原則は国庫返納
自民党国会議員が支部長を務める政党支部が使い残した政党助成金を国庫に返さず、ためこんだ「基金」の総額が2013年末時点で、約8億2700万円にのぼることが本紙の調べでわかりました。国民には消費税増税や社会保障切り捨てなど負担増を押し付ける一方で、税金が原資のカネを政治資金として受け取り、ムダな使い方をするばかりか、ためこむ姿勢に厳しい批判の声があがっています。 (藤沢忠明)
自民党に所属する400人を超す衆参国会議員(落選、引退なども含む)が支部長の政党支部が総務相に提出した同年分の政党交付金使途等報告書を調べたもの。
自民党は、13年に約150億6000万円の政党助成金を国から受け取り、各国会議員・候補が支部長を務める政党支部に対し、年数回にわたって政党助成金を交付しています。同年は参院選があったため、党本部から受け取った額は、大半が衆院議員1人あたり1200万円に対し、参院議員は同1900万円となっています。
受け取った議員は、人件費や事務所費、宣伝事業費などの名目で使っていますが、使い残した場合、「基金」としてためこみ、翌年に回しています。余ったら国庫に返すのが原則ですが、政党助成法では「基金」の名で積み立て、翌年に繰り越すことを可能としているため、返納されることはほとんどありません。
本紙の調べによると、半数以上の253支部が政党助成金を使い残し、「基金」としてためこんでいます。その総額は、8億2685万6303円にのぼり、12年末より、約1億1000万円増えています。うち、1000万円以上、ためこんだ議員は17人(表参照)。
トップは、前年に続いて石井みどり参院議員。前年の基金が約3593万円あり、13年に1900万円の政党助成金を党本部から受け取り、人件費約794万円、事務所費約207万円、調査研究費約50万円などを支出しましたが、約2840万円をためこみました。
閣僚では、山谷えり子国家公安委員長(参院議員)が、前年のためこみ額約1334万円から800万円近く増やして、約2018万円で3位。
ためこみ額6位の三ツ矢憲生(のりお)衆院議員(三重5区)は、次期総選挙に備えたのか、「ワッポン(ポスター貼り付け用テープ)代」14万7000円など宣伝事業費に33万59円を支出しただけで、13年に受け取った1200万円丸ごとを含む約1313万円をためこみました。