主張

総選挙と安倍政治

あらゆる分野で暴走ストップ

 一昨年末の政権発足から2年足らずで衆議院を解散、総選挙を迎えることになった安倍晋三政権―。総選挙は、国民の意思に背く暴走を繰り返し、国民世論に追い詰められ、解散・総選挙を延ばせば延ばすほど不利になると踏み切った安倍政権に国民が審判を下す機会です。消費税再増税、「アベノミクス」の推進、「海外で戦争する国」づくり、原発再稼働、沖縄での新基地建設…あらゆる分野での安倍政権の暴走とその加速を許さない、国民の審判が求められます。

国民との矛盾を深め

 国民の反対や懸念の声を聞こうともせず安倍政権が進めてきた暴走は、国民との矛盾を深め、政権そのものを行き詰まらせています。民主党政権の末期に自民・公明・民主の3党で合意した消費税を2段階で引き上げる計画を実行するため、金融緩和と財政拡大、規制緩和など「アベノミクス」と呼んだ異常な経済政策を進めてきたのはその最たるものです。大企業と大資産家を肥え太らせるだけで、国民の所得拡大は後回しにし、物価上昇を放置して4月の消費税増税を強行した結果、「増税不況」が深刻化し、来年10月からの再増税は延期に追い込まれました。

 国民の反対を押し切り安倍政権が決めた環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加も、アメリカが農産物や自動車の輸入拡大を強硬に迫り難航を極めています。

 第1次政権以来、「戦後レジーム(体制)からの脱却」が持論の安倍首相は、就任直後から改憲に執念を燃やし、憲法9条改定のため、まず改憲手続きを定めた96条を改定し、発議要件を緩和しようとしました。しかし、これは改憲への賛否を超えて「立憲主義」を破壊するという猛反対を招き、挫折に追い込まれました。昨年末の靖国神社参拝も、アメリカを含む内外からの批判を招いています。

 安倍首相は昨年の参院選後、政府が「安全保障」に関わると判断すれば一方的に「特定秘密」と指定し、国民の目も口もふさぐ秘密保護法を持ち出し、昨年末、自民、公明とみんなの党の賛成で成立させました。国家安全保障会議(日本版NSC)を設置し、国家安全保障戦略を決め、武器輸出三原則を撤廃するなど、「戦争する国づくり」の策動を重ねています。

 安倍首相がねらってきた集団的自衛権の行使容認のため、政府の憲法解釈の変更を今年7月、一片の閣議決定で決めてしまったのは、「海外で戦争する国」づくりの最悪の暴走です。閣議決定による憲法解釈の変更には、「憲法破壊のクーデター」だと国民からのごうごうたる非難があがっています。

 原発再稼働や、沖縄への米軍新基地建設でも、安倍政権は国民の厳しい批判に直面しています。

対決・対案・共同の党を

 日本共産党はこの2年間、安倍政権の暴走に対決し、対案を示し、広範な国民と共同してきました。昨年の参院選で躍進したあとには、ブラック企業規制法案や秘密保護法廃止法案を国会に提出し、実現に力を尽くしてきました。

 総選挙で体勢を立て直し、暴走を加速する安倍政権のねらいは明らかです。日本共産党は、安倍政治の全体が問われることを指摘し、消費税増税の中止など「五つの転換」を訴えます。総選挙でこの党が伸びることこそ、暴走の加速を許さず、政治を変える保証です。