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戦争法案を審議する衆院安保法制特別委員会で28日、日本共産党の志位和夫委員長は前日に続いて2日目の論戦に臨みました。質問では、米国の無法な戦争に反対しない日本政府の異常な対米従属姿勢と、憲法9条に違反する法案の危険性がいっそう鮮明になりました。
アフガニスタンに展開した国際治安支援部隊(ISAF、2001~14年)のような活動に自衛隊を参加させ、治安維持活動などに取り組むことが可能になると指摘した志位氏に対し、首相は「掃討作戦をするような活動はできない」と述べるだけで、参加を否定しません。
「参加を否定しないのは極めて重大だ」と語った志位氏。そこで具体的に示したのが、軍の活動を「自国の防衛のみ」としていた基本法(憲法)の解釈を変えて、ISAFにも参加したドイツの経験です。
ドイツ軍は当初、検問警備などの治安維持や復興支援に関わるものの、戦後初めて地上での「戦闘状態」に陥り、武器の使用基準を自衛だけでなく任務遂行にも拡大。結果として35人の兵士が自爆テロや銃撃で犠牲となっています(02年から昨年6月初旬)。ドイツの公共テレビは“井戸を掘り学校を建てる”はずのドイツ軍が戦争を行うようになった生々しい現実を描き出し、社会に衝撃を与えました。
志位氏はこうした経過を振り返りながら、「まさに安倍政権がいま進めていることを先取り的に示している」と迫りました。
そのうえで、実際に誤爆や誤射で140人を超す市民を殺害したドイツ軍の深刻な加害責任に言及。「自衛隊員が『殺される』危険とともに、民衆を『殺してしまう』危険も極めて深刻だ。自衛隊を派兵し、『殺し、殺される』戦闘をさせる。憲法9条に違反する違憲立法であることは明瞭だ。絶対に認めるわけにいかない」と厳しく批判しました。
志位氏は、第2次世界大戦後に米国が起こしてきた多くの戦争と、日本政府がとってきた態度を丹念に事実で突きつけ、日本が集団的自衛権行使に踏み出す危険性を浮き彫りにしました。
安倍首相は「他国の考え方の論評は控えたい。国連憲章に反する行為に日本が武力行使で協力することはない」と一般論に終始しました。
第2次世界大戦後、米国は多くの先制攻撃戦争を実行し、グレナダ侵略(1983年)、リビア爆撃(86年)、パナマ侵略(89年)に対しては国連総会で非難決議が採択されました(パネル)。
岸田外相は、いずれの決議でも日本政府が棄権・反対に回ったものの、グレナダ・パナマについては「遺憾の意を表明した」などと弁明しました。
志位氏は、グレナダ・パナマ侵略に関する政府見解(別項)を突きつけ、いずれも最後の結論が米国への「理解」となっていることを指摘。「日本政府は戦後ただの一度も、米国の戦争を国際法違反と批判したことはない。すべて賛成・支持・理解だ。こんな異常な米国への無条件追随の国は他にない」と批判しました。
安倍首相は「『理解』はしているが、『支持』はしていない」と答えるのが精いっぱいでした。志位氏は「こんな政府がどうして『自主的判断』ができるか。言われるままに集団的自衛権を発動することになるのは明瞭だ」と強調しました。
ベトナム戦争本格化の決定機となった「トンキン湾事件」(64年)について、米国防総省秘密報告(ペンタゴン・ペーパーズ)や当時の米国防長官の回顧録などから、当時の米政府の発表が捏造(ねつぞう)だったことが明らかになっています。
志位氏は、当時の日本政府が「米国が合法的に認められた範囲をまさか逸脱はあるまいという信頼」(64年、椎名外相答弁)から支持したことを示し、捏造判明後に米国に説明を求めたかと質問しました。岸田外相は「説明を求めた等の事実関係は、現時点で確認されていない」と答弁。志位氏は「公式の外交ルートで説明を求めていないということだ」と指摘しました。
イラク戦争の直接契機となった大量破壊兵器の保有情報についても米国の捏造であり、当時のブッシュ米大統領やブレア英首相らが情報の誤りを認めています。
志位氏は、首相官邸でイラク派兵を取り仕切っていた柳沢協二・元内閣官房副長官補が著書で「アメリカに(捏造の)説明を求めなかった」と証言していることを示し、「事実か」と迫りました。
外相はここでも「現状そういったやりとりは確認できていない」と説明を求めていないことを認めました。
志位氏は「米国の戦争は正義と信じて疑わない。捏造とわかっても説明を求めず、反省もしない。これが日本政府の基本姿勢だ」と批判。「戦後最悪の安倍政権による、戦後最悪の戦争法案の廃案を強く求める」と強調しました。
PKO法改定―治安維持活動
志位 多数犠牲者出した独軍 「殺す」危険も深刻に
首相、ISAF型参加否定せず
形式上「停戦合意」がつくられているが、なお戦乱が続いているようなところに自衛隊を派兵し、治安活動(安全確保業務)をさせる―。志位氏が解き明かしたのは、国連平和維持活動(PKO)とは関係のない活動にも自衛隊を派兵する「戦争法案」の仕掛けです(パネル)。アフガニスタンに展開した国際治安支援部隊(ISAF、2001~14年)のような活動に自衛隊を参加させ、治安維持活動などに取り組むことが可能になると指摘した志位氏に対し、首相は「掃討作戦をするような活動はできない」と述べるだけで、参加を否定しません。
