九州電力川内((せんだい)原発1、2号機の再稼働の前提となる規制基準への適合性審査をめぐって、原子力規制委員会の田中俊一委員長が、審査では実施していない解析を実施したと、事実と異なる国会答弁をしていたことが15日、明らかになりました。日本共産党の笠井亮衆院議員への原子力規制庁の回答で判明しました。

 問題の答弁は、衆院原子力問題調査特別委員会で7日、同原発で重大事故が起こった場合の原子炉の破損時間の解析結果について、九電の評価を規制委が妥当と認めた問題を笠井氏が追及したときのもの。笠井氏が、規制委として独自解析(クロスチェック解析)を行って「審査したのか、していないのか」とただすと、田中氏は「クロスチェックはきちっとやらせていただいております」「クロスチェックをした評価の結果については…近々レポートとして報告させていただきます」と答弁しました。

 同日夜、規制委は「格納容器破損防止対策の有効性評価に係る重要事象の分析」など二つの「技術報告」を公表。本紙の取材に規制庁は、これらの「技術報告」が田中氏の述べた「レポート」に該当すると認めています。一方、これらには「本技術報告の内容を規制基準、評価ガイド等として審査や検査に活用する場合には、改めて規制委としての判断が行われます」と、ただし書きを明記しています。

 笠井氏が国会での質問後、この判断を行った時期について説明を求めると、規制庁は「現時点において規制委としてそうした判断を行う予定はありません」と15日に回答。技術報告が審査に活用されていなかったことがはっきりしました。