日本共産党の志位和夫委員長は6日、広島市内で、原水爆禁止世界大会に出席したアンゲラ・ケイン国連軍縮問題担当上級代表と会談しました。志位氏は、ケイン氏が世界大会で潘基文国連事務総長のメッセージを読み上げ、自ら発言したことが核廃絶を願う日本の世論と運動を励ましたと述べ、感謝を表明しました。
会談で志位氏は、2010年の核不拡散条約(NPT)再検討会議で核兵器のない世界の実現に向けて「必要な枠組みの確立のための特別の取り組み」を行うことが合意された意義を強調しつつ、核兵器禁止条約の交渉開始の合意までには至らなかったとして、「被爆70周年に開かれる2015年のNPT会議で核兵器禁止条約交渉開始が国際社会のコンセンサスとなることを強く願っています」と表明しました。
ケイン氏は、一部の抵抗で同条約締結に向けての前進がみられない現状を指摘し、「さらなる努力が必要になっています」と強調。「核兵器の人道的影響に関する問題で議論が行われていることは非常に重要です」と述べつつ、市民社会の運動に加え、オスロ会議以降、ノルウェー、メキシコ、オーストリアなど各国政府が核兵器の非人道性の告発に焦点をあてて廃絶への取り組みを強めていることを高く評価しました。
志位氏は、「指摘された点は、事態を打開する鍵になります」と述べつつ、核兵器は非人道的な兵器であり、使うことが許されないということになれば、「核抑止論」は成り立たなくなると主張。「核兵器の非人道性を大いに告発することは、『核抑止力』論を打ち破る力になっていくと思います」と語りました。
志位氏は、「いまの障害を突破するうえで一番の力になるのは、市民社会の活動です」としつつ、政党も市民社会を構成する一部だと述べ、日本共産党の取り組みを紹介。アジア政党国際会議(ICAPP)で毎回核兵器問題を提起し、潘基文国連事務総長が示した核兵器廃絶のための5項目提案を支持するという文言が日本共産党の提案で同会議のプノンペン宣言に盛り込まれたことや、北東アジア平和協力構想を提起し、この地域の紛争問題の平和的解決や朝鮮半島の非核化などを提唱してきたことを紹介しました。
ケイン氏は「非常によい構想だと思います」と応じ、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の再開を希望すると述べました。