「参加を否定しないのは極めて重大だ」と語った志位氏。そこで具体的に示したのが、軍の活動を「自国の防衛のみ」としていた基本法(憲法)の解釈を変えて、ISAFにも参加したドイツの経験です。
ドイツ軍は当初、検問警備などの治安維持や復興支援に関わるものの、戦後初めて地上での「戦闘状態」に陥り、武器の使用基準を自衛だけでなく任務遂行にも拡大。結果として35人の兵士が自爆テロや銃撃で犠牲となっています(02年から昨年6月初旬)。ドイツの公共テレビは“井戸を掘り学校を建てる”はずのドイツ軍が戦争を行うようになった生々しい現実を描き出し、社会に衝撃を与えました。
志位氏はこうした経過を振り返りながら、「まさに安倍政権がいま進めていることを先取り的に示している」と迫りました。
そのうえで、実際に誤爆や誤射で140人を超す市民を殺害したドイツ軍の深刻な加害責任に言及。「自衛隊員が『殺される』危険とともに、民衆を『殺してしまう』危険も極めて深刻だ。自衛隊を派兵し、『殺し、殺される』戦闘をさせる。憲法9条に違反する違憲立法であることは明瞭だ。絶対に認めるわけにいかない」と厳しく批判しました。
集団的自衛権
「究極の米国従属の政府が集団的自衛権で米国と海外での戦争に踏み出すことがいかに危険か」――。志位氏は、第2次世界大戦後に米国が起こしてきた多くの戦争と、日本政府がとってきた態度を丹念に事実で突きつけ、日本が集団的自衛権行使に踏み出す危険性を浮き彫りにしました。
政府の判断
志位 先制攻撃戦略は米国の基本政策
首相 「他国の考えに論評は控える」
集団的自衛権行使の最大の問題について、志位氏は、武力行使の判断が「時の政権の裁量に任され、無限定に広がることだ」と指摘。ブッシュ政権からオバマ政権におよぶ米国の国家安全保障戦略が一貫して先制攻撃戦略を保持していることをあげ、米国が先制攻撃を行った場合の日本の集団的自衛権発動の可能性をただしました。安倍首相は「他国の考え方の論評は控えたい。国連憲章に反する行為に日本が武力行使で協力することはない」と一般論に終始しました。
政府の態度
首相 「理解してるが支持してない」
志位 米の戦争一度も批判せずどうして判断できるのか
そこで志位氏は、米国が世界各地で繰り返してきた武力行使に対する日本政府の態度を追及しました。第2次世界大戦後、米国は多くの先制攻撃戦争を実行し、グレナダ侵略(1983年)、リビア爆撃(86年)、パナマ侵略(89年)に対しては国連総会で非難決議が採択されました(パネル)。
岸田外相は、いずれの決議でも日本政府が棄権・反対に回ったものの、グレナダ・パナマについては「遺憾の意を表明した」などと弁明しました。
志位氏は、グレナダ・パナマ侵略に関する政府見解(別項)を突きつけ、いずれも最後の結論が米国への「理解」となっていることを指摘。「日本政府は戦後ただの一度も、米国の戦争を国際法違反と批判したことはない。すべて賛成・支持・理解だ。こんな異常な米国への無条件追随の国は他にない」と批判しました。
安倍首相は「『理解』はしているが、『支持』はしていない」と答えるのが精いっぱいでした。志位氏は「こんな政府がどうして『自主的判断』ができるか。言われるままに集団的自衛権を発動することになるのは明瞭だ」と強調しました。
ベトナム戦争 イラク戦争検証
外相 「(米国に)説明求めた事実ない」
志位 ねつ造わかっても説明求めず反省なし
さらに志位氏は、米国が起こしたベトナム戦争・イラク戦争に対する日本政府の根本姿勢を追及。両戦争の規模と世界的影響の大きさにふれ、「二つの戦争を日本政府がどう検証・総括したか。これは、安倍政権が半世紀にわたる政府の憲法解釈を大転換し、戦後初めて集団的自衛権行使の道に踏み込もうとするもとで、避けて通れない大問題だ」と述べました。ベトナム戦争本格化の決定機となった「トンキン湾事件」(64年)について、米国防総省秘密報告(ペンタゴン・ペーパーズ)や当時の米国防長官の回顧録などから、当時の米政府の発表が捏造(ねつぞう)だったことが明らかになっています。
志位氏は、当時の日本政府が「米国が合法的に認められた範囲をまさか逸脱はあるまいという信頼」(64年、椎名外相答弁)から支持したことを示し、捏造判明後に米国に説明を求めたかと質問しました。岸田外相は「説明を求めた等の事実関係は、現時点で確認されていない」と答弁。志位氏は「公式の外交ルートで説明を求めていないということだ」と指摘しました。
イラク戦争の直接契機となった大量破壊兵器の保有情報についても米国の捏造であり、当時のブッシュ米大統領やブレア英首相らが情報の誤りを認めています。
志位氏は、首相官邸でイラク派兵を取り仕切っていた柳沢協二・元内閣官房副長官補が著書で「アメリカに(捏造の)説明を求めなかった」と証言していることを示し、「事実か」と迫りました。
外相はここでも「現状そういったやりとりは確認できていない」と説明を求めていないことを認めました。
志位氏は「米国の戦争は正義と信じて疑わない。捏造とわかっても説明を求めず、反省もしない。これが日本政府の基本姿勢だ」と批判。「戦後最悪の安倍政権による、戦後最悪の戦争法案の廃案を強く求める」と強調しました。