発見される「孤独死・孤立死」まで続発しているのは、あまりに悲惨です。

 “高齢化社会のため”として1989年に消費税が導入されて以降も高齢者など福祉の充実にお金が回るどころか負担増と給付減の連続です。安倍晋三政権が来年4月実施を狙う消費税大増税は、なにより高齢者の暮らしを直撃します。「高齢者の社会保障は優遇されている」などと事実と異なる“理由”を持ち出し、増税と抱き合わせで社会保障大改悪も強行しようとしています。消費税が社会保障拡充のためという口実はもはや成り立つ余地はありません。

 高齢者の命と健康を守り、尊厳を保障する政治への転換が急務です。高齢者を粗末に扱う政治に未来を担う世代が希望をもてるはずもありません。世界のなかで高齢化の先頭をきる日本で、高齢者が幸せに暮らせる社会を実現することは世界の希望にもなります。

全世代が手をたずさえ

 今年は、高齢者を「豊富な知識と経験を有する」「敬愛される」者などと位置づけ、国に高齢者福祉増進の責務を明記した「老人福祉法」制定からちょうど50年です。その原点に立ち返るときです。

 安倍政権の社会保障解体や憲法破壊、原発再稼働などに多くの高齢者が怒りの声をあげ、立ち上がっているのは、次の世代に平和で暮らしやすい日本を引き継ぎたいという思いからです。すべての世代が手をたずさえ安倍政権の暴走に立ち向かうたたかいを広げることがいよいよ重要です。